キンミヤのシャリキンで作る“日本一美味しいホッピー”は、銀座のバーで飲める

麦芽・ホップを原料とするビアテイスト飲料のひとつ「ホッピー」。大衆酒場で見かけることが多く、一般的には焼酎と割って飲みます。そんなホッピーにとことんこだわっているのが「嘉茂 bar kamo(かも)」(東京都中央区銀座8-4-4村喜五号館ビル1F)というお店。ホッピーの美味しい飲み方とよく言われる「三冷」を守り、注ぎ方にもこだわっています。三冷とは、ジョッキ、焼酎、ホッピーの3つをよく冷やし、氷なしでいただくスタイルのこと。焼酎には、キンキンに冷やしてシャーベット状になったキンミヤ焼酎(通称「シャリキン」)を採用していますよ。(銀座のグルメバー

キンミヤのシャリキンで作る“日本一美味しいホッピー”は、銀座のバーで飲める

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ライターの榎並紀行です。

 

銀座にあるバー「嘉茂(かも)」は“日本一美味しいホッピー”が飲めることで有名らしい。

ホッピーなんて、べつにどこで飲んでも変わらんだろうと思うかもしれない。まあ、僕も正直そう思う。

 

真偽を確かめるべく、嘉茂でホッピーを飲んでみた。

 

雰囲気はオーセンティック

僕は、居酒屋では最初にビールを飲む。次にホッピーへ移行し、そこからはずっと「ナカ(焼酎)」と「ソト(ホッピー)」を繰り返し頼んで飲み続けるのがいつものパターンである。

 

わりとホッピーには慣れ親しんでいるほうだと思うが、お店によって味の違いを感じたことはない。いつも安定してうまい。よって、ホッピーに日本一もくそもないような気がするのだが、果たして何が違うのだろうか?

 

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というわけで、銀座「嘉茂」にやってきた。雰囲気はわりとオーセンティックなバーのそれに近い。よれよれのカーディガンで来てしまったことを後悔するほど本気のバーで、ホッピーが出てきそうなお店にはあまり見えない。

 

最高の配分、注ぎ方で作る「三冷ホッピー」

ともあれ、さっそく飲んでみよう。一番人気の「プレミアムホッピー」(800円)をオーダーした。

 

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すると、キンキンに冷えたグラスと

 

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キンキンに冷えたキンミヤ焼酎が出てきた。シャーベット状の、いわゆる「シャリキン」というやつである。ホッピーには甲類の焼酎を合わせるのがセオリーとのこと。

 

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まずはキンミヤ焼酎をきっちり100ml注ぎ、

 

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しかるのち、ホッピーを一気に流し込む。ボトルを垂直に立て、勢いよく注ぐと「ナカ(焼酎)」と「ソト(ホッピー)」がいい具合に混ざる。

 

「焼酎とホッピーの配分も大事ですが、最大のポイントは注ぎ方ですね。こればかりは、新入りには任せられません」とマスター。嘉茂のホッピーは全て、マスターが最高の配分、黄金比で注いでくれるのである。

 

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かくして、「日本一美味しいホッピー」が完成。氷は入れずに、グラスと焼酎、ホッピーを冷やす「三冷」でいただくのが、うまいホッピーの大原則なのだとか。

 

氷がないため、美しい泡がしっかりと立っている。心なしか、いつものホッピーよりも品格を感じる。

 

しかし、問題は味だ。泡もろとも一気に流し込む。

 

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うんめえ~~~~。

 

なんだこれ、スゴイ! 「まろっ~」っとした口当たりと泡のコク。そして、雑味が一切なく、喉から胃までスルーっと落ちていく感じ。「日本一」という、これ以上なく上がりきったハードルを易々と超えてくる、これはまさに最高峰のホッピーだ。

 

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ちなみに、使用しているのは「55ホッピー(赤ホッピー)」。ホッピーの誕生55周年を記念して作られたプレミアムなホッピーなのだが、スーパーでも買えるらしい。市販品となんら変わらない。なのに、注ぎ方や配分によってこうも「豊かな味わい」になるとは驚きである。

 

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店内にはホッピージョッキ専用の冷蔵ケースもある。内装に合わせつくり付けた特注品である。ホッピーにかける意気込みがスゴイ。

 

マスター「僕はホッピーってカクテルだと思っている。だから、極めれば銀座のバーにもふさわしいものになるんですよね」

 

確かに、バーテンダーの技量によって味が変わる点はカクテルっぽいし、この洗練された味わいは銀座のバーの格に恥じないものだ。銀座のバーをよく知らないが、きっと恥じないと思う。

 

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続いて「黒ホッピー」(800円)も頼んでみた。

 

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これも、うんめえ~~~~。

 

しっかりと感じられるコクと苦み。氷なしなので「黒」ならではの風味を少しも損なっていない。それでいて、やはりスッキリ飲めるので黒ビールが苦手な人でもごくごくイケそうだ。

 

ホッピーに合わない料理はない

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なお、「嘉茂」は食事もうまい。7年前から厨房に入るマスターの弟さんは、それまで有名ホテルのフレンチレストランでシェフをしていたそうだ。そのため、「ブータンノワールのテリーヌ仕立て ~リンゴのピューレと共に~」なんていう、ものすごく手が込んでそうな料理も味わえる。

 

一方で、「肉みそ入り焼おにぎり茶漬け」みたいな、ほっとするメニューもあるのが嬉しい。安定的に人気なのは「オムライス」だそうだ。ふり幅がスゴイ。

 

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こちらは2日かけて干した自家製のビーフジャーキー(900円)。旨味が詰まっていて、いつまでもしがんでいたくなる。しかし、やわらかいのですぐに口の中から消え去ってしまう。

 

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スパイシーなチリビーンズ(900円)。肉たっぷりでけっこうなボリューム。

 

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当然、ホッピーとの相性も、

 

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抜群なのだ。

 

マスターいわく「ホッピーって相手を選ばないんですよ。何にでも合うんです」とのこと。その懐の深さ、私も見習いたいものである。

 

魅惑のハーフ&ハーフ

チリビーンズと黒ホッピーを8割ほど消化した絶妙のタイミングで、マスターは次の一手を畳みかける。

 

マスター「次はハーフ&ハーフなんてどうですか? せっかくお二人でいらっしゃったので」

 

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ハーフ&ハーフは「白ホッピー」と「黒ホッピー」のハーフ。白と黒のボトルを1本ずつ使うため、二人で来た時のみ飲める裏メニューである(もしくは1人で2杯飲むか)。

 

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こちらがそのハーフ&ハーフ(800円)。もう見た目からして明らかに美味い。

 

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そんなハーフ&ハーフには、仔羊モモ肉のパンツェロッティ ドライカレー風(1,100円)を合わせよう。パンツェロッティとは揚げピザのこと。羊肉をカレー風味で味付けし、ピザ生地で包んで揚げている。

 

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ウラはこんな感じ。カリッカリでほんのり甘い生地に、スパイシーな仔羊肉がぎっしり詰まっている。手づかみでかぶりつき、2、3回咀嚼してカレー風味が口いっぱいに広がったところへ・・・

 

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すかさず流し込むハーフ&ハーフ。「黒」の苦みがカレーとマッチし、残った油を「白」がスッキリ流してくれる。素晴らしいコンビネーションだ。

 

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そして、ウワサのオムライス(1,300円)が登場。オムレツがぷるんぷるんである。これはあれだ、憧れのタンポポ系オムライスだ。伊丹十三が愛したアレだ。

 

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ナイフを入れると

 

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ファサッ・・・と、はだけた。

マスターのしなやかなナイフ裁きに、たまごもいつの間にはだけさせられたのか気づかなかったのではないか。

 

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味はもう言わずもがなという感じもするが、言おう。ものすごく美味い

 

ベーシックなケチャップライスは、酸味おさえめでコクがある。スクランブルエッグはバターの風味をほんのりきかせてある程度で、シンプルゆえにシェフの技量、焼き加減の素晴らしさがよく分かる。

 

マスターは「家庭っぽい、懐かしい味」と言っていたが、こんなの作れる母ちゃんがいたら、俺はきっと一生実家に寄生することだろう。

 

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こちらはホッピーカクテル(1,400円)。ドライな飲み口でオムライスにもよく合う。

 

マスター「4年ほど前、ホッピー社がニューヨークに進出した際、レセプションで作ったカクテルです。日本を代表する梅酒とアメリカを代表するバーボン、それをホッピーでつないでいます。名前は『希望の架け橋』ですね」

 

いやあ、いちいちかっこいいなマスターは。

 

ホッピーを出したりオムライスを出したりっていうのは、銀座の伝統的なバーからすると邪道なやり方なのかもしれない。マスター自身「たぶん銀座のバーテンダーからは煙たがられてますね」と、若干の疎外感を感じているようだ。

しかし、すぐさま「僕は師匠もいないし、自由に伸び伸びやる今のスタイルが合ってるんですよ」と笑う。

 

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最後に、生意気ながらマスターにホッピーを一杯ごちそうさせていただいた。

 

マスター「多い時は10杯くらい御馳走になります。もちろん全部ホッピーですね」

 

“日本一美味しいホッピー”が飲めるバーは、「日本一ホッピーを愛するマスターが営むバー」でもあったのだ。

 

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紹介したお店

店名:嘉茂 bar kamo
住所:東京都中央区銀座8-4-4村喜五号館ビル1F
TEL:03-5568-8036
営業時間:18:00~翌5:00(土曜は18:00~24:00)
定休日:日曜

嘉茂 bar kamo

ぐるなび嘉茂 bar kamo

 

プロフィール

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榎並紀行(やじろべえ)

1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。
> ツイッター: Twitter (@noriyukienami)
>ホームページ:やじろべえ

                             
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