Microsoft Azureの2017年を振り返る

Posted: 2017/12/25 カテゴリー: Uncategorized
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このブログ ポストは、「Microsoft Azure Tech Advent Calendar 2017」の最終日 12/25の投稿として書いています。


マイクロソフトのパブリック クラウド プラットフォーム「Microsoft Azure」は、2017年も引き続き急激な機能拡張を続けてきました。1年前のAzureってどうだったっけ、と思い出すのが難しいくらいですね。

日々のアップデートは、次の各リソースを含め、さまざまな形でまとめられているので、継続的にチェックしていてください。

さて、ここでは、2017年にリリースされたAzureの新サービス、新機能の中から、僕の独断と偏見で勝手に選んだ心のベスト10を発表します。一応、順位付けてますが、順不同です(笑)

  • 第10位: ハイブリッド クラウド、Azure Stack
  • 第9位:Azureインフラストラクチャの強化
  • 第8位:IaaS (VM、ネットワーク、ストレージ) の強化
  • 第7位:インテリジェント エッジ、Azure IoT Edge
  • 第6位: Microsoft AI (Microsoft Cognitive Services、Azure Machine Learning)
  • 第5位: Azure Database for PostgreSQL/MySQL/MariaDB
  • 第4位:Azure App Service、Web App for Containers
  • 第3位:コンテナー、Azure Container Service (AKS)
  • 第2位:サーバーレス、Azure Functions
  • 第1位:第1位: NoSQL、Azure Cosmos DB

第10位: ハイブリッド クラウド、Azure Stack

Azure Stackは、パブリック クラウドのAzureと互換性のある環境をオンプレミスのデータセンターに配置できる、ハイブリッド クラウド プラットフォームです。

2016年からAzure Stackのテクニカル プレビューのアップデートが続いていましたが、7月のInspire 2017カンファレンスでAzure Stackの受注が開始され、9月のIgnite 2017カンファレンスではついにAzure Stackの出荷が開始されました。

Azure Stackでは、Azure向けのアプリケーションをそのままデプロイでき、ARM (Azure Resource Manager) や管理API/CLIといった管理面でもAzureと同じアプローチを採れます。他のパブリック クラウド プロバイダーではできないハイブリッド クラウド ソリューションの構築のために、Azure Stackを検討してみてくださいね。

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第9位:Azureインフラストラクチャの強化

Azureでは、複数のデータセンターから構成されるAzureリージョンを、世界中で提供しています。2017年初には、30リージョンでサービスを提供し、8リージョンを発表済みした。現在では、36リージョンでサービスを提供し、6リージョンを発表済みとなっています。

この1年で新たにサービスの提供が始まったAzureリージョンは、次の6リージョンです。

  • 米国防総省東部/中部
  • 米国政府アリゾナ/テキサス
  • 韓国中部/南部

また、この1年で新たに発表されたAzureリージョンは、次の4リージョンです。

  • オーストラリア中部 1/中部 2
  • 南アフリカ西部/北部

2014年2月に提供を開始した東日本/西日本リージョンでも、我々の予想を上回るペースで、引き続き数多くのお客様にご利用いただいています。順次、キャパシティの追加、利用可能なAzureサービスの追加にも努めています。

9月のIgnite 2017カンファレンス直前には、Azureリージョン内の複数の可用性ゾーン (アベイラビリティ ゾーン) 「Azure Availability Zones」のプレビューを開始しました。これによって、従来のリージョン (実際には可用性ゾーン) 内のHA (高可用性)、別のAzureリージョンへのDR (ディザスターリカバリー) の中間にあたる構成として、1つのAzureリージョン内の複数の可用性ゾーンへのVMなどのデプロイが可能になります。Azure Availability Zonesは、東日本/西日本リージョンではまだ使えませんが、GA (一般提供) と東日本/西日本リージョンでの提供が楽しみですね。

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第8位:IaaS (VM、ネットワーク、ストレージ) の強化

Azureでは、数多くのPaaS/サーバーレス サービス群に注力していますが、VM、ネットワーク、ストレージといったIaaSサービス群も引き続き強化され続けています。

VMインスタンスの選択肢は、ますます増えてきています。1年を通して、新シリーズの発表、プレビュー開始、GA (一般提供) が続きました。

2月には、今や必須となったVMのManaged Disks (管理ディスク) がGA (一般提供) になりました。

5月には、VMのディスク サイズが最大4TBにまで拡張されました。

IaaSに限った話ではないですが、CLIも強化されましたね。2月には新しいAzure CLI 2.0がGA (一般提供) になりました。5月のBuildカンファレンスでは、Azureポータル内でBash、Azure CLI 2.0を使える「Azure Cloud Shell」のプレビューが始まりました。9月のIgnite 2017カンファレンスでは、Azure Cloud ShellのPowerShellサポートのプレビューが開始され、11月のConnect(); 2017カンファレンスでは、BashサポートがGA (一般提供) となりました。

Azure Site RecoveryでVMのAzureリージョン間のDR (ディザスターリカバリー) もサポートされました。

他にも、Azure Virtual Network、Azure ExpressRoute、Azure Site Recovery、Azure Backup、Azure Migrate、Azure Security Center、Azure Advisor、Azure Monitorなどなど、ネットワーキング、移行、バックアップ、セキュリティ強化、監視などの面でIaaSをサポートする機能も強化されてきています。

VMの利用を1年間、または3年間予約することで、より安価にVMを利用できる「Azure Reserved VM Instances」(RI) が、9月のIgnite 2017カンファレンスで発表され、11月のConnect(); 2017カンファレンスでGA (一般提供) となりました。

Red Hat OpenShift、Pivotal Cloud Foundryなど、数多くのテクノロジ パートナーのソリューションが、VMイメージやARMテンプレートとしてAzureに対応しており、Azure MarketplaceやAzureポータルなどから簡単にプロビジョニング可能になっています。この1年も、ますます多くのパートナー ソリューションがAzure Marketplaceに対応してきています。

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第7位:インテリジェント エッジ、Azure IoT Edge

Microsoftは、5月のBuild 2017カンファレンスから「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」というメッセージを使い始めました。インテリジェントエッジのキーとなるサービスが、クラウド (Azure) 側ではなくエッジ側で動作する「Azure IoT Edge」です。Azure IoT Edge自体も、5月のBuild 2017カンファレンスで発表され、11月のConnect(); 2017カンファレンスで、パブリック プレビューがリリースされました。

エッジ側で、Azure Machine Learning、Azure Stream Analytics、Azure Functions、Dockerコンテナー内の独自コードを実行できるので、オフライン環境、ネットワーク接続が不安定な環境、極めて短いレイテンシが要求されるシナリオで活用できます。

他にも、IoTやデータ分析系のサービスでは、11月のConnect(); 2017カンファレンスでの、Sparkベースの分析プラットフォームサービス「Azure Databricks」プレビュー開始、時系列データ分析サービス「Azure Time Series Insights」のGA (一般提供)、12月のIoT SaaSサービス「Microsoft IoT Central」のプレビューなどもありました。

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第6位: Microsoft AI (Microsoft Cognitive Services、Azure Machine Learning)

引き続きAI (人工知能) がバズワード化している中、Azureは、学習済みのAIサービスとしての「Microsoft Cognitive Services」、カスタムの機械学習/深層学習モデル構築のための「Azure Machine Learning」という観点で、サービスを強化しています。

Microsoft Cognitive Servicesでは、当初はMicrosoftがトレーニング済みでカスタマイズ不可能なAIサービスが提供されていました。今年は、5月のBuild 2017カンファレンスで追加されたCustom Vision Service、Bing Custom Search、Custom Decision Serviceなど、カスタマイズ可能なAIサービスが強化されました。

12月には、チャットボット実装の王道ペアであるAzure Bot Service (Microsoft Bot Framework)、Language Understanding (LUIS) (旧称 Language Understanding Intelligent Service) がGA (一般提供) になりました。

9月のIgnite 2017カンファレンスでは、(Azure Machine Learning Studioと改名された) 従来のAzure Machine Learningに加えて、新しいAzure Machine Learningサービスのプレビューを開始しました。新しいサービスの目標は、データ サイエンティストが、普段使っているツールやフレームワークを使って、スケーラブルにトレーニングを行い、完成したモデルをあらゆる場所にデプロイできるようにすることです。

そのために、Windows、macOSで動くクライアントツール「Azure Machine Learning Workbench」を提供し、Visual Studio Code、Visual Studio向けの拡張機能も提供しています。クラウド側では、トレーニングの履歴を管理する「Azure Machine Learning Experimentation」、トレーニング済みの機械学習でもるを管理する「Azure Machine Learning Model Management」を提供していす。Pythonを使っ機械学習、深層学習に取り組んでいるデータ サイエンティストの方は、是非触ってみてくださいね。

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第5位: Azure Database for PostgreSQL/MySQL/MariaDB

「Microsoft loves OSS」というメッセージを改めて紹介するまでもなく、AzureのあらゆるレイヤーでOSSベースのサービスが提供され、人気の高いOSS実装との相互運用性が確保されています。

Linuxに始まり、コンテナー (DockerやKubernetes)、NoSQL (MongoDB、Cassandra)、データ分析 (Hadoop、Spark)、プログラミング言語 (Node.js、Pyrhon、R、PHP、Ruby、Java。Go)、などなど、例を挙げればきりがありません。

Azureのリレーショナルデータベースサービスとしては、従来、SQL ServerベースのAzure SQL Database、Azure SQL Data Warehouseが提供されていました。5月のBuild 2017カンファレンスで、PostgreSQL、MySQLのデータベース サービス「Azure Database for PostgreSQL」「Azure Database for MySQL」が発表され、プレビューが開始されました。11月のConnect(); 2017カンファレンスでは、MySQLからフォークしたMariaDBのサービス「Azure Database for MariaDB」も発表されています。

後述のAzure App Service (特に、Web App For Containers)と、これらのデータベース サービスを組み合わせることで、オンプレミスのLinux環境で稼働しているWebアプリケーションとデータベースを、AzureのPaaS環境に移行することが、より簡単になります。

一方、データベース サービスの先輩格にあたるAzure SQL Databaseも、SQL Server 2017の機能を取り入れつつ、着実に機能強化を進めていますよ。

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第4位: Azure App Service、Web App for Containers

Azure App Serviceは、従来、Webアプリ、Web API、モバイル バックエンドをホストするサービスとして、Web Apps、API Apps、Mobile Appsを提供していました。これらは、すべて、Windows Server、IISベースのPaaSサービスでした。

2016年10月に、LinuxベースのNode.js、PHPなどのランタイムを使ったり、独自のDockerコンテナーを持ち込んだりすることのできる、Azure App Serviceの新サービス「Web App for Containers」のプレビューが開始されました。今年9月には、GA (一般提供) となっています。

WebアプリケーションをDockerコンテナーにパッケージし、Docker HubやAzure Container Registryなどのコンテナー レジストリにプッシュしておくだけで、Web App for Containersに簡単にデプロイできます。VSTS (Visual Studio Team Service)やJenkinsなどからのCI/CDを可能です。

前述のAzure Database for PostgreSQL/MySQL/MariaDBとの組み合わせが、1つの王道パターンですね。

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第3位: コンテナー、Azure Container Service (AKS)

コンテナー界隈は、引き続き激動の1年でした。コンテナーオーケストレーターの分野では、Kubernetesがデファクト スタンダードの地位を確かなものにした1年でした。

従来のAzure Container Service (ACS) は、コンテナーオーケストレーター (Docker Swarm、DC/OS、Kubernetes) のVMクラスターを構築するサービスでした。2016年4月に、Docker Swarm、DC/OSのサポートがGA (一般提供) となり、今年2月にはKubernetesサポートがGA (一般提供) となりました。

10月には、従来のAzure Container Service (ACS) に代わるサービスとして、新しいAzure Container Service (AKS) のプレビューが始まりました。Azure Container Service (AKS)は、Kubernetesに特化し、Kubernetesのマネージド サービスとして、Kubernetesの自動バージョンアップ、容易なクラスターのスケーリング、マスターの自己修復といった機能を提供します。

他にも、サーバーレス型のコンテナー実行環境「Azure Container Instances」、プライベートのコンテナー レジストリ「Azure Container Registry」、前述の「Web App for Containers」など、コンテナー関連のサービスは急速に拡充されつつあります。アプリケーションをコンテナーとしてビルドする基盤さえ作っておけば、ニーズに合わせて多様な実行環境を選択できるようになってきています。

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第2位: サーバーレス、Azure Functions

「サーバーレス」も、今年のバズワードの1つでした。Azureは、広義のサーバーレス サービス (VMインスタンスを意識させないPaaSサービス) として、多彩なサービスを提供しています。

FaaS (Function as a Service) とも呼ばれる、狭義のサーバーレス サービスとしては、Azure Functionsがあります。Azure Functionsは、昨年11月にGA (一般提供) になって以降も、継続的に機能強化が続けられています。

  • Azure Functions Proxies
  • Open API (Swagger) サポート
  • Azure Application Insights統合
  • Visual Studio統合
  • Azure IoT Edgeでの実行
  • Linux (Dockerコンテナー) サポート
  • サポート言語の拡張 (Java、.NET Coreなど)、
  • オンプレミス (Windows) で動作するランタイム

以前評価してみたよ、という方も初めての方も、是非最新のAzure Functionsを試してみてくださいね。

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第1位: NoSQL、Azure Cosmos DB

以前から、Azure JSONドキュメントを格納するドキュメント指向データベースサービスとして、Azure DocumentDBが提供されていました。

5月のBuild 2017カンファレンスでは、Azure DocumentDBを大幅に機能拡張し、新サービス「Azure Cosmos DB」として提供を開始しました。主な特徴は、次の通りです。

  • 複数のAzureリージョンにグローバル分散し、読み取り処理を負荷分散可能
  • スループットとストレージを、エラスティックにスケール可能
  • 一般的なアップタイムSLAに加えて、レイテンシ (応答時間)、スループット、整合性のSLAを提供
  • 複数のNoSQLデータ モデルをサポート: ドキュメント (DocumentDB、MongoDB)、キー/バリュー (Azure Table Storage)、グラフ (TinkerPop/Gremlin)、カラム ファミリー (Cassandra)

Azure DocumentDB時代の3月には、ドキュメント モデル (MongoDB) がGA (一般提供) になりました。

5月の発表時には、キー/バリュー、グラフ モデルのサポートがプレビューとして追加されました。

9月のIgnite 2017カンファレンスでは、Azure Functionsとの連携が強化されました。

11月のConnect(); 2017カンファレンスでは、カラム ファミリー モデル (Cassandra) のサポートのプレビュー、テーブル モデルのGA (一般提供)、グラフ モデルのGA (一般提供) 予定、リージョン間レプリケーション構成時の読み取り処理の99.999% SLAなどが発表されました。

従来型のリレーショナル データベースだけでは達成できないスキーマレスによる柔軟性、パフォーマンス、スケールを目指す際には、是非検討してみてください。

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