武雄市と樋渡啓祐前武雄市長が市議に敗訴した損害賠償請求訴訟に絡み、市が支払った賠償金を前市長に請求しないのは違法として、市民12人が市に対し、樋渡前市長に約36万円を請求するよう求めた訴訟の判決が22日、佐賀地裁であった。立川毅裁判長は市民側の主張を認め、市に対し、同額の支払いを樋渡前市長に請求するよう命じた。

 発端になった前市長の発言の過失程度や、市が求償権を行使しないことの違法性の有無が争点になった。

 立川裁判長は判決理由で、発言を「故意に基づくもの」として、求償権行使の対象になると判断。地方自治体の債権管理について「客観的に存在する債権を理由なく放置したり免除したりすることは許されない」とした上で、市側が発言の故意性を認定できる資料を持っていることなどから、「求償権を行使しない判断に合理性があるとは認められない」と指摘した。

 判決によると、樋渡前市長が市議会で「借金を踏み倒した」と発言したことなどを巡って市議らが起こした損害賠償訴訟で、武雄市は敗訴。市は昨年5月、市議に遅延損害金を含めて約36万円を支払った。

 判決を受け市民側の弁護団は「極めて妥当な判決。市は肩代わりした賠償金相当額の返還を速やかに求めるべき」とコメントした。市は「今後の対応を弁護士と協議したい」と述べた。