「はあちゅう」こと伊藤春香氏、「童貞いじり」で炎上 弁護士や識者の見解は…
しらべぇ / 2017年12月24日 9時30分
(imtmphoto/iStock/Thinkstock)
はあちゅうこと伊藤春香氏(31)による告発もひとつのきっかけにして、日本でも火のついた感のある「#Metoo」ムーブメント。
おもにセクハラやパワハラの被害者となった女性が、SNSなどで「私も」と声を上げる際に用いるハッシュタグをモチーフにしている。
16日に配信されたBuzzFeedの取材記事で伊藤氏が訴えた内容は、まさにセクハラ・パワハラそのもので、指摘された元上司も謝罪文を発表。立ち上げた会社を退職するといった対応を行った。
しかし事態はそれに留まらず、同氏自身が過去にSNSで行った発言が「セクハラではないか?」と指摘され、一旦は謝罪、さらにそれを撤回するなど、混迷した状況だ。
■SNSで童貞を嘲笑?伊藤氏が批判を受けたツイートは、性体験のない男性、いわゆる「童貞」を笑いのネタにしたもの。数多くある中で代表的なものは、以下のような発言だ。
「童貞が『html…エッチtmlってなんかエロいですね』と言った時、私は、童貞というのは救う方法のない病気なのだと悟った。すごいね…ほんとにすごいね」(2017年11月19日)
「うん。童貞感溢れる人が『早稲田です』って言ったら『やっぱりね!!!』って全力の納得をする時以外に、早稲田のことなんて考えない」(2016年10月8日)
たとえば、「童貞というのは救う方法のない病気」という発言は、言葉の綾だとしても刺激が強すぎる。
童貞の人や、かつて性体験がないことにコンプレックスを覚えた経験がある男性なら、嫌がらせと感じてもおかしくない内容と言える。
■20代男性の6割が未経験今回、過去の発言がここまで炎上した背景には、とくに若い男性の大部分において「性体験が身近なもの」ではなくなっている、という実情があると考えられる。
しらべぇ編集部が、全国20〜60代の男女1,328名を対象に性体験の有無を調査したところ、20代ではじつに6割の男性が「性体験なし」と回答。これは、同年代女性の1.6倍となる。
(©ニュースサイトしらべぇ)
男性の未経験率は30代でも高く、3人に1人は未経験。60代を除くすべての世代で、男性の未経験率が女性を上回る結果となった。
彼女が笑いのネタにした童貞は若い世代においては多数派であり、そのボリュームが炎上につながった可能性は否めない。
■noteの投稿で謝罪→撤回大きな批判を浴びた伊藤氏は、19日、「過去の『童貞』に関する発言についてのお詫び」というコメントをnoteに発表。
「女性である私が男性にとって深いコンプレックスになりうる『童貞』を軽々しくネタにすることが表現の自由や感受性・価値観の違いとは受け止められない方がいることに気づかされました」
などと述べて謝罪した。なお、この投稿は削除され、22日に投稿された「下ネタとセクハラ、表現の自由とハラスメントの境界線について」というブログエントリーには、
「自分の謝罪文が何に対して謝罪しているのかよくわからなくなったことと、流れを見ずに謝罪文だけを見て新たに絡んでくる匿名アカウントがあとを絶たないので、謝罪文も該当ツイートも削除しました」
と記されている。
■「童貞いじり」はセクハラか否か童貞を笑いのネタにして嘲る、いわゆる「いじり」は、セクハラにあたらないのだろうか。
ライターの村田らむ氏はFacebookの公開投稿で、「童貞(童貞的思考、なども含む)が大好きすぎて、こんなにも『言われて嫌だ』と思う人がいると全く思わなかった」という伊藤氏の投稿を受けて、
「童貞をいじられて、嫌だと思わない男がこの世にいるのかな。童貞じゃないけど、それでも今でも傷つくよ」
と述べている。童貞いじりが、未経験者のみならず、その頃の鬱屈した記憶があるすでに童貞を捨てた男性にも不快感を与える性的発言であるという、ひとつの証左だ。
■「いじり」への警鐘も一方、官能・怪奇小説を著し、性表現にくわしい作家の川奈まり子氏は、しらべぇ編集部の取材に対して、伊藤氏に同情を示しつつ次のように述べた。
「私は、はあちゅうさんの童貞いじりに限らず、お笑い番組などが流行らせた『いじり』全般をかねてから不快に思っていました。『いじり』は差別や虐待を娯楽化して暴力性を隠蔽してしまうマジックワード。
そういう意味では『ちかん』『いじめ』という言葉と似ていて、いじっているほうは加害者の自覚がないことが多いのでは。しかしいじられているほう(この場合は童貞)は痛みを感じているわけです。だからはあちゅうさん自身は全く悪気がなかったのに多くの男性の怒りを買っていたんですね。
『いじり』の加害性に気づいていた人々からも良く思われてはいなかった。でも、彼女の童貞いじりとセクハラを告発したことは関係がありませんよね。たとえば、はあちゅうさんがセクハラしたことがあったとしても、『されたセクハラ』を告発することができなくてはいけないと思います。
泥棒が泥棒されたらいい気味だと嗤うようでは、法治国家とは言えません。私たちは進歩すべきだと思います。もっと洗練され、スマートで、公正な社会にしていきたいと思いませんか?」
童貞いじり問題とセクハラ告発は、それぞれ別のものとして取り扱われなければならないだろう。
■弁護士の見解は…レイ法律事務所の松下真由美弁護士は、昨今「女性から男性へのセクハラ」も増えてきていると語る。
松下弁護士:近年では、女性から男性に対するセクハラ、いわゆる「逆セクハラ」などと呼ばれる被害に遭ったというケースも散見されるようになってきています。
まず、セクハラとは、一般に、相手の意に反して行われる、性的なことに関連する嫌がらせのことを言います。セクハラに該当するかどうかは、被害を受けた人の主観を重視しつつ、一定の客観性、つまり、平均的な人だったらどう感じるかということに照らして判断されます。
セクハラは、会社内での処分の対象になることはもちろん、民事での金銭的な賠償を請求される可能性もあります。また、行為態様にもよりますが、非常に悪質な場合には、強制わいせつ罪や名誉毀損罪、侮辱罪などに問われることもあります。
男性から女性に対する行為であっても、女性から男性に対する行為であっても、相手の気持ちを思いやれなければ、セクハラになり得ます。とくに、逆セクハラの事案については、「男女がもしも逆の立場だったら」と考えてみると、違う感想が生まれてくるかもしれませんね。
伊藤氏に対する批判が、セクハラ告発の芽を摘むようなことは許されない。他方、「相手の意に反して行われる、性的なことに関連する嫌がらせ」は、決して「男性→女性」の関係性においてだけとは限らないことも心しておきたい。
(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/レイ法律事務所・松下真由美弁護士 川奈まり子 村田らむ)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
・調査期間:2017年11月17日〜11月20日
・調査対象:全国20〜60代男女1,328名(有効回答数)
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