- 株式会社KADOKAWAとヤオヨロズの「協議」はどこへ?
- 『「けものフレンズ」映像化プロジェクト』における問題点
- ネットを飛び交う「けものフレンズ」怪情報
- 「のけもの」にされたファンたち
- ファンは何をすべきか?
株式会社KADOKAWAとヤオヨロズの「協議」はどこへ?
2017年9月25日。爆発的な大ヒットを記録したアニメ「けものフレンズ」の監督であるたつき氏が、自身のTwitterにて事実上の降板を報告した。
突然すぎる発表にTwitterやネットは大騒ぎとなり、「けものフレンズ」のファン(通称フレンズ)である筆者も、ショックのあまり2日も眠れなかった。
その後「けものフレンズプロジェクトA」名義で、「たつき監督が降板させられた理由」が発表されたが、その内容は矛盾に満ちていた。
降板を告げる本人のツイートから始まった「たつき監督降板騒動」は、各所へ飛び火し、とうとう株式会社KADOKAWA*1と製作会社ヤオヨロズ*2によるトップ会談まで至ったのだ。
しかし協議が長引いているのだろうか、たつき監督による衝撃的な発表から3ヶ月が経ったが、未だに続報はない。
「さっさと見切りをつけて、次のアニメに移ればいいじゃん」という声が聞こえてくるが、「深く一つのアニメを愛するファン」にとっては、見過ごせない問題なのだ。
自分たちの愛するアニメを作り上げた監督が理不尽な理由でクビになり、とても大きな爪痕が残ってしまった。
また不幸にも、第13回けものフレンズアワーにて、騒動の渦中にあるヤオヨロズの親会社「ジャストプロ」所属の声優である小野早稀氏に、今回の騒動に関する声明文を発表させる事態が発生し、謝罪文ではなかったものの、またもや炎上する流れになった。
そしてTwitterを見ていると、「たつき監督降板騒動」を忘れたかのように、けものフレンズに関する新たな話題が次々と飛び交っている。
情報の流れる速度が早く、そして熱しやすく冷めやすいSNSでは、たとえ「たつき監督降板騒動」についてつぶやこうと、すぐ他の情報によって押し流されてしまうのだ。
そこで筆者は、一連の騒動についてネット上に残りやすいブログの記事として書こうと決めたのだ。
まず初めに、この記事では「何故たつき監督は降板させられたのか?」について述べる。
そして次の記事では、「たつき監督の復帰」「『たつき監督降板騒動』の真相解明」を目標に活動する国際的な非営利団体「Save Japari Park(通称SJP)」の紹介、
SJPが推進する「ACA行動」という、「クールジャパン」を推し進める文化庁などに、「たつき監督降板騒動」のような日本で芸術的なクリエイターが不当に扱われている現状を説明し、改善を求める要望書を提出するアクションについて取り上げていこうと思う。
『「けものフレンズ」映像化プロジェクト』における問題点
たつき氏が2017年9月25日に降板を報告してから数日後、騒動の渦中にある「けものフレンズプロジェクト(通称KFP)」の公式サイトから、「けものフレンズプロジェクトA(通称KFPA)」名義で、『「けものフレンズ」の映像化プロジェクトに関するご報告』という公式声明文が発表された。
以下に、そのリンクを載せる。NEWSという項目の4ページ目、上から3つ目の項目である。(2017年12月25日現在)
しかしスクリーンショットで示したように全文がとても長いので、以下に要約した文章を載せる。
アニメーションの制作を担当したヤオヨロズが、8月に入った段階で辞退したため、制作体制を一から模索中である。
その理由は、"関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用"があった。
次回の制作もお願いしたいため、"情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れ"を行ったが、ヤオヨロズは"その条件は受け入れられない"ので、辞退した*3。
以上の通りだ。
しかし、ファンによる検証の結果、
- 「ヤオヨロズが8月に入った段階で辞退」
- 「関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用(無断利用)」
- 「"情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れ"(事前の情報共有)」
これら3つの点において矛盾が発覚したのである。
「ヤオヨロズが8月に入った段階で辞退」
これら3つのYoutube映像は、たつき監督による「けものフレンズ」が他の企業や団体とコラボした時の映像である。
Youtubeに記載された日付によると、サマーフェスティバルのマナー映像は2017年8月29日に公開されている。
またJRAの「けいばじょう」は2017年8月8日、日清食品の「ふっくら」は2017年9月19日に公開されている。
これらの証拠から、「8月に入った段階でヤオヨロズが辞退した」という9月27日の公式声明文とは矛盾が生じている。
しかも、たつき氏の「事実上の降板」は2017年9月25日に本人のアカウントで発表されたのだ。
「『作品の無断利用』と『事前の情報共有』」
この映像は、2017年4月4日に公開されたアニメ「けものフレンズ」非公式エピソード「12.1話 ばすてき」である。
この作品の是非に関してはファンの間でも意見が別れるらしいが、有志による問い合わせやコラボ先の企業からの発表により、以下の事が判明している。
- 【事前の情報共有なき無断利用】の一例と思われる非公式エピソード「12.1話 ばすてき」は未だに権利者削除されず公開されている
- 「Japari Cafe」ボイスドラマ内では、アライさんとフェネックがPPPと遭遇した際に、「ばすてき(12.1話)」を踏まえた発言がある
- 第57回ホビーショー*4にて展示されたマックスファクトリー社の「ばすてきセット」((マックスファクトリー公式のツイートは、「仮称の段階であるものの株式会社KADOKAWAから使わせてもらっている名称」と同社より回答があった
以上の通りである。また、前述の「けいばじょう」「ふっくら」に関しても、
本サイトは「けものフレンズ」に関する正規のライセンス窓口である株式会社KADOKAWAを通じて、17年3月の企画段階から「けものフレンズプロジェクト」の承諾を得て制作したものです(JRA公式サイトより)
本コラボ動画に関するお問い合わせをいただいておりますが、同動画は2017年6月の企画段階から「けものフレンズプロジェクト」と連携の上、制作したものであり、許諾を得た動画です。 また「けものフレンズ」新規映像化プロジェクトの制作体制変更に関しては、弊社としては事前に知りえない情報であり、関与できる立場でもございません。
と、JRAおよび日清食品より、それぞれ許可を得ているという発表があった。
ネットを飛び交う「けものフレンズ」怪情報
このように、たつき監督の手がけた非公式エピソードやコラボアニメに関して、どれも"無断利用"と"事前の情報共有"という問題点に当てはまらないのである。
つまり『「けものフレンズ」の映像化プロジェクトに関するご報告』は、「公式怪文書」と呼ばれるほど矛盾に満ちているのだ。
あの文書でわかることは、「制作委員会の要求をヤオヨロズが受け入れなかった」だけである。
このせいかインターネット上では、様々な立場からあらゆる怪情報が飛び交い、筆者が確認したところだけでも、以下のような情報が見受けられた。
- 発起人である吉崎観音氏が、たつき氏に嫉妬してヤオヨロズごと追い出した
- KADOKAWAのアニメ事業部がコミック編集部からけもフレを強奪。都合よく運営していくために因縁付けてヤオヨロズを追放
- アニメや版権の緩い規約の中で自由奔放に「ばすてき」などを作った結果、重要人物Xが激怒して、降板と至った
- 福原Pの知人が経営する中国の企業が、KADOKAWA抜きでけものフレンズの上映会を行おうとした。その際に、全く関与していないヤオヨロズの名前が勝手に宣伝で使われ、KADOKAWAの逆鱗に触れた
以上の通りだが、真相は未だに不明である。
「のけもの」にされたファンたち
今まで述べてきたように、たつき監督の降板には、ファンには見えてこない「大人の事情」が深く関わっているようだ。
ちなみにヤオヨロズや親会社のジャストプロは、この件では未だに沈黙を続けており、「ヤオヨロズやジャストプロにも何かしらの非があるのでは?」という疑念の声も散見されつつある。そのような疑惑を払拭するためにも、二社からの発表を期待している。
さて、このような状況にも関わらず、公式サイトの「STAFF&CAST」では今だに「監督:たつき」の名前が残っている。
販売(出版)されたBDつき公式ガイドブックでは「けものフレンズ2(SECOND SEASON)制作決定!」という帯がついていたので、一部では
「けものフレンズ第2期は、世界観だけ受け継いで別会社にアニメ制作を依頼するつもりだった。たつきの名前を残しているのは偽装工作のため」
と見受けられる発言もあった。
ところで、はてなブログを含むインターネット業界では、「大問題が発生(炎上)して多くの人々を敵に回しても、残った熱心な信者から大金を巻き上げる」行為、いわゆる「炎上商法」をしばしば目にする。
炎上商法もあまり褒められたビジネスではないが、「けものフレンズプロジェクトA」が密かにやろうとしていたことは、それ以上に悪質ではないのか?
「けものフレンズ」のBD付きガイドブックを出版したKADOKAWAも含め、すべての出版社は立派な「文化事業」を行っている。
しかし最近では、制作者だけでなく、出版物から直接恩恵を得るはずの視聴者・読者を、まるで使い捨てるかのような事例が相次いでいる。
グッズやBDなどを実際に買ってくれる視聴者やアニメファン、つまり大切な顧客を無視して、功労者をクビにして目先の利益を追い求める経営方針は正しいのか?
このような状態で、はたして文化事業といえるのだろうか?
そもそもサブカルを含む文化というものは、クリエイターとそのファンが作り出すものと、筆者は認識している。
ファンは何をすべきか?
さて、この記事では、けものフレンズプロジェクトにおいて起きた「たつき監督降板騒動」について、簡単に説明を行った。
やっと最近になって、アニメが世間でも少しずつ受け入れられるようになったのに何故、手のひらを返すような惨たらしい仕打ちを味わなければならないのか。
ファンから多数の質問や苦情が殺到しているはずなのに、未だにけものフレンズプロジェクトAは黙り込んでいる。
Save Japari ParkとACA行動
さて調べているうちに、この「たつき監督降板騒動」は海外まで衝撃が広がった事を知った。
そこで台湾のファンにより、「Save Japari Park」という「たつき監督降板騒動」に関するコミュニティを立ち上げたらしい。
Discordというチャットツールを活動拠点にして、「たつき監督の復帰」と「真相解明」を求めて、様々な活動をしているようだ。
「NO TATSUKI NO TANOSHI」をモットーに、日本も含め世界中の「けものフレンズ」ファンが集結している。
そして今は「ACA行動」と銘打って、日本の文化庁(Agency for Cultural Affairs)に今回の経緯の説明と助力を求める嘆願書の提出を推し進めている。
続いては、この「Save Japari Park」の紹介と「ACA行動」について説明したい。