前回のコラムでは、SI、受託エンジニアに人気の自社内開発エンジニアについてお話をさせていただきました。
今回はキャリアや転職を意識される際に現れるスキルの差を、選考の通過しやすさの観点からお伝えさせていただきます。特にスキルの差はご年齢に応じて顕著に結果として現れてきます。
たとえば、書類の通過状況。
■転職活動でのご経験について
~24歳 |
82% |
37% |
25~29歳 |
81% |
32% |
30~34歳 |
87% |
36% |
35~39歳 |
90% |
35% |
40~44歳 |
93% |
39% |
45歳~ |
92% |
59% |
※2016年1月~12月までにtype転職エージェントにて転職活動をされた方々のデータ
ご覧のように、30歳を超えた方の場合、約9割が書類でお見送りになった経験をお持ちです。さらに40歳を超えると、約4割が書類選考を1社も通過されておらず、45歳を超えると、その数値は約6割にまで達します。しかし見方を変えれば、30歳を超えた方の中でも約1割は書類で見送られなかった、ということになります。
1割の方と9割の方とでは何が違っていたのでしょうか?
その一番の差は、企業様から求められる汎用的な能力をお持ちであるかどうか。汎用的能力とはつまり、環境を選ばずにどこへ行っても通用するスキルのことです。エンジニアであれば以下の3つが最も問われることになります。
■汎用的な能力
- 開発ができる
- コストコントロールができる
- 顧客に提案ができる
■年齢に応じた役割
- 20代:開発ができる
- 30代:プロジェクトをリードできる
- 40代:案件化、プロジェクト獲得ができる
20代、30代、40代を分けて示しましたが、これらはすべて積み重ねだと捉えなければいけません。20代で「開発ができる」役割をしっかり果たした方でなければ、30代になって「プロジェクトをリードできる」ようにはなりませんし、30代でこの役割を果たした方でなければ、40代になっても「案件化、プロジェクト獲得」の役割を果たすことはできません。年齢が上がれば上がるほど、これら能力や経験の「蓄積」が問われます。
書類の通過不通過は、もちろんレジュメの書き方や印象や、企業が求めている方の要件で変わる部分もありますが、企業から求められている上記の能力を、その年齢で期待されているレベルまで保有・蓄積されているかどうかで違いが結果に表れます。それだけ年を重ねれば重ねるほど、企業からの見方も厳しくなるわけですから、それまでに獲得しておくべきスキル、経験が顕著になります。スキルを鍛えるには、それぞれどのように獲得するかを念頭において仕事を選んでいく必要があります。
■スキルの鍛え方
開発スキル |
色々な技術環境の案件を経験する |
色々な業務・WEBシステムの開発 |
積極的に開発業務に携わる |
コストコントロール |
顧客の予算間の把握 |
プロジェクトの費用/利益を学ぶ |
プロジェクトの人数、工数を計算する |
様々な案件のコストの考え方を吸収する |
上記業務を行うリーダーから教わる |
顧客への提案 |
様々な顧客課題を経験する |
様々な課題に応じたシステム提案を経験する |
様々な業界/業務の顧客を理解する |
上記のような業務を行うリーダーから教わる |
共通して言えるのは、様々な案件を通して、自分の中で語れるプロジェクトケースの引き出しを増やすことです。同じ技術環境や、同じシステムだけですと、どうしても汎用性が身に付きません。
コストや対峙する顧客も同じです。関わる案件、社内外の人間関係に変化がない状態を続ける=日々の業務がオペレーション・ルーチンで染まってしまいます。
特に、人間関係やシステムに変化のあまり多くない環境。たとえば、自社内で業務を行うような企業への選択をお考えの方は要注意です。転職理由として伺う一番の本音の理由は「人間関係」です。気付いたらスキルも鍛えられず、いざ、転職を考えた際になかなか転職しづらくなってしまう可能性をはらんでいるのも自社内業務を行っている方です。
とはいえ、求人が今はたくさんあるし……と思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで次回は、求人票に隠された企業の期待、読み解き方をお伝えします。