報告概要
兼ねてから推進してきておりました、「女型アンドロイド試作2号機(仮)」の研究結果および保護・量産任務の失敗をご報告いたします。
大佐が予々提言しておられました、感情、特に「エガオ」こそが人間の唯一の害悪という信念を抱いた我がアンドロイドは、敵の新型「ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)」らによって奇しくも強奪され、その開いてはならぬ扉をこじ開けてしまったのであります。
この調査書を、大佐が最後まで読まれるころには、鉄壁の感情を持つ我が方の「女型アンドロイド試作2号機(仮)」を打ち崩した例の敵方の新型が、もはや目前まで迫ってきているかもしれません。
ここに「ももいろクリスマス 2014 Day1」で起こった出来事を端的に書き記し、敵方のデータを大佐にお渡ししておきます。
しかしながら、この新型コードネーム「ももクロ」のアップグレードの速度やいなや、「通常の3倍」とも噂されております。
この調査書をご覧になった後、大佐は速やかにお逃げください。
我が軍に栄光あれ!
敵機体データ概要(人物紹介)
本データは正確なものではありません。
この「ももいろクリスマス 2014」戦役で垣間見れた一部を集約して、主たる5体のアンドロイド(あるいは◯ビルスーツ)についてまとめておきます。
①レニ=タカギ(高城れに)
「パープル」のオーラを放ち、一見旧型のアンドロイドのように思われますが、その破壊力のある「エガオ」は、人々の心を打ち、我が方の「女型アンドロイド2号機(仮)」にも大きく影響を与えたはずであります。
私は、旧ジ◯ンの紫色の機体、ギ◯ンのような印象を受けました。
後述する「黄色い閃光」と共に挑んだ「魔術」じみた連携攻撃では、巧みに剣を操る姿がはっきりと目に焼き付いたものであります。
②シオリ=タマイ(玉井詩織)
我々の間では「黄色い閃光」と呼ばれていた、肢体の長い切れ者アンドロイドであります。
前方・後方限らず全方向に視覚を持ち、どこからでも攻撃可能なその姿は、かつてエ◯ーゴで活躍した黄金に輝く機体、◯式を思い起こさせます。
彼女自身、大変輝く「イエロー」のオーラを放っており、スタイリッシュに何でもこなすので、サポート役として他にこれ以上の者はいません。
③モモカ=アリヤス(有安杏果)
「グリーン」のオーラを持った女型小型アンドロイドです。
一見心優しく、危害のなさそうなアンドロイドではありますが、私は彼女に「人類の革新」つまり「ニュー◯イプ」のそれを見たような気がしてならないのです。
とあるきっかけを彼女たちが作ったとき、「モノノフ」と呼ばれる正体不明機の合唱に対して、このグリーンのオーラを放つ女型アンドロイドは、突然、感情のショートを起こしました。
この鋭敏すぎる感覚の意味合いは、ただのアンドロイドのものでは決してないことをここにご忠告しておきます。
5体のアンドロイドのうち、たった1人彼女だけが、ボロボロと涙を流し始めたのです。
このようなアンドロイドの姿をみるのは初めてでした。
強いて言うのであれば、あれはジ◯ンのザ◯などではなく、◯ルメスのそれに似ています。
ビ◯トやファ◯ネルを使いこなせるのはおそらく彼女だけでしょう、ご注意ください。
④アヤカ=ササキ(佐々木彩夏)
「ピンク」のオーラを主張した超大型モ◯ルアーマーです。
ビ◯・ザ◯やサ◯コ・ガ◯ダムの比にならないくらい強力な「圧」力を持っており、その存在感やアイドル的破壊力は、戦艦の主砲クラスに匹敵するものでしょう。
若干、スピードに難がありますが、彼女の圧倒的な圧力に触れてしまえば最後、大佐ですら彼女の手中に収められてしまうことでしょう。
しかし最近、軽量化に成功したとの報告も受けております。
この火力を維持したままで軽量化したとなると、我が軍にとっても相当な痛手になり、「女型アンドロイド2号機(仮)」がその魅力に大きく影響を受けたことも頷けます。
⑤カナコ=モモタ(百田夏菜子)
かつて「笑顔の天下」を掲げた、ももいろクローバーZ、最強のリーダーであります。
「赤い彗星」の如く「通常の3倍」の笑顔を撒き散らし、「笑顔の無理強い」までふざけ調子で繰り出してきます。
しかし、そのパフォーマンスは敵ながら見事なものであり、「行くぜっ! 怪盗少女」という武器の中でみせる「エビゾリ」と呼ばれる高難度のジャンプは、新生ネオ・ジ◯ンのサ◯ビーを思い起こさせます。
ON・OFFを瞬時に切り替える術は圧巻で、知性こそまるで感じられないものの、人望に恵まれるという稀有なアンドロイドであり、そしてその「エガオ」こそが、「ももいろクローバーZ」と「モノノフ」を束ねる最大の武器であると考えます。
「女型アンドロイド2号機(仮)」が強い影響を受けたのも、やはり彼女の「エガオ」の力だと思うと、悔やまれるところです。
未確認兵器(ライブ初視聴音源)
①上球物語 -Carpe diem-
「5TH DIMENSION」の楽曲はあまり聞き覚えがありません。
しかもトップにこのような兵器(曲)を持ってこられて、ふいをつかれたことはたしかです。
非常に印象的でありましたので、ご確認をおすすめいたします。
②My Dear Fellow
この曲に至っては、まったく聞き覚えがありません。
途中のMCで、「モノノフ」と呼ばれる者たちと掛け合いの合唱をしていたのでありますが、正体不明の出どころがわからぬものです。
現在、私の部下に「モノノフ」と接触させ、この曲の出所を調査しております。
(この曲について教えて欲しいな〜、モノノフさん、コメント待ってます♡)
③ChaiMaxx ZERO
映画「幕が上がる」において初視聴した楽曲。
「練習、練習、ひたすら練習〜♪」という歌い出しが気になり、モノノフという正体不明機との交信により、曲名を突き止めた経緯があります。
振り付けを観るのは初めてで、なかなかにウイウイ楽しいものです。
「ChaiMaxx」に歴史があることに驚いた瞬間でもありました。
本家に負けず劣らず、激しい踊りが繰り出され、大変危険であります。
④一粒の涙で…
この楽曲は、本作戦において大変重要な楽曲であるため、詳細は後述させていただきます。
はじめに申しておきますが、ものすごい破壊力であり、大佐が最も危険視すべき兵器(楽曲)であると考えます。
⑤月虹
この楽曲も聞いたことがありません。
読み方すらわからぬ次第です。
「げっこう?」であるのでしょうか、しっとりとしたバラードであった気がします。
ももクロの歌は勢いでごまかしているように思われがちですが、「白い風」や「空のカーテン」など、冬のバラードにも驚異的な響きがあります。
主要エンジントラブル等にご注意ください。
感情の核を突いてくることでしょう。
「女型アンドロイド2号機(仮)」の変化と経過、そして覚醒
「エガオ・イラナイ」をコンセプトに造られた「女型アンドロイド2号機(仮)」は、我が軍の有能アンドロイド部隊「タイムマシーン」によって万全のセキュリティシステムと、彼女のアップデートを常に行なっているところでありました。
しかし、突如現れた5色の女型アンドロイドの「音楽」という攻撃により、「女型アンドロイド2号機(仮)」と「タイムマシーン」にシステム障害が起こったことを、私の部下が発見しました。
この5色の女型アンドロイドは上述した通り、「ももクロ」を名乗っており、数々の名曲を我がアンドロイドたちに洗脳させ、プログラムされていない「エガオ」を創り出させようとコネクトしてきました。
ビッグバンドによる演奏や、社交ダンスなどによる間接的な攻撃で、「タイムマシーン」のプログラムは崩壊し、ももクロの音楽の虜となりました。
しかし、強力にアップグレードされた「女型アンドロイド2号機(仮)」は、なかなか心を開くことはなく、ももクロの音楽をはねのけます。
これはやはり我が軍の最強プログラムにおける賜物といってよいでしょう。
ですが、ももクロの追撃は私のはるか上をいっておりました。
パペットのようなロボットを使い、わけのわからぬ小芝居をはじめたり、「サンタさん」という化学兵器(曲)を使用した際、レニ=タカギとシオリ=タマイによる余興じみた「魔術」まで披露、さらには攻撃が始まる前(開演前)にも、「影アナ」と題した、これまたふざけ倒した道化を披露していたことも明らかになりました。
最終的に、「女型アンドロイド2号機(仮)」は「一粒の涙で…」という最終兵器(楽曲)、ももクロの「ふいをつく」ようなミュージカル調の楽曲で、ついに「エガオ」を創造してしまうのです。
私はそのとき、驚愕しました。
戦慄のあまり、言葉を失いました。
ここで、この戦場(ステージ)で行われたすべてが、「女型アンドロイド2号機(仮)」を楽しませるため、そして「エガオ」を生み出させるためのトラップであり、ミサイルであり、マジックであったのです。
そして私が考察するところによると、このステージを作り上げたのは、敵機の新型「ももクロ」だけではありません。
「モノノフ」と呼ばれる3万近いほどの機体(人々)、「ダウンタウンももクロバンド」と呼ばれる母艦(ビッグバンド)があってこそ、様々なシーンで、様々な対象に「エガオ」が生まれたことと思います。
それでもここに、虚偽を記載するわけには参りません。
何を隠そう、私も「エガオ」というものに初めて触れることができました。
大佐、申し訳ありません。
ですが大佐、「エガオ」というものは、決して悪いものではありませんよ。
私はここで命を落とすことになりますが、最後にももクロという好敵手と出会って、幸せだったとも、今では思えます。
こんな私を、いえ、私なぞどうでもよいのです。
彼女のことであります、「女型アンドロイド2号機(仮)」をゆるしてやってください。
私なぞが申すべきことではないと思われますが、彼女「女型アンドロイド2号機(仮)」はとても素敵な「笑顔」をしていましたよ。
おわりに
この報告書は、2014年12月24日に行われた「ももいろクリスマス 2014 Day1」の視聴レポートであります。
私はここで天に召される運命ではございますが、「ももいろクリスマス2014 Day2」の視聴は、我々の残された優秀な調査員に任せるか、もし可能であるならば(これは大変危険な提案ではありますが)、大佐ご自身が「ももいろクローバーZ」をご覧になってみるのも一策であると思います。
そして私自身の感じたこのレポートと、大佐ご自身の経験から、ももクロの新たなデータを搾取して、必ずや人類から「エガオ」を根絶させましょう。
それが大佐の描いた、人々の幸せのカタチなのですから。
ですが大佐、「笑顔」の力も、人々の幸せのカタチであると、私はこの激闘の末、敵に教えられた感さえあります。
この無礼な私めに、どうか天罰を。
しかしながら、大佐が「ももクロ」をご覧になって、どう思われるか、楽しみにしております。
くれぐれもお気をつけて。
彼女たちは刻一刻と大佐のもとに向かっています。
もし「ももいろクリスマス Day2」に出撃なさるおつもりでしたら、私のデータをもとに、万全の対策を練って闘ってください。
それでは検討をお祈りいたします。
ジーク・ジ◯ン!
追伸
個々の兵器(楽曲)に関しては、あまりにも次々と繰り出されたため、すべてにおいて「要注意」としか申せませんが、特に私が印象に残った点を記しておきます。
ももクロが「カラー」を推して存在していることは上述したとおりですが、その「カラー」の強さ、洗脳力というものは、人間であれば自然と定着してしまうものです。
大佐が黄色を好んでイエローの機体(愛車:ハスラー)を操ることは、私たちにとって、「大佐=イエロー」という固定観念を植え付けるのです。
彼女たちにもそのようなパワーがあり、モモタは赤、タマイは黄、アリヤスは緑、ササキはピンク、タカギは紫という潜在的ともいえるイメージカラーがあり、その色合いも相まって、彼女たちの魅力を高めていることは認めざるを得ません。
しかし、本作戦(ステージ)で注目すべきところは、その色を「殺した」瞬間があったことであります。
それは、「CONTRADICTION」から始まる作戦時に起こったことであり、色とりどりの錯乱作戦をしてきた彼女たちが突然、全身もはや「黒:ブラック」を基調とした塗装(衣装)を施したときのことです。
まさに「色眼鏡」で見てきた彼女たちを、フラットに見られた瞬間であり、彼女たちの得意技「行くぜっ! 怪盗少女」が物足りないどころか、一体感こそ感じられ、新しい兵器(曲)として感じられたとき、戦慄すら覚えました。
そして、声を大にしてお伝えしたいことは、彼女たちを「色」という個性で見てはなりません。
黒い装甲(衣装)を身にまとった彼女たちの姿を見て、「素材(カラーにとらわれない彼女たち自身)」の秀逸さを私は改めて感じたのです。
それは色に惑わされない、統一された「黒」という見栄えのしない衣をまとった瞬間に感じられたものであり、なるほど、根本的・潜在的な強さは、他のアイドル部隊に引けを取らないものです。
彼女たちは強い、そう確信します。
ですからあそこに、そう、あそこです。
あの場所に最終兵器を用意しておきました。
大佐にしか扱えぬ代物です。
パスコードは ksamr です。
ご武運を!
※「大佐 出撃編(ももクリ2014 Day2)」へ続く
※この物語はフィクションです