こんばんは。
今回の記事はちょっと重いよ。
覚悟してね。
スポンサーリンク
不倫された日の思い出
嫁といまいち上手くいってない時期が半年ほど続いたある日の未明。
職場の宴会だとは聞いていたけど、千鳥足で2時に自宅へ舞い戻るというのはいかがなものかと思いつつ、こちらは明日の仕事に備えて眼瞼に幕を下ろしていた。
着ていたものをものすごい勢いで脱ぎ捨てて布団にダイブする嫁。なにやら妙に上機嫌。そして、携帯電話を片手に鼻歌交じりでだれかと何らかのやり取りをしている。
これくらいなら怪しむことはなかったんだけど、これが1週間に1回の頻度で続いていてね。どうも嫌な勘が働いちまった。
「浮気してる?」
おいおい我ながら火の玉ストレートな質問だよなと今振り返ると思うけれども、この時は正直な気持ちが出ちゃったんだろうね。
で、嫁も嫁だよ。
「うん」
うん、て。いやいや、浮気かよ。ってか不倫?
否定してくれるとばかり・・・。
この時に世界の形が歪み始めた。漫画のベルセルクじゃないけど、ドワーフみたいなオッサンが夜道をひょこひょこ歩いているのをこの時点では誰かが目撃していたかもしれない。それくらいに僕の中の「普通の世界」が崩れる最初の音がした。
「誰と?」
「職場の人と」
「どこまでいった?」
「ラブホへ行った」
青天の霹靂。ここで世界は一気に崩壊した。もう、当たり前が当たり前じゃなくなった、そんな世界に自分はいた。認めたくないし、認められなかった。夢だとさえ思ったね。ああ、これは悪い夢なんだ。朝が来ると、またいつも通りの日常が始まるに違いない。そうじゃなければ、どうしろっていうんだいジーザス。この精神は耐えきれなくなって生きていくことすらままならなくなるぞ?
イメージです☆彡
残念ながら夢じゃありませんでした(残念!)
詰問するまでもなく赤裸々な不倫体験が嫁の口から飛び出し、締めの言葉は「あんたとは前から合わないと思ってた。明日の朝一番でこの家を出ることにする」と。
こちらは混乱。愛情と憎悪と嫉妬と怒りがミックスされたオリジナルブレンドを食わされ、それを吐くことも許されないという生まれてこのかた最大の苦難を迎えたのであった。
翌朝(雀の鳴き声で脳内再生オナシャス)・・・嫁は宣言通り荷物を軽くまとめて出ていった。こちらもお仕事がありますから、もうフラッフラになるながら職場へ。お金もらって仕事してるんだから嫁に不倫されたくらいで仕事の手を抜くわけにはいかずと、普段通り気も遣うし動いた。けど、心には明らかに大きな風穴があいていて。もう耐えきれなくなって先輩に吐露して慰めてもらったよ。
「そうか、辛かったな」
その一言が何よりも心にしみた。これ以上の薬はないのだと思う。相手がどう考えているか心の中までは読めないけれど、それでも共感の一言は本当にすくわれる。
三日三晩、食事もロクに喉を通らず、泣きはらす日々が続いた。そして4日目。嫁が急に戻ってきた。
「あなたと別れるつもりはなかった」と。
僕は小躍りした。不倫をされたからといって、愛情が瞬間的に冷めることはない。やっぱり、凄く複雑なんですよね。不倫された人にしかわからない、ジレンマの一言では片づけられない感情が渦巻くんですよ。その中には相手を想う気持ちも少なからず含まれている。だから嫁が戻ってきてくれたことはすっごく嬉しかったんですよ。
職場の先輩曰く「ああ、それは間男に捨てられて戻ってきたんだな。そういう間男は地獄に落ちるんだ」とシミジミ語っていたけれど、当時はなんのことかさっぱりわからなくて。今なら理解できる。でも、青かったんだ。嫁が戻ってきてくれたことで頭がいっぱいでね。
それからは嫁を色々なところに連れて行ったり、また仲良くできるように一生懸命頑張った。でも、時すでに遅しってやつだったのかな。何をしても嫁の反応は薄い。もうこちらには気持ちがないようにも思えた。
不倫騒動から2か月後。近場の居酒屋に二人で飲みに行って、自分の気持ちを伝えた。
「俺はまだあきらめていないよ」と。
嫁は首をかしげて唸っている。どうしたんだろう。なぜ唸る?
次に出た言葉でさらに世界の形がグニャっと歪んだ。
「私は、結婚してようと良い人(好きな人)が現れたらそちらのほうに行ってしまうと思う。これは抗えない感情で、しかも自然なこと。罪じゃない。しょうがない」と。
ああ、もう駄目だ。この人とは駄目なんだな。考え方が全くと言っていいほど違う。結婚したあとに自分が美人を見て今の嫁より綺麗だし気に入ったから不倫もやむなし、とか猿じゃねえかそれ。
嫁から日に日に心が離れて行って、ある日「お前とは別れる」と伝えた。こちらの収入で専業主婦をやるつもり満々だった嫁は狼狽していた。いやいや、掃除洗濯料理、全部今まで俺がやってたじゃんよ。それ、できるの?って聞いたら「できない、でも良い。友達と遊ぶんだ」と。もう何言ってるかわかりませーん。
というわけで離婚に至ります。以上、1回目の×の話でした。
旧友も不倫された
旧友とばったり出会った。
無精ひげでどこか物憂げな表情をしている。
が、相変わらずイケメンで僕が女性なら通り様に二度見してるだろうというくらいの端正な顔立ちの旧友。
「おお、久しぶりだな。ちょっと話さないか?」
なにやら話をしたがっている旧友。僕らは肩を並べて街道をどこへ行くともなく歩き始める。
「俺も×1になってさ」
甘いな、こちらは×2だ。どうやら旧友は離婚したようだった。綺麗な嫁がいて子供も確か2人いたような。しかも子煩悩でいつも子供を連れ歩いて幸せそうだったよな。それがなぜ?
「嫁に不倫された」
あー・・・
「そこで、大先輩のポジ熊に色々と話を聞いてもらおうと思って」
なるほど。確かにこの話題、受け止めるのに僕ほどの適任者は身近にいまいて。
旧友からの話を一通り聞く。
親権のこと。
養育費のこと。
財産分与のこと。
相手に瑕疵があっても男は不利であること。
世の中のシステムが間違っているということ。
男女平等なら女性の不倫も厳正な裁きが下されるべきであること。
・・・うんうん、わかるよ。そこは僕がいちど通ってきた道だからね。
旧友は僕と違って、とても寂しがり屋だった。それにとてもやさしい男だ。離婚から半年以上が経過して協議離婚もようやっと落ち着いたとはいえ、見るからに元気を失っていたよ。
不倫が露見した瞬間の衝撃は、僕の体験したものと同じで「世界が崩れ去った」とのこと。まさか自分が不倫されるとは、そして離婚の当事者になるとは思ってもみなかったんだって。
そうなんだよ、これなんだよね。不倫された人にしか理解できない、日常世界の崩壊。これは体験するものじゃない。トレンディドラマで不倫を題材にした浮いたエンターテイメントなんて、もう二度と見る意欲を失うからね。もしかすると、見たら吐いてしまうかもしれない。それだけ、心に大きな傷を負うんですよ。
彼もね、食事が喉を通らずに眠剤のお世話になったって。自死も考えたそうだけど、周囲の励ましで何とか思いとどまったらしい。不倫をするということは、人をこれだけ傷つけるってことなんだよ。現在進行形で不倫をしているあなたは、想像できる?不倫をする奴に言いたいのだけど、刺されても上等くらいの相当な覚悟で臨んでもらいたいもんだね。他人の世界を崩壊させる、強烈な覚悟をよ。
彼にはこう伝えた。「大変だったね。辛かったね。良く乗り越えた。でも、今君はまだ空っぽの状態で、エネルギー不足だよ。どうか、自愛して頂きたい。まずは自分の幸せだけを考えて、満たして、次のステップはそこからだよ。これより下には下がらない。これからは少しずつでも前進していくんだ。子供のことが気がかりだよね。わかるよ。でも、君が不幸なままだと子供ももっと不幸になる。まずは休んでくれ。本当に辛い思いをしたのだから、これからは幸せになろう。君には幸せになる権利がある。そして、これだけの辛い思いをしたのだから、君は今まで以上に他人に優しくなれるよ」って。長ったらしいけどほぼ原文な。
彼は元気づけられたようだった。良かった。別れて少し歩き始めた時に、丁度西日が強烈に差し込んでくるのを見た。自然と涙がこぼれた。彼の体験した衝撃と傷。心に特大のナタを振るわれてザックリとえぐられた、例えようのない痛み。体験した当事者だからこそ、わかる。彼は本当に苦しかったのだろう。そして、それを乗り越えて今を必死で生きている。人間の強さを感じる。彼は絶対に優しい男になるだろう。そして、幸せにもなれるはずだ。
スポンサーリンク
不倫は肯定できない
自己肯定感の低い人が、異性をたぶらかすアディクションを持った蜘蛛のようなパーソンに絡み取られて結果として不倫をしてしまったというケースも往々にしてあるから、ちょいと言いにくいのだけど。でも言う。
不倫はされたほうの心を徹底的に破壊する行為である。だから、僕はいかなる理由があろうと不倫は肯定しない。
誰かが不倫をしていて、それで悩んでいるのならそれを応援することは絶対にしない。卑怯すぎやしないか。あまりにも不義理すぎやしないか。パートナーとけじめをつけずに、自分の惰性に負けて恋愛感情にのめりこむなんて、まっとうな大人のすることじゃない。だらしがないし、幼稚で稚拙だと思う。
いちど結婚という社会の契りをかわしたのなら、それを破棄する離婚という手続きをしっかりと踏んでからことに及ぶべきじゃないのかい。バレなきゃ何をやっても良いのか。もっとフェアに生きたらどうなのか。自分にも他人にも嘘をついて生きる人生を歩んでいて、恥ずかしくはないのだろうか。自分を客観視できないのではないか。少しでも客観視できる力があるのなら、ここまでの泥沼にはまり込むことはなかったはずだ。
今からでも遅くないから、不倫相手とラブホテルにしけこむ前にホームの問題を解決したほうが良いよ。足場をおろそかにして、その上で踊って気持ちよくなっているかもしれないけど。舞台が崩れたらどういう悲劇が待っているか想像できないだろうか。へたしたら、あんたの行為で人が死ぬぞ。人が死んだ十字架を背負って生きていく苦しみ、想像できるかね。僕には無理だ。人を殺したことがないからね。でも、想像するだけで嫌だね、そんな思いはしたくない。
エモいねぇ
おう、ちょっと泣いてくる