18年度予算案を閣議決定 97兆7128億円、社会保障拡大

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2017/12/22 10:24 (2017/12/22 12:03更新)
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 政府は22日、2018年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は17年度比2581億円増の97兆7128億円と6年連続で過去最大を更新した。高齢化で年金や医療にかかる社会保障費の拡大が止まらない。戦後2番目の景気回復期が続くなか税収は1兆3670億円増の59兆790億円を見込むが、歳出は税収を大きく上回る。歳出改革は道半ばで、借金頼みの財政運営が続く。

閣議に臨む安倍首相と麻生財務相(22日午前、首相官邸)

閣議に臨む安倍首相と麻生財務相(22日午前、首相官邸)

 政府は18年1月下旬に召集する通常国会に予算案を提出し、年度内の成立を目指す。一般会計の歳出総額は会計上の特殊要因を除くと09年度予算から10年連続で過去最大を更新する。

 安倍政権の看板政策である「人づくり革命」では保育の受け皿を広げる予算などを計上。「生産性革命」にはインフラ整備を加速する費用などを盛り込んだ。麻生太郎財務相は閣議後の記者会見で「人づくり革命や生産性革命など予算にメリハリがついた」と述べた。

 歳出の3割超を占める社会保障費は32兆9732億円で17年度を4997億円上回る。高齢化で年金が11兆6853億円と1.8%増、医療は11兆6079億円と0.9%増える。少子化対策は1.4%増の2兆1437億円を計上する。

 18年度は6年に1度の診療・介護・障害福祉の3報酬の同時改定となる。焦点だった診療報酬は薬価を引き下げたものの、医療職の人件費などに充てる本体の改定率はプラス0.55%とした。介護報酬と障害福祉報酬はともに引き上げた。

 防衛関係費は6年連続で増え、過去最大の5兆1911億円。北朝鮮の核・ミサイル開発への対処に力点を置き、米軍の陸上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」導入に向けた基本設計費や日米で共同開発した新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の取得費を盛り込んだ。公共事業費は5兆9789億円、文教および科学振興費は5兆3646億円でいずれも微増とした。

 税収は全体で59兆790億円と27年ぶりの高水準になると見積もる。好調な企業業績を背景に株式配当が増加し、所得税収を中心に大きく伸びる。新たに国の借金となる新規国債の発行額は33兆6922億円と8年連続で前年度を下回る。

 19年1月に導入する新税「国際観光旅客税」の税収は18年度に約60億円を見込む。観光庁の予算は38億円増え過去最大の248億円となる。新税の税収から20億円は出入国管理に使う新型機器導入に充てる。

 税収で国債費を除いた政策経費をどれだけ賄えるかを示す国の基礎的財政収支は10兆3902億円の赤字。17年度は10兆8413億円の赤字と見込んでいた。税収の伸びに比べて赤字の改善は限定的となりそうだ。

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