ローマ法王、クリスマスイブのミサで移民のために嘆願
ローマ法王フランシスコ1世(81)は24日夜、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂におけるクリスマスイブのミサで、「自分たちの土地を追われた」無数の移民の苦境を座視してはならないと世界全体に呼びかけた。
アルゼンチン出身で、イタリア移民の孫でもある法王は、各地の移民が置かれている苦境について、聖母マリアとヨセフが住民登録のためナザレからベツレヘムへ旅をしなければならなかったももの、宿泊場所が見つからなかったという聖書の話にたとえた。
法王は、多くの移民が「罪なき人の流血を何とも思わない」指導者たちから、逃げるしかない状況に追い込まれていると訴えた。
「ヨセフと聖母マリアの足跡の中には、実に大勢の足跡が隠されている」と法王は語り、「自分の土地を進んで離れるのではなく、無理やり追い立てられ、愛する者たちを残していくしかない、何百万もの人々の足跡が見える」と述べた。
法王はさらに、イエス・キリストを信仰するからには、あらゆる場所で外国人を歓迎しなくてはならないと強調した。
フランシスコ1世は25日にクリスマス恒例の「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ) の演説を行う。
カトリック教会の信者は世界で推定12億人。フランシスコ1世は即位して以来、世界中の移民保護を法王庁の重要なテーマとしている。
世界各地で家を追われた難民は推定2200万人超。今年8月からはミャンマー軍による掃討を逃れて、60万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れた。
ヨルダン川西岸にあるキリスト生誕の地ベツレヘムでは、生誕の場所と信じられている場所の上に建つ生誕教会の近くの広場で恒例のパレードに備えて、大勢が集まった。
しかし、ベツレヘムを訪れるキリスト教徒の巡礼者は例年より少ないと言われている。ユダヤ人とイスラム教徒にとっても聖地にあたり、中東和平の大きな難関となっているエルサレムを、ドナルド・トランプ米大統領がイスラエルの首都と認定したため、パレスチナ人とイスラエル軍の緊張が悪化していることが理由とみられる。
(英語記事 Pope Francis pleads for migrants at Christmas Eve Mass)