裁判官が事件ツイート 遺族抗議

おととし、東京の女子高校生が殺害された事件をめぐり、東京高等裁判所の裁判官が、自身のツイッターに「男に無残にも殺されてしまった17歳の女性」などと書き込み、遺族が「被害者の尊厳への配慮が全くない」として抗議する文書を裁判所に提出したことがわかりました。

抗議されたのは、東京高等裁判所の岡口基一裁判官(51)のツイッターです。
岡口裁判官は、おととし東京・江戸川区で、高校3年生の女子高校生が殺害された事件で、今月1日に東京高裁の別の裁判官が被告の男に無期懲役を言い渡したあと、自身のツイッターに判決文が掲載されているホームページのアドレスを載せ、コメントを書き込みました。
コメントは「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男 そんな男に、無残にも殺されてしまった17歳の女性」という内容でした。
亡くなった岩瀬加奈さんの両親の正史さんと裕見子さんがツイッターを通じて抗議し、書き込みは削除されたということですが、両親は「被害者の尊厳への配慮が全くなく、ちゃかしていると感じる書き込みで、強い憤りを覚える」として、26日東京高等裁判所に抗議し、処分を求める文書を提出しました。

岡口基一裁判官(51)は、平成6年に任官し、東京地方裁判所などを経て、現在は東京高等裁判所で民事裁判を担当しています。
民事裁判に関する著書があり、ツイッターでは司法関連などのニュースをリツイートしたり、鍛えた体の写真を投稿したりしていて、中には白い下着姿の写真もあります。
去年6月には、ツイッターに投稿した画像などをめぐって東京高裁から注意を受けていました。

亡くなった岩瀬加奈さんの母親の裕見子さんは、「本人がどのような思いでツイッターに投稿したのかは分かりませんが、私たち遺族にとっては、事件を軽視しているような文章で、馬鹿にされたように感じました。裁判官である前に、1人の人間として、大切な人を奪われ悲しんでいる遺族の気持ちを理解できないのだろうかという気持ちでいっぱいです」と話しています。

東京高等裁判所の吉崎佳弥事務局長は、「文書の内容を精査し、事実関係を確認した上で適切に対処したい」とコメントしています。
また、裁判所のホームページに判決文を掲載していたことについては、性犯罪などの判決は掲載しないという内部のルールに反していたことがわかったということで、「ただちに非公開の措置を講じ、ご遺族の代理人におわびした」としています。

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