海外からの安い労働力を求めるもう一つの理由

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先日言及した、国内での労働力の発掘や育成、条件改善よりも、海外から安い賃金で働いてくれると期待する姿勢を見せる経済団体の発言に関して、前世紀のような状況を未だに想定している、情報のアップデートが成されていないとの指摘の補足......というかもう一つの要素、可能性として。

海外からの労働力となれば言語の問題もあるし、社会保障やら生活に関わる様々なハードルの問題もあり、さらには治安の問題も関わってくる。けれど執拗に海外から海外からと求めるのは、結局のところその利用で日本全体として生じ得るコストを、企業自身が負担しなくても済むからというのがあるのだろう。

社会慣習の異なる人が生活するとなれば、色々とあつれきは生じるし、インフラ周りの整備も負担が余計にかかるようになる。リスクも高くなるので相応の対策も必要となるし、そのコストも公的な面で跳ね返ってくる。そして自治体や国のコストは、結局のところ国民一人一人が負担することになる。企業もその一部ではあるけど、丸まる負担するよりははるかに楽。

以前も触れたけど欧米での難民・移民への取り扱いと同じような思惑を持っている感が強いのだよね。社会的な負担は全体で背負うけど、企業が丸抱えするわけじゃないから、企業単位でのそろばん勘定では十分に割りが合う。そのような考えを認めた結果が、今の欧米での様々な民族間対立やら社会不安ではあるのだけどね。

「みんなで分散して支払えば、自分の支払いの分は少なくて済む。それでメリットが得られるのならば自分は得をする」というそろばん勘定。学校にある高価な花瓶をこっそり盗んで売り払って大枚を手にし、無くなったのでみんなで弁償しましょうということで頭割りで弁済したら、盗んだ人は大儲けできるという感じかな。

あるいは自前で基盤を作らずに国のインフラをタダで使わせろと正論のように語り、まんまと自分の財布を傷めずに相乗りしてしまうのと同じ。

同じ公的なリソースを投入するのなら、国内のロスジェネに多分に居る、非労働力人口や非正規就労に甘んじている人達を引き上げた方が、国全体としてもプラスになるのだけどね。

            

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このページは、不破雷蔵が2017年12月22日 07:57に書いた記事です。

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