オウムは在家信者には優しく、危険なそぶりは全く見せなかった
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引用:https://multimedia.okwave.jp/image/questions/11/110556/110556_original.jpg



どうして普通の人がオウムに入信するか

オウム真理教については広く知られて居る情報と、まったく知られていない事がある。

広く知られているのは彼らが起こした事件や、その手段や過程、組織の特殊性などについてです。

一方でどうしてこんな非合理的な集団に数千人もの人々が自分から参加したのかは、ほとんど知られていない。
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オウムはバカみたいな集団なのに、高学歴な人や思慮深い人や、大人しい人が数多く入信していました。

一般世界では普通に生活していた常識人が、オウムに参加すると人が変わり、考えられないような行動をしていた。

ここにオウムの2面性があり、ほとんどすべての信者は、オウムの自由さや非暴力に惹かれて入信しました。


オウムは学園祭やマスコミ取材、イベントなどに積極的に参加して信者を募ったが、意外にも自由さを売りにしていた。

イベントでたまたまオウムを知った若者達は、誘われて教団の地方支部に行くと、大歓迎される。

人見知りの人も欝の人も、古くからの友人のように親しくしてくれるので、すっかり気を許してしまう。


オウムは大きく分けて在家信者と出家信者があるが、在家信者を「お客さん」「ゲスト」と呼び明確に区別していた。

地方支部に遊びに来た人はまず在家信者になるが、ここでも信者達から親切にされ、今まで感じた事が無い幸福感を味わう。

「この人達は素晴らしい人達だ」と思い、数十万円や数百万円を支払って「イニシエーション」を受ける。



出家で手のひら返し

イニシエーションとはどこの新興宗教にもある集金プログラムで、信者に金を使わせるのを目的にしている。

お金を払うと上九一色村の修行施設で教祖の麻原彰晃の元で、神聖な儀式が行われ、教祖直々に言葉を掛けられ褒めてもらえる。

イニシエーションを受けるにはお金だけでなくヨガの修行が必要で、修行の上達に伴って、上のイニシエーションを受ける事ができる。


オウムの在家信者向け修行プログラムは合理的で、ヨガの修行と仏教の修行が結び付けられ、修行によって努力するほど上に行ける事になっている。

やがて在家信者としての修行も一通りやってしまうと、信者はこのまま在家で居るか出家するかの選択を迫られる。

迫られると言ってもここまで強制は一切無く、在家に対しては自由放任で脱会するのも再加入するのも、お金を払うのも自由意志です。


ところが在家信者が出家を申し出ると、いきなり「家族や親類と絶縁し、全ての資産を寄進するように」要求されます。

優しく親切だったオウムや麻原はここで手のひらを返し、本性をむき出しにします。

オウムでは在家信者には事あるごとに「あなたは出家していないから」と区別され、宗教ネームや階級を与えられず、負い目を感じるよう仕向けています。


出家するには親や兄弟や子供と縁を切り一切の私財を教団に寄付しなくてはならず、そうしなくては一生身分が低い在家信者のままです。

ここでテレビに出ていた教団の有力者が説得役になり、信者の琴線に触れるような、心の絆を結びます。

迷っていた在家は「自分の悩みを分かってくれるのはこの人だけだ」という思いから出家に踏み切ります。


オウムは洗脳段階が進むほど幹部に出世するので、幹部は自分の意思を持たない
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引用:http://ironna.jp/file/21e29c69b2d91e4870b661ebcb71cb32.jpg



出家すると別世界に入れられる

出家信者をサマナと呼ぶが、麻原に認められると階級が付いたりホーリーネーム(宗教名)が与えられる。

より多くの在家信者を出家させると昇進できるので、上位サマナほど信者の説得や、人を感動させたり説得するのがうまい。

マイトレーヤこと上祐史浩は「ああ言えば上祐」とマスコミからあだ名されるほど口が上手いが、幹部はそれぞれがこういう特殊能力を持っていた。


在家信者には自由で優しかったオウムは、出家信者を上九一色村に集めて、教団施設の中で修行を行わせる。

上九施設では信者に部屋は与えられず、すべて寄進したので私物も無く、時間の概念も無く、風呂にも入らない。(全て私利私欲として否定される)

食べ物は教団から毎日渡される粗末な宗教食だけで、ここでもヨガの修行などを行う。


だが上九一色村のサティアンでは修行は信者を管理する手段で、本当の目的は「ワーク」と呼ぶ労働にあります。

ワークは施設の建設や衣食住に関する事、信者の修行に関するものなど様々だが、その中に麻原から直接命令される「シークレット」と呼ぶものがあった。

シークレットのワークに付けるのは麻原側近の幹部だけで、一般の信者には内容を一切知らせず、一連の事件を起こさせた。


オウムは出家した信者に「熱湯に何分入っていられるか」など馬鹿げた修行を貸すが、それを乗り越えてついてきた者だけが幹部になれる。

麻原が要求するあらゆる無理難題をこなし、絶対的忠誠心、絶対帰依を証明すると信者として高みに上った事になる。

故に幹部ほど自分の意思を持たず、思考を放棄して麻原の命令だけに忠実な人間になっていた。


オウムでは私利私欲は絶対悪とされ、腹が減ったとか、善悪の判断すら麻原がする事になっていた。

疑問を抱くのもオウム内では悪であり、質問もしてはならず、ただ麻原の言葉を実行しなくてはならない。

ごく普通の人間が親切にしてもらい、感動して仲間に加わると、1年後にはこうして麻原の言いなりに成っていた。


こうしたシステムがオウムなのであり、決して最初から強制したり、洗脳したりなどしていない。

むしろ信者になる人は自分から進んでオウムと親しくなり、「良い人だ」と思ったから入信していました。

外からは良く見える組織でも、中に入ったら地獄のようだったというのは、一部上場の有名企業でも、良く耳にする話です。

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