『妹さえいればいい。』スタッフ陣への連載インタビュー第2回目は、キャラクター原案・原作イラストレーターのカントク先生が登場。本作の企画段階でのエピソードやイラストを描く際のこだわり、さらにご自身の描き下ろしイラストを基にしたフィギュアについても語ってくれた。
[取材・構成=胃の上心臓(下着派)]
『妹さえいればいい。』
http://imotosae.com
■企画段階ではイメージが付かなかったが、読んでみてガラッと印象が変わった
――まず『妹さえいればいい。』の原作を初めてご覧になった時の感想をお願いします。
カントク先生(以下、カントク)
原作は原稿が上がる前の企画段階で頂きました。その時点では、正直なところよく分からなかったんです。ライトノベル作家たちが集まって日常会話をひとつの部屋の中で延々と繰り広げる。日常モノという話だったんですが、ちょっとイメージが付かない。それが読んでみるとガラッと印象が変わりました。
元々僕は下ネタとか、業界のちょっとした裏話は大好物なんです。それまでなかなかそういう作品にめぐり合わせがなかったですが、「これはやりたい!」と思える内容でした。キャラクターの表情や感情の変化が早かったり激しかったので、その変化を描きたいという気持ちがありました。
前作『変態王子と笑わない猫。』でキャラの表情が動かなかった反動があるのか、平坂先生の個性バリバリのキャラクターたちは感情やテンションなど上がったり下がったりが激しいので、心情的な面も含めて絵的に変化が起こりやすい。そこもすごく魅力だと思いました。
―ちなみに、それまで平坂先生との接点はいかがでしたか?
カントク
『僕は友達が少ない ゆにばーす』というアンソロジーがあって、その表紙を描いたことはありますが、そこまで深く関わることはありませんでした。今回の『妹さえ』では、編集さんから「平坂先生とお仕事をしませんか?」という形でお誘いを受けたんです。
――平坂先生の作品に関わるとなった時に、どんなことを思いました?
カントク
平坂先生の物語と僕の絵の組み合わせも、なんとなくカチッとハマるというか腑に落ちたんです。タイミング的にもちょうどよかったので、「これはやるべき仕事だ」と感じました。
――そんな『妹さえいればいい。』のアニメ化が決まった時の心境はどうでしたか?
カントク
もちろん嬉しかったですが、それと同じくらい不安もありました。原作では「テレビで放送できないんじゃないか?」というエピソードも多くて、たとえば第6話がそうです。アニメ化失敗に関する話をラノベ作家視点で描くというのは、アニメ制作会社側にも言いたいところがあることを棚上げしてつくってもらうわけですから。『SHIROBAKO』みたいに内部の物語として描くのとは全然話が違う。そういう作品はいくつかありましたが、ここまで凄惨な内容は珍しいというか、心にグサグサくる内容だったので、これをやると手を挙げていただいたSILVER LINK.さんには拍手を贈りたいですし、実際素晴らしいアニメをつくっていただき感謝しかありません。