四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた広島高裁の仮処分決定に対し異議を申し立てた四国電力は21日、広島市内で記者会見。3号機の安全性を改めて強調した上で「判断の過程に不備がある。速やかに決定を覆したい」と述べ、訴訟対応チームを増員する方針も示した。
高裁決定は、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラの噴火の危険性に言及。「9万年前の最大噴火で火砕流が敷地に到達した可能性が十分小さいと評価できない」などとして、原発の立地は不適格で、火山灰の安全対策も不十分と結論づけた。
四電は原発の立地を巡り、160キロ以内にある九州などの七つの火山について噴火による火砕流の堆積を調査した結果を踏まえ、「破局的噴火は過去約260万年間に1回で、運転期間中に起きる可能性自体が極めて低い」と改めて主張した。
四電は異議審で火山の主張を重点的に行う考えで、来年1月から訴訟対応チームのトップを副社長に格上げし、メンバーも16人増の46人体制にすると明らかにした。四電原子力部の瀧川重理登(えりと)副部長は「運転停止により1日約1億円の費用がかさむ。火山の論点に絞り、スピード感を持って判断していただけるよう取り組みたい」と述べた。【東久保逸夫】