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スピン経済の歩き方:ネスカフェで「ダバダ」と「違いがわかる男」が消えた理由 (1/5)

» 2017年12月26日 08時15分 公開
[窪田順生ITmedia]

 今年もあと数日で終わってしまうなか、「これをモヤモヤしたままでは年を越したくない!」という疑問がひとつやふたつはあるのではないか。

 かくいう筆者もひとつある。それは、「ダバダ」や「違いがわかる男」がいったいどこへ消えてしまったのかということだ。

 は? なにワケの分からんことを言ってんだとあきれる方も多いかもしれないが、「ダバダ」とは、「違いがわかる男」というコピーで知られる「ネスカフェ ゴールドブレンド」のダバダ~ダバダ~というCMソングである。

 同ブランドは、かれこれ30年以上もダバダCMを流してきた。その世界の第一線で活躍する文化人が出演し、ネスカフェ ゴールドブレンドを堪能するというもので、古くは狐狸庵先生こと作家の遠藤周作さんや、歌舞伎役者の中村吉右衛門さん、ファッションデザイナーの山本寛斎さん、2000年代に入ると、バレエダンサーの熊川哲也さん、演出家の宮本亜門さんなどが出演してきた。

 そんなブランドが今年50周年を迎えた。当然、このダバダCMが復刻したり、違いがわかる男というコピーをからめたキャンペーンをやったりするものと思っていた。

 ロングセラーブランドのアニバサリーイヤーというのは、レガシーを活用してPRする、という不文律があるからだ。

 例えば、今年25周年を迎えたサントリー食品インターナショナルの缶コーヒー「BOSS」は1993年のキャンペーンで用いた「初代ボスジャン」を復刻した。今年65周年を迎えた「チョコラBB」も、女優・高橋由美子さんがアイドルとして活動していた21年前の「本日、私、肌あれ休暇いただきます」という懐かCMにからめたPRイベントを行っている。というよりも当のネスカフェ ゴールドブレンドも、2008年に「40年目のリニューアル」を行った際には、遠藤周作さんのダバダCMのなかに俳優、唐沢寿明さんが登場するという共演CMを流している。

 しかし、50周年を迎えた17年、待てど暮らせど「ダバダ」のダの字もあらわれなかった。

「ダバダ~」のCMはもう流れないのか
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