出版科学研究所(東京)の調査で、書籍と雑誌を合わせた今年の紙の出版物推定販売金額は約1兆3700億円となり、市場規模はピークだった1996年の約52%まで縮小する見通しであることが25日分かった。長年、出版界を支えてきた漫画単行本の売り上げが激減していることが影響した。出版不況は深刻さを増している。
調査は出版物の1~11月の販売実績を基に通年の推定金額を予測したもの。雑誌(漫画単行本含む)は前年比約10%減の約6600億円、うち漫画単行本だけで見ると前年比約12%落ち込むとみられる。書籍は前年比約3%減の約7150億円となる見通し。雑誌は20年連続、書籍は11年連続の前年割れ。
今年の出版業界では、雑誌は少年・少女コミック誌の落ち幅が大きく、若い世代のコミック誌離れが顕著。長年、人気を保っていた作品が2017年までに完結し、新たなヒット作が生まれてこないため、漫画単行本の売り上げ激減を招いた。一方、付録付きの女性誌や、多様な商品を比較検討する「モノ批評誌」は好調だった。
小幅の落ち込みだった書籍は佐藤愛子さんの「九十歳。何がめでたい」や恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」などのベストセラー、「ざんねんないきもの事典」シリーズといった児童書が売り上げを下支えした。
出版界では、1970年代から雑誌の売り上げが書籍を上回る「雑高書低」が常識とされていたが、2016年の同調査で逆転、今年はその差が拡大する見込みとなった。〔共同〕