ポテトチップス・ラブ

ポテトチップスについてのブログです

2017・ポテトチップス回顧録

2017年はポテトチップスファンにとって忘れられない、エポックメイキングな1年になった。
今年はそんな書き出しで回顧録を書かねばと思ったのは5月のことでした。


あの大規模な休売・終売期間のことはもちろん、長年膠着状態にあった「スナック菓子棚」の地殻変動が起きるのでは…? という予感を感じさせる1年だったと思うので、似たようなことを幾度も書いてはいるんですが改めて振り返ってみたいと思います。

コイケヤのプライド

2017年最初の事件は、何と言っても2月の「KOIKEYA PRIDE POTATO」発売でしょう。長らくスナック菓子の新商品でTV CMが流れるということは減っていたのですが、この「KOIKEYA PRIDE POTATO」はCMも話題になりました。
これはまるで、スナック菓子界の現状王者であるカルビーに対する、湖池屋の挑戦状のようでした。
この東洋経済の記事が最高で何度も繰り返し読んだ。

だが、スナック菓子全体の市場が3000億円弱(日本スナック・シリアルフーズ協会などの調査、出荷額ベース)ともいわれる中、過半を握るのは業界のガリバーであるカルビーで、湖池屋は2位だ。
(略)
しかも小売りの現場では、いまやポテチのレギュラー品は、ドラッグストアなどでは2ケタ価格で売られていることも珍しくない。豊富な販促費やコンビニ向けのPB(自主企画品)などでマーケットを制圧するカルビーに対して、湖池屋はこの数年、辛酸をなめてきた。
http://toyokeizai.net/articles/-/147522?page=2

ここで打ち出してきたのが、2桁商品になりがちなレギュラー商品ではなく、いわゆる「高級路線」であるプライドポテトというのが本当に熱い。
近年では明治のザ・チョコレートなどもこの高級路線で成功した商品の一つだと思います*1

カルビーがヘルシー路線に切り替えつつあった2013年頃、湖池屋もノンフライの「ポテのん」を出すなどの後追いがありましたが、カップ型スナックはカルビーのほぼ独壇場ということもあり、定番商品となるには至りませんでした。またカルビー「堅あげポテト」の人気を追うかのような「頑固あげポテト」の発売(2014年〜)もありましたが、これも定番化には至らず。
対するカルビーは2016年にこれまで「チップスター」と「プリングルス」の2強状態であった成形ポテトチップス界に新作を投入、これはすでに定番になっているかと思われます*2
そんなわけでコンビニエンスストアにおけるスナック菓子棚は長らく王者として君臨し続けているカルビーが、さらにじわじわと侵攻を繰り返す…といった様相を呈しておりました。

そんな中、2015年にコイケヤはオンラインショップを開店。開店記念に限定発売された「今金男しゃく」を使用したのり塩ポテトチップスは高評価を受け、今では毎年恒例の商品になっています。そしてコイケヤはおそらくこのオンラインショップの展開によって、プレミアム路線の手応えを得たのではないでしょうか。

「KOIKEYA PRIDE POTATO」の発売時、コンビニエンスストアに専用のポップが立ち、初回発売の3品がズラリと並ぶ様子は、長らく膠着状態にあったスナック菓子界に革命が起きる予感を感じさせる光景でした。売り上げも好調で、「秘伝濃厚のり塩味」以外の2品は長く品切れ状態が続いたほどでした。
※これはのり塩の人気がなかったのではなく、売上好調によって十分な供給が見込めないことがわかり一時的にのり塩のみの生産に絞ったことが原因とのこと*3)。

ポテトチップス冬の時代とカルビー会長の名言

しかしそれから2か月も経たない4月、2016年の台風の影響から、ジャガイモの収穫量不足が深刻な状況となりコイケヤカルビーが、一部商品を休売・終売するというニュースが発表されました。*4
コイケヤは2016年台風10号の影響によるコイケヤ北海道工場の被災(12月に操業開始)もあったので、2017年は特に厳しい状況だったのではないでしょうか。
nlab.itmedia.co.jp
コンビニエンスストアやスーパーなどのPB商品も多くがコイケヤカルビー製であるため品薄となり「ポテトチップスはお1人様1袋まで」などという貼り紙が出ていたお店も見かけました。

この期間のことは今後「ポテトチップス冬の時代」として長く記憶に刻まれることでしょう……。
そしてこの冬の時期、カルビーの松本晃会長のインタビューが最高にかっこよかったことも忘れられません。(元記事が消えているためtogetterでの反応をリンクします)
「(販売休止・終了による)消費者のポテチ離れは100パーセントない。おいしいからだ」
togetter.com

百花繚乱の秋冬

個人的にはせっかくプライドポテトで攻勢に転じていたコイケヤの勢いが削がれないかとやきもきしていたのですが(&この期間私は原点回帰でコイケヤののり塩にどハマりしていました…)8月に入った途端、カルビーコイケヤから怒涛の新商品告知が始まったのです。
この辺りの感想についてはつい先日のブログにもまとめています。→
2017年のポテトチップスロス終了! - ポテトチップス・ラブ


カルビーが仕掛けてきたのは「48都道府県の味」シリーズ。これは長年定番商品だった地域限定味の掘り起こしのような新企画だったのだと思います。カルビーらしい規模の大きな企画で良かったのですが、個人的にはこれまでの地域限定味の方がおいしかったなあという感想。ただ、定期的に新商品がドカンと並ぶのはやはり楽しくて良いです。
そしてこれだけではなくポテリッチ系の新作も沢山出ているのが嬉しい!

コイケヤはプライドポテトの新商品を次々に発表。オンラインショップでの先行発売なども取り入れながら、高クオリティの商品を連発していきました。
中でも印象深かったのは「カラムー超」「すっぱムー超」そして「KOIKEYA PRIDE POTATO 今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」です。300円近い値段での限定発売でしたが、「芋の味が違うってこういうことか!」感をコンビニ商品で味わえることの贅沢さを思い知りました。

そしてその勢いは12月に入った現在も続いています。

そんなわけで、私にとって2017年は、一時的にポテトチップスロスに陥ったものの、改めてポテトチップスの魅力に気付かされた1年になりました。
2番手とはいえ大御所であるコイケヤのプライドと挑戦。そして王者カルビーの揺るがぬ自信。そしてその間のヤマヨシの奔放さ(品薄期にパインアメ味とか出してた自由さが忘れられません/欲をいえば、ヤマヨシにはわさビーフだけでない定番ができるといいなあと思っています。2.0倍はダメなのかなあ。あれ大好きなので定番にしてほしい…)。
各社の現状に甘んじず我が道を行く姿はファンにとっては非常に心強く、ポテトチップスってやっぱり楽しくって美味しいなあと思いました。きっと、それこそがスナック菓子の魅力なのだと思います。

2018年もたくさん魅力的なポテトチップスに出会えますように!
ポテトチップスラブ…!

*1:http://blogos.com/article/209355/

*2:ついにでた!カルビーの成型ポテト「ポテトチップスクリスプ」を食べました - ポテトチップス・ラブ

*3:http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1507979

*4:ポテトチップスシェア3番手と思われるヤマヨシは原料となるジャガイモの生産地が異なるために難を逃れたとのこと