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【社会】

電通系の会社が隠れ残業 高橋さん過労自殺後も

 違法残業事件で有罪判決が確定した広告大手電通のグループ会社「電通アイソバー」(東京)で、電通が新入社員の過労自殺を受け労働環境改善に着手した昨年秋以降も、複数の社員が自宅に仕事を持ち帰り「隠れ残業」を繰り返していたことが二十五日、分かった。一部社員の加入する労働組合「ブラック企業ユニオン」が共同通信の取材に明らかにした。

 電通は新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺を受け、午後十時以降の全館消灯など働き方改革を進めている。二十五日でまつりさんの死から二年がたったが、業務量過多を背景に、なおグループ会社で過重労働が是正できていない現状が浮き彫りになった。

 調査を求めたユニオンに対し電通アイソバーが今年十一~十二月、会社として残業の指示はしていないとした上で、自宅への持ち帰りなど複数の社員による深夜勤務を管理職が把握していたと認めた。同社は残業代について手続きに従い、適切な賃金支払いをするという。電通アイソバーは取材に「協議中かどうかも含め回答は差し控える」。電通は「グループ会社でも、例外的に認められたもの以外は深夜勤務を禁じている。今後も未申請の勤務がないよう徹底する」とした。

 ユニオンによると、組合員の二十代女性社員はウェブサイトの作成やイベント企画を担当。電通アイソバーは昨年十月、午後十時以降の業務を禁止、取引先にも通知していたが、一部社員は多いときで週に数度自宅に持ち帰り未明まで作業していた。

 社員は「電通の事件後も持ち帰り残業などで働く時間が長い状態は変わっていない。社内もグループ会社だと人ごとと思っている様子だった」と指摘。職場などで性的な話題を繰り返すといった上司によるセクハラ行為もあったという。

 電通アイソバーは東京都中央区に本社があり、従業員約四百人。デジタル分野のコンサルティングや企画などを手掛けている。

 

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