【日本の皇族・華族の制度は,明治時代に新しくも特別に創られていたが,21世紀のいまにおいても,どこまでも使っていくつもりか】
【貴なる者,必ずしも尊ならずの実例】
① 竹田宮の誕生・由来
1)竹田恒和の出自など
この竹田宮(たけだのみや)は,明治後期に北白川宮能久親王の第1王子(庶長子),恒久(つねひさ)王が創設した宮家である。ここで「庶子」とは「正室ではない,つまり側室の女性から生まれた子供」を指す。結婚(婚姻)制度の確立により生じた概念である。
ただし,そのような制度が確立していない以前の社会においては,母親の身分や両親の関係によって区別を受けた以外,嫡出・庶出といった区別は意味をもたなかった。また正室は妻,側室とは妾,あるいは「第 × 夫人」とも呼ばれる。
出所)https://ja.wikipedia.org/wiki/竹田宮#竹田宮恒徳王
ちなみに,明治天皇の奥方は,何人いたか? 「1人の正室」+「5人の側室」であった。
関連させて特定の氏名をとりあげて記述する。最近の日本社会のなかでは,すっかり芸能人であるかのように振るまっている “デヴィ・スカルノ” (旧日本名;根本七保子〔ねもと・なおこ〕)は,縁あってインドネシアに渡り,数年間スカルノ大統領の愛人となっ
スカルノの4人いた夫人のうちの第3夫人になっていた。また日本の民法流にいえば,デヴィはスカルノ大統領との間に生んでいた一人娘のカリナがいるが,この子どもはスカルノからすると「庶子」に相当することになる。
出所)画像は,http://s-bellkochan.com/9774.html
さて,本ブログ 2017年12月09日の記述,「本間 龍『電通巨大利権-東京五輪で搾取される国民-』は,東京五輪(汚倫疲苦)大会に巣くう “オリンピック貴族たちの金銭的野望” を批判,ボランタリーでの参加は無用だと警告」のなかに登場した人物に,冒頭の竹田宮恒久の孫に当たる竹田恒和(「宮」という文字はもともと不要)がいた。この恒和が日本オリンピック委員会(JOC)の会長を,あたかも世襲が当然であるかのような事情でもあるのか,長期間にわたり務めている事実が注目されてよい。
明治時代には皇族がたくさん増殖させられ,維新以降(!?)における万世一系の血統(皇統)を確実に継承・維持するためだとして,新しく「宮家」をたくさん創設していた。そのうちの1家が竹田宮であった。この宮家のなかで,それも創設者1世の庶子系の孫(3世目)に当たる人物の1人が,竹田恒和であったことになる。前掲の家系図をいま一度みてほしい。
竹田恆和(たけだ・つねかず,1947〔昭和22〕年11月1日生まれ)は,東京都出身で,旧皇族竹田宮恒久の「子:恒徳」の「三男」(つまりその孫の1人)である。
出所)画像は竹田恒和,http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20160516/k00/00e/050/197000c なお,この写真に関する記述は後段に出てくる。「衆院予算委員会に参考人として出席し,民進・玉木雄一郎氏の質問への答弁に立つ竹田恒和JOC会長=国会内で2016年5月16日」。
現在まで,日本オリンピック委員会(JOC)会長を長く務めてきているが,国際オリンピック委員会委員でもある。2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事,国際馬術連盟名誉副会長(終身),日本馬術連盟副会長,ミュンヘンオリンピック・モントリオールオリンピック馬術日本代表なども兼任している。また,旅行会社のエルティーケーライゼビューロージャパン株式会社(東京都知事登録第3-4798号)代表取締役社長。。
竹田恒和の父「竹田恒徳(つねよし)」(1909〔明治1876〕年3月~1992年5月)について,説明する。この竹田恒徳は「父:竹田宮恒久」と「母:明治天皇の第6女常宮昌子」のあいだに生まれていたから,昭和天皇の従弟にあたる。元陸軍少佐(比島派遣軍参謀)で,軍人としては陸軍中佐まで昇進していた。配偶者は三条光子,儲けた子どもは,恒正・素子・紀子・恒治・恒和の5人。
敗戦後は,1947〔昭和22〕年10月14日に皇籍離脱となっていた。その後,繊維会社を経営し,日本オリンピック委員会委員長・国際オリンピック委員会理事・国際オリンピック委員会名誉委員・日本馬術連盟会長・日本スケート連盟会長・全国ラジオ体操協会会長・日本体育協会専務理事などを務めた。
つぎの ② の記事は1年半ほど前の報道であったが,すでに2020年に東京でオリンピックが開催されることが決まって以降の話題であった。そういえば,こういう問題が発生し,騒がれていた事実を,ここであらためて思いだすことになった。
②「旧皇族が国を代表する組織のトップを務める理由とは」(『週刊ポスト』2016年7月22・29日号)
東京五輪招致の不正疑惑で揺れる日本オリンピック委員会(JOC)。そのトップとして会見などで目にする機会が増えたのが竹田恆和会長だ。「旧皇族」竹田家の出身である。旧皇族が「理事長」「名誉顧問」など国を代表する組織のトップを務めるケースは枚挙に暇がない。
竹田恆和氏の兄である恒正氏は昨〔2015〕年,日本ゴルフ協会会長に就任。北白川道久氏は神社本庁の統理を,東久邇信彦氏はプロ・アマ合同の「全日本野球会議」の名誉会長,朝香誠彦氏は日本食文化協会最高顧問を務めている。
旧皇族とは,前述にも指摘したように,敗戦後(1947年10月14日)にGHQ(連合軍総司令部)の命令で皇籍を離脱した11の宮家のことであるが,彼らがこうした「名誉職」に就任するのはなぜか。神道学者で皇室に詳しい高森明勅氏が解説する。
「JOCや神社本庁など,公共性の高い組織では,民間の営利企業のトップのように “人を押しのけてはい上がってきた人” よりも,公共性や神聖性を体現できる旧皇族関係者がトップに立ったほうが収まりがいい。名誉職は営利企業とは別の論理で選ばれる必要があります」。〔記事に戻る→〕 竹田恒和会長の息子で『語られなかった皇族たちの真実』(小学館刊)の著者,竹田恒泰氏はこう指摘する。
補注)元皇族に属していた人びと(人材)のほうが,団体組織の「公共性や神聖性を〔よりよく?〕体現できる」のだといいたいらしい理屈は,はたしてそのまま百パーセント信頼に値する解説として聞いておいてよいのか? まともに常識的に考えてみて,そうだと絶対的に確言できるのか?
こういった特定の疑問が抱かれて当然である。旧皇族関係者は「人を押しのけてはい上が」ることをしていない「人間の集団」だといったふうな説明じたい(定義?)についても,はたして,それに超絶的な真理である理由がみつかるというわけでもなく,ひとまず以上のように疑問符を突きつけておかないといけない。
その「公共性や神聖性を体現できる」人物・人材(⇒「人を押しのけなくとも上昇気流に乗れる者たち」?)が,どうみても「彼ら以外には全然いない:みいだせない」という発想じたいからして,どだい十二分に信頼性が置ける見解とはいえない。
だが,それでもともかくも「そうなのだ」と,ただ一方的に断定したいかのような態度だけが披露されている。皇族「神聖視・観」に拘泥した “虚偽のイデオロギー” が,そこでは,みごとにかつ露骨に展示されている。
「JOC会長は組織の責任者で名誉職ではありませんが,オリンピックは元々,欧州の貴族が “平和の祭典” として実現に関与し,いまでも王族や貴族の関わりが深い。父は旧皇族であることにくわえ,二度の五輪出場経験(馬術)があり,JOCともかかわりが深いために推挙されたのだと思います」。つまり,故意に勘ぐっていってしまえば,余人をもってしては代えがたいIOC用の人材がこの竹田恒和だし,しかも,このことをその息子である恒泰が自信をもって独白してもいる。いいかえれば,JOCの会長やIOCの委員になる人物としては「父=恒和」がもっとも適材適所なのだと,この当人の子息が主張している。結局,かなり鼻白む話題になっている。
註記)https://www.news-postseven.com/archives/20160713_428858.html
③ ツイート「本間 龍 ryu.homma @desler」の紹介
本間 龍は,前掲した本ブログ12月9日の記述で大きくとりあげた人物であるが,つぎのように竹田恒和の存在を形容・批判していた。
④「竹田恒和委員の定年延長へ 〔20〕20年東京五輪に向け」(『産経ニュース』2017.9.12 12:59更新,【IOC】【東京五輪まで3年】)
前段のツイートを書き出しておく。「〔20〕01年から10期連続,さすが『オリンピック貴族』ですなぁ。他の理事も大方が60歳以上なのに二度びっくり。こういう人々が,ボランティアなんてタダでこき使えばいい,と考えるんだろうな」。「JOC竹田恒和会長を再選 橋本聖子氏が副会長昇格」。
出所・註記)https://twitter.com/desler/status/882565141425823744 画像もここから。
国際オリンピック委員会(IOC)が,日本オリンピック委員会(JOC)会長で,日本でただ1人のIOC委員である竹田恒和氏(69歳)について,原則70歳の委員の定年を延長する方針であることが〔9月〕11日,関係者の話で分かった。五輪憲章は最大4年の延長が可能と定めている。13日にリマで始まる総会で審議される見通しで,正式決定すれば竹田氏は2020年東京五輪まで委員を務めることになる。
2012年にIOC委員となった竹田氏は11月で70歳になり,定年延長がなければ年末に退任することになる。五輪憲章は「IOC委員は当該国の国内オリンピック委員会の執行機関のメンバーとなる」と定めている。
2019年に次回役員改選を迎えるJOCには「選任時70歳未満」の役員定年規定があるが,役員選考では五輪憲章を踏まえる必要があり,過去にも例外的に定年規定を適用しなかったケースがあることから,竹田氏がJOCでも2019年以降,引きつづき役員を務める可能性が出てきた。(共同)
註記)http://www.sankei.com/tokyo2020/news/170912/tko1709120002-n1.html
要は,個人(竹田恒和)の具体的な年齢を特別に考慮し,公益性のあるJOC委員(会長)の「選任時70歳未満」の役員定年規定は,この恒和に関しては「例外的に定年規定を適用しなかったケース」にしておく可能性が出てきた,という報道であった。きっと,もとは皇族だった人物のことだから,「公共性」にくわえて「神聖性」の要素も具備する人物として恒和が最適だという判断が下されたのかもしれない。
竹田恒和でなくとも財界・官界・政界のなかからは,JOC委員(なかでも会長職)に就きたいと欲望する者は「いくらでもいるはず」である。だが,いつもまでも旧皇族関係者を特別あつかいしてきた弊習は,いいかげんに排除しておいたほうが,民主主義国である日本・日本国・日本国民「全体」のためにもなるはずである。つぎの ⑤ は彼に関する「神聖性」の問題性を考えさせる材料をとりあげている。
⑤「竹田恒和・JOC会長,コンサルに2.3億円を決済 調査チーム立ち上げへ【東京招致疑惑】」(吉野太一郎稿『HUFFPOST』2016年05月23日 14時06分 JST)
2020年東京オリンピック・パラリンピック招致時に,東京側からシンガポールのコンサルタントに支払ったとされる200万ユーロ(約2億3000万円)は,招致委の理事長だった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長がサインしていた。竹田氏は共同通信の取材に対し,以下のように事実関係を認めた。「招致委のルールにのっとって組織的に処理されている。事務局が(契約内容を)精査し,最終的に(自分が)サインした」。
朝日新聞デジタルによると,竹田氏は2013年7月,シンガポールのコンサルタント「ブラック・タイディングス」社と結んだ約9500万円の契約書にサインした。 「一定金額以内は事務局,それ以上は理事長などの規定がある。それに沿って契約した。これから調査チームが明らかにするだろう」
竹田氏は,イギリスのガーディアン紙が疑惑を報じた〔5月〕13日の時点では,共同通信など報道各社の取材に,以下のように述べていた。「(タン氏に)会ったことはないし,会社もしらない」。これに対し,事務局長だった樋口修資・明星大教授は17日,以下のように反論していた。「それはない。竹田さんがご存じないということはありえない」。
ブラック・タイディングス社について,JOCは,大手広告会社の電通を通じて,「十分業務ができ,実績がある」との回答をえたため,契約したとしていたが,電通はFNNに対し「これまで,ビジネス上のつきあいはない。こういう人なんじゃないでしょうかとしる範囲で伝えた」としている。
朝日新聞デジタルによると,JOCは23日にも,弁護士をトップとした調査チームを立ち上げ,支払いの違法性について調べる。
註記)http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/23/takeda-tsunekazu-joc_n_10101464.html
JOC内に発生しているそうした問題を,自組織内で調査チームを組んで調査するというやり方は,どうしても不徹底にならざるをえない点を配慮してみれば,いまひとつ解せない試みであった。JOCの「公共性」じたいが問題となっているが,この局面においてはたしかに,「神聖性」の要因も関連する問題として絡んでいた。「旧皇族の子孫:竹田恒和」にかかわる疑惑であるゆえ,これを真っ向から本格的に精査できるのかといえば,誰であっても一定の疑念を抱くことになる。これは日本社会内では常識的な理解ではないか。
⑥「東京五輪招致の裏金問題で “厚顔” 答弁…JOC竹田恆和会長に自動車事故で女性を轢き殺した過去が!」(『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016.05.18)
a) 2020年東京オリンピック招致にさいしての裏金賄賂疑惑をめぐり,〔2016年5月〕16日の衆議院予算委員会に,招致委員会で理事長を務めていた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恆和会長が参考人として出席した(前掲した写真がその場面)。
その招致委員会は,シンガポールにあるブラックタイディングス社の代表イアン・タン氏にコンサルタント料として,2億円超の大金を支払っていた。しかし,イアン氏は国際陸連前会長で国際オリンピック委員会(IOC)の選考委員で,大きな力をもつラミン・ディアク氏の息子と深い関係にあり,この金がブラックタイディングス社を通じて賄賂として渡ったとの疑惑が浮上。フランスの捜査当局が捜査を開始する事態となった。
これに対して,竹田会長はこの日の国会で,BT社への2億2000万円〔前述のようにこれは金額で「200万ユーロ」のこと〕の支払いを「コンサルティング料」「正当な手続」としたうえ,選考委員の息子との関係をしらなかったといいはった。また,このブラックタイディングス社がペーパーカンパニーだという疑惑についても,完全否定した。
出所)左側がラミン・ディアック,http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-62cc.html
しかし,その説明はとても納得できるものではなかった。そもそも,2億円というのはコンサル料として巨額すぎるし,BT社への支払いは,2013年7月に9500万円,10月に1億3500万円と二回に分けておこなわれているが,そのうち,10月の支払いはIOCの総会で東京での五輪開催が決まったあとのこと。
その名目は「勝因分析」と説明していたが,選ばれたあとの分析に1億円支払うなんていうのは明らかにおかしい。これはどう考えても,招致の成功報酬として渡されたものだろう。
また,ブラックタイディングス社の所在地は,築50年近く経った古い公営住宅の一室で,どこからどうみてもオリンピック招致に関する高度なコンサルティング業務をおこなえるような会社ではない,典型的なペーパーカンパニーである。
これで「正当な手続」などといいはるのだから,竹田会長の態度はもはや厚顔としかいいようがない。というか,そもそも竹田会長は,まともな調査などまったくしていないペーパーを朗々とした調子で読み上げているだけで,この問題に対する当事者意識も,疑惑をきちんと調査しようという姿勢もまったく感じられなかった。
b) 竹田恆和氏といえば,あのネトウヨタレント・竹田恒泰氏の父親ではあるが,旧皇族・竹田宮家の生まれで,明治天皇のひ孫,今上天皇〔平成天皇明仁〕とは,はとこにあたる。2001年からJOCの会長を務めつづけており,人望も厚いといわれていた。それが,まさかこんな不誠実な姿勢を示すとは……。
しかし,この人の不誠実や厚顔はもともとのものなのかもしれない。その一端がかいまみえるのが,竹田氏が起こした不祥事とその対応だ。 実は,竹田氏は40年ちょっと前,若い女性を轢き殺す交通事故を起こしたことがあるのだ。
当時,竹田氏は馬術の選手で,国体の試合に出るため会場に車で向かう途中のことだった。この事故について,1974年10月23日付の読売新聞夕刊が〈五輪馬術代表の竹田選手 女性はね死なす〉という見出しで記事にしているので,全文を紹介しよう。
茨城国体に出場する東京都の馬術選手の乗用車が,〔1974年10月〕22日夕,会場近くの茨城県稲敷郡新利根村で歩行者をはね,死亡させた。このため,東京都は,23日以降の全馬術競技の出場を辞退した。40年以上前の話とはいえ,こんな重大事故を引き起こした人物が,いま,日本の五輪組織のトップに君臨しているというのも驚きだが,問題だと思うのはこの事故のあとの竹田氏の身の処し方だった。
22日午後5時ごろ,新利根村角崎の県道を歩いていた同村 ×××× ,会社員 ×××× さん(22歳)は,茨城国体馬術競技東京都代表,竹田恆和選手(26歳)(東京都港区高輪3の13の1)の乗用車にはねられ,頭を強く打って近くの病院に収容されたが,23日午前零時過ぎ死んだ。江戸崎署の調べでは,竹田選手が対向車のライトに目がくらんだのが事故の原因。
竹田選手はIOC(国際オリンピック委員会)委員の竹田恒徳氏の三男で,馬術のミュンヘン・オリンピック日本代表。茨城国体には,23日午後の一般飛越競技に東京都の代表選手として出場するため,会場の同郡美浦村の馬術会場近くの合宿所に行く途中だった。竹田選手の事故責任をとり,東京都チームは23日朝,この日以降の全馬術競技の出場を辞退することを決定,大会本部に連絡した。
新聞報道によれば,明らかに竹田氏側の過失だと思われるが,竹田氏は重い刑事責任を問われることもなく,ほどなく馬術競技に復帰。事故から2年も経っていない1976年に開かれたモントリオールオリンピックに出場している。
c) 通常の会社勤務なら,死亡事故を起こすと解雇になるケースも多いし,スポーツ選手では,最近,バトミントン五輪代表選手が違法カジノに出入りしていただけで,無期限の競技会出場停止になり,リオ五輪の出場権を剥奪された。それらと較べれば,雲泥の差だろう。
「被害者と示談が成立したというのもあるでしょうが,竹田氏の場合はやはり宮家の威光というのが大きかったようです。周辺の政界人脈が動いて,事故の影響を小さくし,すぐに復帰できるようにお膳立てしたようです。復帰した時もほとんどマスコミには叩かれなかったようですね」(スポーツ関係者)。
もちろん,交通事故は過失であり,人を死なせた人間にも人生をやりなおすチャンスは与えられるべきだ。しかし,これだけの大事故を引き起こしていたら,やはり五輪のような華々しい表舞台からは身を引くのが普通の神経だろう。ましてや,竹田氏の場合は,事故の影響で東京チームが連帯責任をとって,国体の出場をとりやめているのだ。それが,本人がすぐに五輪出場とは……。
しかも,竹田氏はこの後,1984年のロサンゼルス五輪で日本選手団コーチ,1992年のバルセロナ五輪で日本選手団監督と,JOC内部でどんどん出世していくのだ。そして,2001年にはとうとう日本オリンピック委員会(JOC)会長に就任し,以来,16年という長い期間にわたって,JOCトップに君臨しつづけている。
「JOCでの力は完全にコネですね。竹田さんの父である竹田宮恒徳王が戦後,JOC会長,IOC委員を務めており,JOCは以前から竹田家と縁が深かったんです。それで,父君の時代の側近たちがお膳立てして,息子の恆和さんのJOC会長への道筋をつけたんです」(前出・スポーツ関係者)。
つまり,竹田恆和という人物は,どんな不祥事を起こしても周りがカバーしてくれて,出世の段どりをしてくれるという環境のなかで生きてきたのだ。そして,本人も無自覚にそれに乗っかっていく。そういえば,2020年のオリンピックの開催地を決めるIOC総会前の会見で,外国人記者から福島原発の影響を聞かれて,
竹田会長は「福島は東京から250キロ離れており,皆さんが想像する危険性は東京にない」と発言。まるで福島を切り捨てるような,あまりに他人事な発言に批判が殺到した(といっても,海外メディアとネットだけで,国内マスコミはほとんど批判しなかったが)。
d) 要するに,こういう人物だから,今回のような贈収賄に問われる重大事態が起きても,まったく当事者意識がなく,問題解決ができないのだろう。いや,今回のことだけでなく,これまで起きた国立競技場やエンブレム問題などもそうだ。
竹田会長の当事者意識のない無責任な姿勢が森 喜朗氏や電通の暴走を許し,さまざまなトラブル,不祥事を誘発してきたともいえるだろう。こんな人物がトップにいるかぎり,東京五輪の混乱がまだまだ続くであろうことは間違いない。(井川健二)
註記)http://lite-ra.com/2016/05/post-2254.html
http://lite-ra.com/2016/05/post-2254_2.html
http://lite-ra.com/2016/05/post-2254_3.html
なかんずく「神聖性」,つまり旧皇族の血筋に連なっていて,JOCやIOCにも昔から深い関係をもちつづけてきた竹田恒和は,もともと〔生まれつき?〕「公共性」(公益性?)を上手に備えてきた人物であるかのように,不当にも特別視される待遇を受けてきている。これからも,終生着いてまわるべきその特権になるのか? ここまでの論及からでもおよそ明白になっていた問題点であった。
⑦「【スポーツ異聞】なんと10期目! いつまで続くJOC竹田体制 現規則では2019年に退任だが」(『産経ニュース』ウェブ版,2017.7.19 17:00更新)
公益財団法人,日本オリンピック委員会(JOC)の臨時理事会が〔2017年〕7月4日,東京都渋谷区の岸記念体育会館で開かれ,竹田恒和会長(69歳)がまたもや再選した。任期は2年で,竹田会長は実に10期目に入る。
補注)つまり任期の合計は20年。年齢のことを考慮したら,ほとんど終身に近い任期になりつつある。
任期途中で急逝した八木祐四郎前会長から2001年10月に引きついで以降,竹田氏がJOCの舵とり役を担っている。いま任期をまっとうすれば,約18年にも及ぶ,過去に例のない “超長期政権”だ 。田舎の村長でも,ここまでの “長期政権” にはちょっとやそっとでお目にかかれないだろう。ちなみに,会長は理事の互選で決める。
補注)つまり,旧皇族の血統を有する竹田恒和は「理事の互選」でもって,JOC会長職に推挙されるのには,まことにふさわしい人物だという解釈:観察ができる。彼の「神聖性」の前では「公共性(公益性)」など,簡単に遠のけられてしまう事情があると推理しておく。
JOCは,54競技団体が加盟(ほかに準加盟団体5,承認団体4)している,いわば競技団体の “総本山” 。選手強化とともに,五輪をはじめ国際大会への派遣などが主な仕事だ。国際オリンピック委員会(IOC)の “日本支部” 的役割も担っている。五輪で選手団が結成されたさい,団長を務めるのはJOC会長か選手強化本部長が多い。実際,竹田会長は2002年ソルトレークシティー冬季五輪と2004年アテネ夏季五輪で選手団団長を務めている。
もともとは,日本体育協会(戦前は大日本体育協会)の内部にある委員会であったが,日本がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議するため,モスクワで開催された1980年の夏季五輪をボイコットした反省から,「政治とスポーツ」の分離を唱え,1989年に,JOCが法人格の取得の手続をとった。そのさいに,トップの名称を委員長から会長に “格上げ” したのがJOC会長の始まりである。当時,全日本スキー連盟会長だった堤 義明氏が就任した。
2年後の1991年に,財団法人を取得し,体育協会から完全に分離独立。その後,堤氏が辞任し,後任に “フジヤマのトビウオ” としてしられる日本水泳連盟会長(当時)の古橋広之進氏がJOC会長についた。
出所)現役時代の古橋廣之進,http://history365days.blog.fc2.com/blog-entry-488.html
古橋氏の後継者が八木氏であり,その後,バトンを受け継いだのが日本馬術連盟副会長の竹田〔恒和〕氏である。完全独立後,3代目に当たる。馬術競技で1972年ミュンヘン五輪,1976年モントリオール五輪に出場した “オリンピアン” 。もちろん,それだけでは会長になるのは物足りない。父親が旧皇族の竹田宮だったことが大きい。五輪の結団式,解団式などで,皇族と接する機会が多いからだ。
補注)竹田恒和がオリンピックで馬術競技に参加し,6位までに入賞したのか,あるいはメダルをとっていたのか? 競技の成績は以下のとおりであって,パッとしない。つまり「参加することに意義があった」といえる程度の成績しか記録できていない。
ⅰ)1972年ミュンヘンオリンピックで,日本代表として馬術の障害飛越競技に出場,乗馬はジョセフィンで,個人42位,団体16位。
ⅱ)1976年モントリオールオリンピックで,乗馬はフィンク,個人39位,団体13位。
当初は,JOCの選手強化の大きな役割のひとつとして,選手の強化費を競技団体や選手に重点配分するものがあった。それなりの存在意義があったのである。ところが,強化費はサッカーくじ(toto)から配分されるようになると,強化費配分の主導権は日本スポーツ振興センター(JSC)に移った。JOCの大きな仕事は失われたのである。
存在感もなくなっている。昨〔2016〕年,東京都の小池百合子都知事が,バレーボール会場として有明アリーナ新設など2020年五輪の施設を見直そうとした問題では,JOCが “声をあげなかった” のは事実だ。国・東京都・組織委員会の “谷間” で埋没してしまっているのが現状だ。
現在,進行中の日本バレーボール協会の会長不在問題や,日本ハンドボール協会の “内紛” など,加盟競技団体の “お家騒動” が相次いでいるが,解決のための指導力を発揮できないでいる。JOCの鼎(かなえ)の軽重が問われている。
今回の臨時理事会で,全柔連会長の山下泰裕氏(60歳)がJOCの選手強化本部長に就任した。一部,スポーツ紙などは東京五輪へ “朗報” と受けとめたが,実際,山下氏は他競技団体の選手を直接指導するわけにもいかない。手の出しようもない。
話を竹田会長に戻すと,竹田氏の任期が切れるのは2019年。五輪の前年だ。規則では,70歳以上の者は会長になれない。竹田氏は今〔2017〕年11月に70歳になる。さて,どうするか。規則を改正し,11期目に強行突入するのか,他のフレッシュな会長で日本開催の五輪に臨むのだろうか。
補注)この問題点については前述にあったとおりだが,竹田恒和がJOC会長を11期目まで継続するとなれば,皇統に連なる血統の「神聖性」をもつこの人間の前では,「公共性(公益性)」などは全面降伏しているといった具合に, “日本的な秩序の深淵” をみせつけられることになりそうである。「天皇・天皇制は偉大なり」とでもいうわけか。元皇族の末裔は「葵の紋」的な血統書をもちあわせているのか。
註記)以上本文は,
http://www.sankei.com/premium/news/170719/prm1707190004-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/170719/prm1707190004-n2.html
http://www.sankei.com/premium/news/170719/prm1707190004-n3.html
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