パパって楽しい

一発屋の負い目 髭男爵・山田ルイ53世、娘に正体を隠していた日々

  • 2017年12月22日

「娘のやることには全部リアクションするのが子育てのポリシー」と話す、山田ルイ53世さん。「芸人っていう仕事をしているせいかもしれないですが、誰からも何の反応もないことが一番悲しい気持ちになると思うので、ちょっとしたことでも『すごいね!』って言っています」

 12月はクリスマスや忘年会でカンパイする機会が増える季節。「ルネッサ~ンス!」の発声とともにワイングラスを傾ける芸でおなじみのお笑いコンビ・髭(ひげ)男爵の山田ルイ53世さんの自宅では、イベントのたびに家族で「ルネッサンス」ざんまいなのかと思いきや、返答は「そんなわけあるか~い!」。妻子と過ごす貴族の日常について、お話を伺いました。

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 娘は今5歳で、幼稚園の年中さんです。「パパ~」ってすり寄ってきてかわいいですが、近頃はだいぶ口も達者になってきました。先日家族で温泉に行ったときも、奥さんが「ちゃんと体ふいた?」って声をかけたら、「ふいたよ、べー!」みたいな返事をしていたのでビックリしました。いつもは素直なのに、その場に僕がいるとママに対して急に生意気になるんです。パパをめぐる家庭内三角関係というか……。そんなに好かれているという事実に正直ちょっとキュンときますけど、娘に応えすぎると奥さんの機嫌が悪くなるのでバランスには気をつけています。

 奥さんは、尽くしてくれるタイプです。たとえば、地方に営業に行くときは貴族の衣装のアイロンがけはもちろん、靴は毎回靴墨をつけて磨いてくれるし、シルクハットも湯気を当てて形を整えてくれます。年々ボロボロになっていく相方(ひぐち君)の衣装を見ているので、ありがたさもひとしおですよね。

 あえて苦言を呈するなら、僕がモテると思いこんでいるところでしょうか。娘を連れて実家に遊びに行っていた奥さんが、帰ってくるなり「家に女呼んでキャビア食べたでしょ!」と怒り出したこともありました。理由を聞いたら、「台所で空になったビンを見つけた」って言うんです。確かに中身は食べたけど、そもそもビンのふたに”鮭(サケ)ほぐし”って書いてあるからキャビアじゃないし、なんでそれを浮気の証拠と思ったのかも意味がわからない。貧乏させないくらいの稼ぎはあるものの、うちは通帳もカードも全部妻が管理しているので、浮気に使えるような自由なお金は一切ありません。そして、僕はモテません。

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 ”一発屋のコスプレ芸人”という負い目もあって、幼稚園の行事には2回しか行ったことがないです。保護者にバレて、「あの子のお父さん髭男爵」って娘がいじられたらイヤだなと思って。だから娘にもずっと正体を隠していて、髭男爵を指さして「これパパだよね?」って何度聞かれても、「すごい似ているねこの人~」って返してたんです。4歳くらいになると、「似ている人」で納得してくれるようになったのですっかり安心していました。

 うまく丸め込めてなかったと気がついたのは、つい最近です。家族でテレビを見ていたらCMに髭男爵が出てきて。そのときは「またパパに似ている人出てる」と言っていたのに、しばらくしてこっそり僕の耳元でささやいたんです。「ママには言わないから大丈夫だよ」って。驚きました。娘は、パパが正体を隠しているのはママに対してだと思っていたんですね。そんなわけで現状、髭男爵であることは2人だけの秘密ということになっています。

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