歌集、出していらっしゃるのかどうか存じませんが、第一歌集は「種子」がいいと思います。
信じられない(褒めている)。非常に暴力的である。
- この星じゃない何処かまで飛んでゆきそこで咲こうと種は夢見た
- 種子は見るアスファルトの殻ぶち抜いてこの星全部森にする夢
このタンポポの種子は、かなり(追記:行儀が)悪くて(万感を寄せて褒めている)、
- 雨が降る匂いがすると話す子の言葉通りに雨は降りだす
おそらく、この小さい子とも内通しているんだ。そしてこの子は、雨がいつ何時どこで降り出す情報を種子から得ている。非言語の領域で。
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そして、空に樹木に司令を出す。
- どうやって互いの距離を測るのか教えて欲しいクラウンシャイネス
(返歌)
どの馬もロマンチックに眠るとき黄昏れ時は年の瀬の鐘
あれ? 馬の名前じゃないのかw 距離って、首差とか鼻差、馬群の割れる、あれのことかとてっきり…
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クラウンシャイネスの歌は、これ、想起させる絵柄がユーミンですよね。ちょっと違うかな。それで思い出した、
バブルの頃をいい意味でやわらかく象徴するシンガーがいて、
俺、前にもコメントしてるな(笑)。
野田幹子「Rain Foresst」いいんですよ。ひっじょーうに、よい。
非常にその、何ていうんでしょう、遊佐未森(宮城県仙台市出身)前史? クロスオーバー? いや、前とか後とかいういいかたは失礼だな。それでも、正直にいおう。俺は野田幹子派だ。Rain Forest 100回聞いて100回おかずなし白米で行ける。お前ら黙って聞け。俺の話じゃなくて野田幹子だ。
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タンポポさんの歌に話を戻して、優れた歌というのは、ここまで想像、remindを飛躍させ、遊ばせてくれるんですよね。30年ひとっ飛びしたぜおいら。これは優等生には出来ない、不良、暴力の歌、ならではの遊びであると思います。
ご本人の詠み、読みは違うかもしれない。
私は自分の事を、タンポポの花ではなくふわふわ飛んでいる種のほうだと思っているのです。
それにしては、ずいぶん強引な(「アスファルトの殻ぶち抜いて」)歌だw すばらしい。すぐれた種子は十分な二面性を備えているらしい。