アフリカは「資本主義の限界」を見抜いている

日本人がアフリカ思想から学べることは多い

デカルトのコギトに対して、アフリカのコギトは…!?(編集部撮影)
11月27日、『思想』の吉川哲士編集長、『WIRED』の若林恵編集長をお招きし、東洋経済オンライン読者を対象としたトークセッションを実施しました。
テーマは「なぜいまアフリカなのか」。アフリカ的な思想は今のわれわれに何を問いかけているのか。インターネットなどの技術はアフリカに何をもたらしているのか。白熱したトークの模様を前編・後編に分けてお届けします。後編は、より思想的な部分に踏み込みました。

ウブントゥとは「他者への思いやり」

山田:『思想』アフリカ特集の小田マサノリさんと真島一郎さんの対談に中にある、「ウブントゥ」について説明をお願いします。

吉川:コンピュータのOSで、Ubuntu(ウブントゥ)というのがあるんです。南アフリカのIT起業で成功した、マーク・シャトルワースさんが2004年に作って、無料配布しながら、現在もバージョンアップされています。ウブントゥの理念は、「みんなで分かち合おうよ」という、アフリカのベースにある考え方を、世界に向けて開いていこうというものです。

『思想』2017年08月号(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ウブントゥという言葉は、シャトルワースが使い始めたものではなくて、もともとズールー語で、「他者への思いやり」という意味です。ネルソン・マンデラも繰り返し使っていた言葉です。『思想』の対談でも小田先生がおっしゃっていましたが、西洋の「コギト」つまり、デカルトの「われ思うゆえにわれあり」に対して、アフリカのコギトは「他者がいて、だから私たちがいるんだ」になります。「われわれは他者を通して人間として存在する」と。平たく言えばただの共同体主義のように聞こえますが、アフリカでは実生活でもみんなと何かを分有するというベースからスタートします。

逆に言えば、分有しないで1人だけ抜け駆けするなと。共同体を顧みないで、資本主義に乗っかって自分だけいい思いをするような奴は、そのうちに痛い目に遭うよということでしょうか。

次ページシェアと言って一部の人だけ儲けるのはおかしい
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME53c79fd96c36
    デカルトは晩年にこれを否定してるのに引用するやつって…
    それにウブントゥはCentOSを抜きたいがためにアフリカ・アジアに広め
    デスクトップ部門で数の上で世界シェア№1を獲得し、関係ないサーバ部門でもシェア№1を堂々とうたい企業から莫大なサポート料を徴収しているのにまるで慈善事業のような書き方…
    エセ知識人にはもうほんとこりごり…
    up37
    down4
    2017/12/26 12:04
  • NO NAME405a5563edff
    そりゃあまあ、他人のいい面を見ていくことはとても大切だと思うよ。
    けど、ひと度何事かが起こると、棒っきれ持って平気で殺し合いするような人達だからな。シェアリングとか言われても俄かには信じ難いわ。
    up27
    down8
    2017/12/26 11:53
  • シェアリングは二宮尊徳の推譲と同じf172f532311e
    二宮尊徳の報徳思想は「勤労、分度、推譲」の三原則を基本とします。
    【勤労】は生活の基本であり自助努力の大原則ですが、同時に知恵を働かせて労働を効率化し、社会に役立つ成果を生み出すという自覚を重視します。
    【分度】は経済的には、収入の枠内で一定の余剰を残しながら支出を図る生活、経営の確立。計画経済の基本です。この余剰が、明日の、来年のそして未来の生活、生産の発展と永安のための基礎資源となります。
    【推譲】は、分度生活の中から生み出した余剰、余力の一部を、各人が分に応じて拠出します。これが報徳資金になり、相互扶助、公共資本あるいは弱者、困窮者救済に宛てられ、家政再建、町村復興、国づくりが進められます。
    up20
    down5
    2017/12/26 12:41
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
2018 大予測

250ページ、140テーマで2018年を大胆予測。さらに、2019年4月末に幕を下ろす「平成30年間」を総括。みずほFG佐藤康博社長、日立製作所・中西宏明会長のインタビューも収録。