シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

コーヒーでスプラトゥーン2の勝率が上がるか、確かめてみた

 

  
【実験のまとめ】
 
 コーヒーに含まれるカフェインには、精神活性作用がある。この効果を確かめるため、コーヒーを飲んだ時と飲まない時の『スプラトゥーン2』のナワバリバトルの勝率を比べてみた。
 
 コーヒーを飲まない時のナワバリバトルの勝率が58.33%だったのに対し、コーヒーを飲んだ時の勝率は79.17%だった。筆者がコーヒーを飲んだ際には『スプラトゥーン2』の勝率が高くなると判明した。コーヒーの作用を垣間見ることができたと思う。
 
 
【はじめに】
 
 コーヒーに含まれるカフェインは世界じゅうで広く飲まれる精神活性物質で、その作用は19世紀から知られている。『カプラン臨床精神医学テキスト』によれば、コーヒー一杯ぶん程度のカフェインには、集中力や気力の向上、仕事への動機づけの高まり、眠気や疲労の減退といった主観的効果があるという。しかし、実際にどれぐらい効くのか確かめてみたことはない。そこでコーヒーを飲んだ時と飲まない時で『スプラトゥーン2』のナワバリバトルの勝率がどれぐらい変化するのか、確かめてみることにした。
 
 
【方法】
 
 ゲームの勝率はカフェイン以外にも大きく左右されるし、コーヒーに含まれるカフェインの量によっても左右されるだろう。今回の実験では以下のような方法をとることで、できるだけフラットな条件での比較を心がけた。
 
1.同じ曜日の同じ時間帯に、コーヒー有りとコーヒー無しで勝率を測定してみた。
 

 
 2017年9月から10月にかけて勤務スケジュールが一定の時期があったた.ため、
 
 1.休日Aの午前9時から合計8回のナワバリバトル
 2.休日Aの午後3時から合計8回のナワバリバトル
 3.休日Bの午前9時から合計8回のナワバリバトル
 4.休日Bの午後3時から合計8回のナワバリバトル
 5.平日Cの午後9時から合計8回のナワバリバトル
 6.平日Dの午後9時から合計8回のナワバリバトル
 
 を、二週間にわたって行った。
 
 第一週において、1.3.5.はコーヒーを飲んだプレイ8回を行い、2.4.6.はコーヒーを飲まないプレイ8回を行った。第二週において、1.3.5.はコーヒーを飲まないプレイ8回を行い、2.4.6.はコーヒーを飲んだプレイ8回を行った。
 
 都合、コーヒー有り/無しのそれぞれで64回ずつ、合計128回のナワバリバトルを行ったことになる。
  
 比較条件をさらにフラットにするべく、1.3.は必ず午前7時30分に起床して30分後に同じメニューの朝食を食べて検証した。2.4.も必ず同じメニューのに昼食を食べた後に30分の居眠りを行い、プレイ前の条件を統一した。5.6.は帰宅時間や夕食を摂る時間、夕食のメニューをできるかぎり同一とした。
 
 
2.コーヒーの量や濃度を統一するため、市販のスティックタイプのコーヒーを使用することとした。
 

AGF ブレンディ インスタントコーヒースティック 2g×100P

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 コーヒー有りの場合には、『AGF Blendy stick ブラック 甘さなし』のスティック1本ぶんのコーヒーをプレイ10分前に飲用し、それ以外の飲食物はプレイ中には摂らないこととした。コーヒーを飲まないプレイでは、同一量の白湯を同じコーヒーカップ一杯ぶんだけ飲むこととした。
 
3.『スプラトゥーン2』のプレイ条件も、できるだけ統一した。
 

 
 ブキは「プロモデラーMG」とし、装備やギアは全プレイで同じものを使用した(画像参照)。この検証を行っている間は「プロモデラーMG」によるナワバリバトル・ガチバトルは禁止とし、クマサン商会のバイトだけを行った。
 
 
【結果】
 
 以上の方法のもとで検証を行った結果、コーヒーを飲んだプレイ群とコーヒーを飲まなかったプレイ群では、以下のような勝率の違いを確認した。
 

 
 
 コーヒーを飲まない64回のナワバリバトルにおいて、勝率は58.33%だった。対してコーヒーを飲んだ64回のナワバリバトルにおいて、勝率は79.17%だった。
 
 コーヒーを飲んだプレイにおいて、筆者の『スプラトゥーン2』のナワバリバトルの勝率が高くなるという結果が得られた。片側検定で有意差が得られたことから、今回に限らず全般的に、私はコーヒーを飲んだ時のほうがナワバリバトルの勝率が高いと考えられる。
 
 
 【考察】
 
 予想どおり、コーヒーを飲んだ時のほうが勝率が高くなったが、コーヒーの有無で勝率がほとんど変わらなかったこともあった。これは、体調の微妙な違いによるものかもしれないし、バトルに参加したメンバーの違いによるものかもしれない。また、「新しいステージが追加されて、不慣れな状態でバトルを余儀なくされた」影響もあったかもしれない。
 
 今回の検証の真っ最中に、『スプラトゥーン2』に「モズク農場」というステージが追加された。これまで無かったタイプのステージに苦戦した記憶があり、このステージが検証に与えた影響はあるかもしれない。
 
 そもそも、本検証ではステージの統一はできていない。これは『スプラトゥーン2』のナワバリバトルのシステム上どうしようもないことで、同一のステージで検証を統一しようとすると、今度はプレイする時間帯がバラバラになってしまい、それはそれで結果にバラつきが生じることを避けられないだろう。
 
 この検証のデータをとり終えた直後、『スプラトゥーン2』には大規模なアップデートが施され、「プロモデラーMG」をはじめとする多くのブキの仕様が変更されてしまった。アップデートにより内容が変わってしまうゲームを用いている以上、短い期間でデータをとり終えてしまわなければならないため、ステージの統一は諦めることとした。
 
 また、今回の検証は私がAGFのスティックタイプのコーヒーを用いて行ったものであり、他のプレイヤーが検証した場合に異なる結果が出る可能性を否定できないし、よりカフェイン含有量の高い飲料や糖分を含んだ飲料を用いた場合は違った結果が出るのかもしれない。いずれにせよ、このあたりは検証してみなければわからないことではある。
 
 なお、この検証は二重盲検試験のような厳格なデザインをとっておらず、エビデンスとしてはあまり頼りにならない。「コーヒーを飲んだ」という心理的バイアスも結果に含まれている。あくまで日曜研究としてご笑覧いただければ幸いである。
 
 カフェインにはさまざまな薬理作用があり、過剰摂取は心身に良くないとされている。私の場合も、コーヒーがきつく感じられるきらいがあるため、普段はカフェインを摂らないようにしている。今回の検証で「私がコーヒーを飲めば『スプラトゥーン2』の勝率が上がる」とはっきりわかったが、飲む機会は限定して、コーヒー無しでも勝てる技量を磨いていくつもりである。
 
 コーヒーを飲むとゲームの勝率が上がる・勉強や仕事がはかどる、という人は珍しくないだろう。しかし、コーヒーに頼る者はいつもコーヒーを飲んでいなければならなくなってしまうし、それは、ありていに言って不健康である。カフェイン含有飲料の過剰摂取による死亡事故が報じられているのをみるにつけても、コーヒーをはじめとするカフェイン含有飲料の取扱いには注意が必要だろう。
 
 コーヒーを飲めば『スプラトゥーン2』の勝率は上がるが、コーヒーに依存したプレイヤーにはなりたくないものである。