オーストラリア、クイーンズランド州北部を大嵐が直撃する前、外の空気が生命感に満ち始めたとジュリー・アン・オニール氏は振り返る。
「すべてが激怒しているようでした。餌と交尾の相手探しに逆上しているような感じです」
2011年のそんな夜に、彼女は散歩に出かける。野生生物たちの反応を観察するため、「ドルフィントーチ」と呼ばれる大きな懐中電灯を携帯していた。
彼女がのちに自分の自然写真の「至宝」と呼ぶようになった1枚を撮影したのは、この散歩でのことだ。被写体を見る前に、彼女はある音を聞いた。大きな甲高い鳴き声で、聞き慣れた音だが、同時に異質な感じがしたという。(参考記事:「ヘビを丸のみにするカエル、衝撃の写真が話題に」)
目の前の地面には、これまで見た中で最も大きいイエアメガエルがいた。
「カエルは口を開けていて、 “いったい何?”と私は思いました」
カエルの口をのぞくと、小さなヘビが喉の奥へと吸い込まれているところだった。ヘビはまだ諦めておらず、脱出しようともがいている。(参考記事:「ヘビの口から這い出るヘビ」)
「何かに勝利したような感じでした」
イエアメガエルは自宅の敷地でよく見かけるカエルだったが、虫以外を食べようとしているところを目撃したのは初めてだった。(参考記事:「【動画】ニワトリがコブラに圧勝!なんと丸のみ」)
最初はただ驚いていただけだったが、このようなときのためにデジタルカメラを新調していたことを思い出した。別に本格的に写真家になろうとしていたわけではない、と彼女は主張した。ただ、自然界で目にする不思議な光景を記録したかったのだと。
「私が誰かに何かを話すと、彼らは決まって“でたらめだ”と言うんです。だから、カメラを購入し、写真を撮ろうと思いました」(参考記事:「【動画】衝撃の結末、ヘビ対ヤモリのバトル」)
カメラを取りに戻り、再び外に出ると、イエアメガエルは編みかごによじ登り、縁で休んでいた。
「まだキヤノンのカメラに慣れようとしていたところで、シャッターを押そうと構えていた指先の感覚がなくなってきました」。大きな懐中電灯で頭上から照らし、何度もシャッターを押して、ようやくカエルの口の中にはまり込んだヘビを撮影することに成功した。「あの1枚を撮ったときは、何かに勝利したように感じました」