僕は兄弟が大好きだ。兄、僕、妹、弟という4人兄弟なのだが、狂おしいほどに愛おしい。兄が嫁を連れてきたときは「あん?てめーに兄はふさわしいのか?お前でつとまるのか?」とめんどくさい姑のような感情が湧いてきた。しかし、よくよく考えれば兄の選んだ人だし、兄と血の分かつ子どもが地球上に降り立つということを思えばこれほど幸せなことはない。
兄もそうであるが9歳離れた弟も僕は特に可愛がってきたつもりだ。小さい頃から見てきて、兄弟というよりも息子とか甥っ子のような可愛さがある。そんな弟が早いもので大学生になった。そこでふと思ったのが弟は異性といるときにどんなことをするのだろうか?ということだ。弟のことは女性のタイプからワキ毛の数まで把握しておきたい。気になったので弟の本気のデートについていってみることにした。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。
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こんな感じの本気デートを実況しながら…
後ろからずっとついていきます
恥ずかしかったり、不安になったり、心配したり、イライラしたり…自我が崩壊するんじゃないかってくらい感情の起伏が激しすぎる一日だった。
「弟の本気のデートが見てみたい」という企画が思いついたときは、単純に大学生になったばかりの弟がどんなデートをするのか気になったというのもあるし、「弟が恥ずかしがる姿」が見られれば記事としてもおもしろいんじゃないかと思った。しかし実行してみると結果はまったく違った。予想に反してこちら側に精神的ダメージがある企画だった。肉親の僕だけでなく、一緒に見守っていた編集部の安藤さんもデートの初々しさに心がやられていた。
一緒にいった安藤さんは学生時代を思い出して悶えていた。
間違いなく2017年で僕が一番恥ずかしい日であったと言えるだろう。2018年を入れても一番かもしれない。いやもう宣言しよう、2018年に入ってもこの日を超える恥ずかしい日は訪れない。
そしてただただ恥ずかしいだけでなく弟のデートを見守っているのを通して、自分の学生時代の記憶なども掘り起こされるノスタルジックな体験にもなった。終わってみるとまさかこんなハートフルな企画になるとは思わなかった。ちょっとしたタイムマシーンに乗ったみたいな気持ちになれた。 ほとんどは弟に任せてあり、こちらは本当についていくだけである
今回、弟のデート相手をしてもらったのはモデルの吉岡真緒さん。以前にも「電話ボックスに入っている女の子って最高じゃないですか?」という記事に協力してもらった。なんでもやってくれるな、この子
肉親が異性とチャットするのを見るってこんなに恥ずかしいものなのか企画としてはとにかく僕は弟のデートについていくだけだ。「事前にチャットさせておく」というルールを用意したのは、デートの対策を立てやすくするためと、弟の本気をより引き出すために行った。初対面で本当に何も知らない女の子が来てしまうよりも、チャットで連絡を取り合っておくと計画するときに気持ちが引き締まると思ったからだ。
それからもう一つの理由として、現代ではスマホのアプリでチャットしてからデートに繋がるのはほぼ一般的なシチュエーションだからだ。だから今回はも「チャットから出会って、デートする」というシチュエーション演出することによって、擬似的なデートがよりリアルなものになると思ったからだ。 オレンジが弟、紫が吉岡さん。このチャットでは僕は発言はせず参加だけして会話を見守っていた。時間はきっかり30分というルールだ。
弟は僕と性格が真反対である。僕は道で女性の笑い声が聞こえると「あ、俺が笑われている」と悲観する性格なのだが、弟は自分のことをイケメンだと思っていて、さらに頭もキレる人間だと思っている。(本人は出来る人間だと思っているらしいが、僕からするとスマホのゲームの体力が回復するまでyoutubeに入り浸っているだけの真性のクズである。そこが弟のかわいい点でもあるのだが)
チャットを見ている間はずっと背中がぞわぞわとして他のことに手がつかなかった。「あの自信満々の弟がいつもはこんな感じで連絡しているのか」と心が落ち着かなかった。 吉岡さんが「インスタやっているんですよ」という発言に対して、弟が「俺インスタグラマーなんですよ」→「嘘です(笑)」という冗談がチャット上を流れたときは、おじいちゃんが隠していたエロ本を発見したくらい、見てはいけないものを見てしまった恥ずかしさがあった。こんなつまらない弟でごめんなさいと吉岡さんに謝罪したくなる。肉親が異性とチャットするのを見るってこんなに恥ずかしいものなのか… 思わず頭を抱えたくなる恥ずかしさ
しかも恥ずかしいだけでなく、思わず指摘もしたくなってくるのだ。吉岡さんが「嫌いな食べもものありますか?」と聞いてきたときに弟が「きのことたけのことピーマンです」と回答していた。ここで弟が「吉岡さんは嫌いなものありますか?」と質問すればデートの参考に出来るものの、弟が次に送ったメッセージは「子どもっぽいですよね(笑)」という謎のわんぱくアピールだった。
違うんだよ…!そこは吉岡さんのナイスパスをきちんと切り返さないと…!! このときは弟のチャットに対してあーだこーだといろいろと言いたいことが山ほどあった。しかし、今になって考えてみると僕は彼女が6年近くもおらず、ここ最近女性とメッセージのやり取りなど皆無だったので、何か指摘する権利なんてあったものじゃないのだ。「自分の事を棚に上げる」という言葉がこれほどピッタリな状況もない。 そんな感じで恥ずかしがったりやきもきしたチャットを終えて、いよいよ当日である。デート決行日は自分の感情がこんなに揺れ動くのかってくらい動揺しっぱなしだった。僕がタイタニック号だったなら氷山にぶつかる前に沈んでたくらい心が揺れまくっていた。タイタニックがまさかのショートムービーになるところだった。 そして当日。クリスマスムード満点のみなとみらいということで、ここからは解説のmegayaでお送ります。実況にはデイリーポータルZ編集部の安藤さんをお招きしました
今回は弟のデートを一緒に編集部の安藤さんと話しながらじっくりと見守りたいと思う。一応インカムをつけているが一切使わない。大事なのは雰囲気だ。クリスマスツリーの飾りに意味を求めない人が大勢いるのと一緒だ。
ちなみに安藤さんに「初デートだったらどこいきますか?」という質問をしたら「ゆっくり話したいからお店に入って、恐竜と宇宙の話を3時間くらいします」と斜め上すぎる回答をされた。この人と一緒にデートの解説を出来るのかと早くも後悔と不安にかられた。そんなもんデートじゃなくても初対面でされても困惑する。むしろ今されても狼狽する。 この企画は12月22日の金曜日に行われたので、街はまさにクリスマスムード満点だった。集合場所の駅に着いたときに声高らかに徳永英明の歌声が流れていて、思わず「良いムードだなぁ」と独り言を漏らした。
弟がデート場所に選んだのはみなとみらい周辺だ。初デートの場所としては高得点ではないだろうか。嵐の櫻井翔くんも初デートはみなとみらいと言っていたくらいだ。ワールドポーターズのような大型のショッピングモールもあるし、コスモワールドという小さい遊園地もある。ランドマークタワーに登って夜景を見ても良いかもしれない。デート場所としては最適だ。なかなかわかってるな、弟よ。
集合場所は「馬車道」というみなとみらいの隣の駅。改札を上から見下ろせる中二階のような場所で集合することにした。
本当は19時にみなとみらい集合の予定だったのだが、弟が当日の17時になって隣駅に集合場所を変更したいと急遽連絡がきた。弟には一週間前からこの企画のことは伝えてあったのに、まったくもって準備不足である。こういうのが女の子にはマイナス点になるだろ…こういうところが弟のだめなところなんだよなぁ…
急な変更もあり僕と安藤さんが早めに着いてしまった。まだ主役の二人は登場していない。そこで、せっかくなので二人の出会いのシーンを上から盗み見てみることにした。なんだかテレビのドッキリ企画みたいでドキドキしてきた。 弟と吉岡さんと連絡を取って駅に着いたか隠れながら確認する。
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