母が遺した数千万円を使い込んだ祖父の言い分

バツイチの娘を支えてきたという自負が生んだ悲劇

2017年12月26日(火)

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 こんにちは。私は相続を生業としている弁護士や税理士等の専門家で組織された協会、相続終活専門士協会の代表理事を務める江幡吉昭と申します。本連載では、我々が幾多の相続案件の中で経験した事例を何回かに渡ってご紹介したいと思っています。

 

 伝えたいことはただ一つ。どんな仲が良い家族でも相続争いに巻き込まれると「争族(あらそうぞく)」になってしまうということです。そこに財産の多寡は関係なく、お金があろうとなかろうと揉めるものは揉めるのです。そうならないために何が必要なのでしょうか?具体的な事例を基に、考えてみたいと思います。

 第二回は、多額の現金がなくなってしまったケースです。母がキャリーバッグに遺した数千万円は誰が、どこで使ってしまったのでしょうか…

予期せぬ大金を目の前にすると人は予想外の行動に出てしまうことがあります。長男と次男は、まさかおじいちゃんに裏切られることになろうとは…
  • ●登場人物(年齢は相続発生時、被相続人とは亡くなった人)
    • 被相続人 母 58歳(パート、関西在住、バツイチで長男次男を育てる)
    • 相続人 長男 28歳(会社員、関西在住)
    • 相続人 次男 23歳(会社員、関西在住)
    • その他 被相続人の父(長男次男にとっては祖父)
  • ●遺産 現金4000万円、銀行預金500万円、自宅マンション2000万円、合計6500万円

 今回は旅行用のキャリーバッグに4000万円もの多額の現金があったケースです。母と長男は同居で、長男が母の看病をしていました。祖父は長男たちの近所に住んでいました。

 被相続人の母は生前、長い闘病生活を強いられてきました。母は長男に「私が死んだらこのキャリーバッグをよろしく」と事あるごとに言っていました。

 長男は現金が入っているのだろうなと薄々は感じていました。母の死んだ直後、開けてみると4000万円もの大金が入っているとはさすがに思いませんでした。

 この大金を前に20代の若い長男と次男は戸惑いました。そこで二人は近所に住んでいる祖父(被相続人の父)に相談したところ、祖父は「若い二人にこんな大金を持っているのは危険だろう」ということで預かってもらうことになったのです。

 何の疑いもなく、おじいちゃんに多額の現金をキャリーバッグごと預けた長男と次男。その後、このお金はどうなったのでしょうか。

コメント9件コメント/レビュー

不謹慎ながら冒頭の設定読んだだけで「(恐らく税務署に捕捉されていない)現金4000万の遺産って一番美味しいやつやん…」って思ってしまった。(2017/12/26 13:48)

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「母が遺した数千万円を使い込んだ祖父の言い分」の著者

江幡 吉昭

江幡 吉昭(えばた・よしあき)

相続終活専門士協会代表理事

相続・終活の専門家。住友生命保険を経て、英スタンダードチャータード銀行で最年少シニアマネージャーとして活躍。2009年、富裕層の資産運用・税務・財務管理を行う「アレース・ファミリーオフィス」を設立

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

不謹慎ながら冒頭の設定読んだだけで「(恐らく税務署に捕捉されていない)現金4000万の遺産って一番美味しいやつやん…」って思ってしまった。(2017/12/26 13:48)

普通に考えればバツイチ、長い闘病生活、子供二人を育てる女性が不動産含めて6500万円持ってるのは不思議。祖父がかなり援助してるとしたら祖父の「この金はもともと俺のだ」と考えるのも不思議はない。
多額の現金は人を狂わすのも納得、争族の記事よむと、自分の場合は平和に済んでよかったと思っている。(2017/12/26 13:44)

バツイチ2人の子持ちシングルマザー、長引く闘病生活でも現金4000万円だのマンションだのが残るとは、あるところにはあるもんですねえ。何処の国のおとぎ話かと同情する気が欠片もおきないのは何故でしょうか。(2017/12/26 10:29)

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