2017-12-24

プラントハンター」について

最近、「プラントハンター」を肩書とする方の行動が物議をかもしているようなので、思い出したこと。

あるとき、話の流れで西畠清順氏の活動外国人英語説明することになり、「彼の職業plant hunter だそうです」と述べたところ、

プラントハンター?」

と聞き返されました。

「西畠氏の家業は花や植物の卸問屋ですが、彼自身世界各地で珍しい植物を見つけてきて売買したり、イベントを行ったりしているようです。16世紀オランダチューリップをもたらしたり、18世紀ロンドンキューガーデンにある植物をもたらしたりしたプラントハンターにちなんでいるみたいです」

説明しますと、

「それを日本ではポジティブ仕事として受け止めているのか?」

と驚かれました。そこで私から

プラントハンターという職業帝国主義による植民地支配産物であることは、私自身は多少理解しています。そしてそれが欧米ではかなりネガティブに響く言葉だということも。ただ、日本人には、残念ながらそうした知識認識理解もあまりありませんし、なにより西畠氏は、プラントハンティングによってめずらしい植物を手に入れて紹介することによって人々が多様な植物に触れて喜んだり、新薬や新しい食品の開発につながったりする面に誇りを感じ、この肩書を使われているようでして」

とこたえました。すると、

plant hunting や plant hunter という言葉は、現代英語ではネガティブしか響きません。この言葉は、帝国主義による植民地資源略奪行為称揚することにつながりかねないのも問題だし、現実として、帝国時代プラントハンター行為が、原生地の植生に悪影響を与えたり、異国の植物をもたらした側の土地植物多様性に悪影響を与えたりしたことも少なくなかったのです。生物多様性条約にもあるとおり、近年は原生地植物多様性包括的に維持することが国際的に強く意識されており、たとえ有用薬品食品開発のための植物採集であっても、非常に慎重に採取すべきとされています。それなのに、日本人は未だにそのような軽々しいエキゾティズムを喜んで受け入れているのですか。」

絶句されてしまいました。(注:exoticとか exoticismは基本的ネガティブニュアンスです。本質理解せず表面的な異国情緒に惹かれるようすを表す感じです)。続けて相手は、

そもそもハンターとかハンティングという言葉も、あまり良いニュアンスではなく、せめて plant collectorとすべきでしょう。たしかに、イギリスキューガーデンは魅力的な施設であり、膨大な植物コレクションの構築に貢献したのは大英帝国プラントハンターたちですが、プラントハンティングとは、振り返ってみれば、本質的に、帝国による植民地に対する略奪行為だったのです。そのことを認識しないで、ただめずらしい植物の美しさをうっとり楽しめばすむ時代は、少なくとも英国ではとうの昔に終わっています

とも。

増田に書いてどうなるものでもありませんが、例のクリスマスツリーの一件を知り、記しておきたくなったので。

  • anond:20171224131440

    ハントって言葉はいい感じしないよね 狩る/狩られるの一方的な搾取であり狩られる側の都合は一切無視です、と自ら宣言している感がある

記事への反応(ブックマークコメント)

 
 
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