一時期のようにグングンよくなるっていうフェーズはすぎて落ち着いてきたけど、2年たって買い換えたら、カメラがよくなっていてびっくりしたー、と感じるくらいの進化になっている昨今のスマホカメラであるが、見ているといろいろ面白い。
例えば、ちょっと前までは「1600万画素だ」「2000万画素だ」と言っていたのですよ。サムスン電子の「Galaxy S6」は1600万画素だったし、高画素数化を引っ張っていたソニーモバイルのXperiaは2015年には2300万画素に上がった。
それが2017年になってよくよく見ると、目立った端末のカメラの画素数は軒並み「1200万画素」。落ちているのである。サムスンのGalaxyもS7 edgeから1200万画素になっているし、Appleはここ数年1200万画素だし、HuaweiもMotorolaもそうだし、ASUSは1300万画素だけどまあほぼ同じクラス。
長年デジタルカメラを見ているけど、ある時期で画素数の増加が踊り場に達する現象は見るけど、一気に下げてくるってのはなかなかない。その分画質が落ちたって話は全く聞かないわけで、それでよかったのである。
かつてはカメラが2300万画素だったXperiaでも、2017年の主力モデル(Xperia XZsやXperia XZ1など)は1920万画素にちょっと落としているくらい。画素数で競争する時代は終わった、ということをまざまざと見せつけられた格好だ。大事なのはそこじゃないってことである。
今、主力モデルのカメラ画素数が2000万画素クラスなのって、ソニーモバイルとシャープと富士通くらいなんじゃなかろうか……全部日本メーカーじゃん。
画素数以外のどこで勝負するか。
スマホのカメラ的には、画素数より、暗所に強い、手ブレに強い、速い、人物撮影に強いっていうより、実用的なところで勝負する時代になっているのである。
画素数を抑えればその分1画素あたりのサイズが大きくなって暗所に強くなる。
光学式手ブレ補正を内蔵すれば暗所でも手ブレしづらくなるし、アバウトに撮影しても手ブレしづらくなる。1200万画素で手ブレ補正付。それは大事。
さらに加わった勝負ポイントは3つ。1つ目は「デュアルカメラ」化。2つ目は「ビューティーモード」。3つ目は「インカメラ」。
2016年にAppleやHuaweiがデュアルカメラを搭載したことで、にわかに脚光を浴び、2017年にはさらにサムスン、Motorola、ASUSなどのハイエンド機が続々とデュアルカメラ化してきた。
2017年のカメラトレンドの筆頭はこれでしょう。
ただ、デュアルカメラの2つ目のカメラをどうするかはメーカーによって違う。ここが面白い。
1つは、2つ目のカメラを望遠レンズにするパターン。Appleとサムスンがそれ。
スマートフォンのメインカメラは広角レンズを搭載しており、撮れる絵が限られている。人を撮るときも望遠気味の方がきれいに撮れるし、カメラを使い慣れている人には「標準レンズ」と呼ばれる画角が使えるのはうれしい。
ポートレートをきれいに撮るなら、ちょっと望遠気味の方がいいのだ。背景がすっきりするし、顔や身体も遠近があまり付かないきれいに撮れる。
もう1つ、2つのカメラを同時に使うことで、カメラの数cmの位置のずれを利用して被写体の遠近を判断し、背景をぼかす機能である(iPhoneでいうポートレート、サムスンでいうライブフォーカス)。
これは使い出があって楽しい機能だ。
続いて、2つ目のカメラを超広角レンズにするパターン。さっきの真逆。Motorolaの「Moto X4」やASUSの「ZenFone 4(MaxやPro)」がこれ。
望遠カメラを搭載してポートレートを撮ろう、がカメラ的な発想であるのに対し、こちらはスマホ的な発想。1つを超広角レンズにすることで、その場の雰囲気や様子を1枚にピシッと記録できる。日常を記録したい人にいいし、たぶん、多くのお友達に囲まれられたリア充な方々にもいい。
3つ目のパターンは、同じレンズだけど特性の異なるカメラを搭載したHuawei。これはなかなか思いついてもできないでしょう。
1つを2000万画素のモノクロカメラにし、これをメインカメラの解像感を上げることにも、背景ぼかし機能にも使い、さらにモノクロカメラだけでモノクロ写真を撮ると絶品というちょっとマニアックな構成。
超広角や望遠という分かりやすいアピールはないけれども、総合的な画質がよいので、かなり評判がいいわけである。
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