路頭に迷ってますか?
前科はある?シャバに出てきて何年経ってる?*2
持病はある? 働ける?*3
怪しい団体とはかかわりない?*4
反社じゃない? アル中じゃない? シャブとか大麻はやってない?*5
30代? 40代? 50代? 年齢は気にしなくていいですよ。職歴に自信がなくても、うちでこれから頑張ってくれればだいじょうぶ!
警備、やってみませんか!?!?!?!?!???????
警備員は全国に54万人*6いるけれど、その割にはあんまり言及されない「警備業務の種類」「警備員になれる人・なれない人」「採用の時に必要になるもの」などを長ったらしく書いていきます!!!!!頑張って書いたけど業界志望者減りそうなことばっか書いちゃった!!!!ごめんね!!!!!!!
警備ってどんな仕事?
こんなクソブログのクソエントリ読むよりペロポヨティス先生の『警備員斎藤の日常』を読んだ方が100倍有意義です!!!!!!!!
警備員斉藤の日常 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: ペロポヨティス
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: Kindle版
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この漫画、警備員という仕事について分かりやすく啓蒙している作品でして、電子書籍でしか発売されていないのが本当に残念なくらい素晴らしい作品です。紙書籍で出してくれたら会社で買って置いておいておくのに!!!警協はさっさと作者とコンタクトを取ってくれ!!!頼む!!!!!
この漫画を読みさえすれば後の記述はもう読まなくていいです。
おわり
さておき、警備員と一口に言っても様々な職種があり、大別すると4つに分かれます。*7
施設警備業務(1号)
一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
代表的なものだと、ビルや商業施設で立哨していたり、従業員入口なんかで受付している警備員がこの施設警備に従事する警備員になります。
「施設常駐警備」「巡回警備」「機械警備」などに分かれます。
(また、この他にも空港にて手荷物検査を行う「空港保安警備業務」や、テレビでよく見る万引きGメンを指す「保安警備業務」などがあります。)
施設常駐の業務内容としては、主に、
- 出入管理業務
- 屋内外の巡回
- 契約先からお預かりしている鍵の管理
- 開閉館業務
- 防災センター業務等*8
- その他付帯業務
以上の6点になります。私はこの施設常駐に従事しています。
施設常駐の勤務形態は一般的なデスクワークなどとはちょっと変わっており、当然、日勤・夜勤の区別はないことはないんですが、施設警備の場合は「当務」と呼ばれる24時間勤務が基本になります。
24時間勤務のうち、2~4時間休憩+4時間が仮眠で実働は16~18時間ほどになります。24時間勤務って辛そうに見えるかもしれないけれど、慣れないうちはほんとうにつらい。
でも、24時間勤務を終えた日の朝から丸一日非番になるので、可処分時間は割と多いというメリットがあります。*9
身体が慣れてくれば、非番後すぐにどこかに遊びに行ったりすることも出来るようになるし、公休*10と組み合わせれば泊まりがけで遊びに行くことだってできます。書類上の公休日は平均かそれよりもちょっと下程度でも、可処分時間は案外そこそこあるような気がします。*11
拘束時間の長さはデメリットですが、一番の魅力は『安定して同じ場所で働ける』ということ。施設警備員の本分は防犯と防災であり、年月をかけて施設の構造と各種防犯・防災機器の所在を頭に叩き込む必要があるため、最低でも2~3年同じ現場で勤務します。反面、マンネリ化してしまうこともありますが……。
巡回警備は、警備員がパトロールカーで契約先を定時・臨時に回って異常の有無を確認する業務です。センサーが発報してから向かう機械警備とは趣を異にしています。(併用している場合もあります)
主に夜間の店舗や学校、あとは常に人を付けるまでもない空き地なんかで実施されているようですが、弊社では取り扱いがないのでよくわかんないです(無知)
機械警備は、契約先に設置したセンサーが検知した異常を警備会社の基地局にて受信し、近くの待機所にいる警備員を差し向ける形態の警備業務です。
大手警備会社が主としている業務です。いわゆるホームセキュリティーとかって呼ばれているものがまさに機械警備で、比較的少ない人員で多くの契約を獲れるという強み*12があります。やはり常駐に比べれば利益も出るらしく、最大手2社にあってはもう常駐警備をほとんど子会社にぶん投げて、主に機械警備と現金輸送で食っているっぽいです。
ちなみに、機械警備に従事する警備員が現着するまでの時間は都道府県公安委員会規則で定められているんですが、(一部例外はあれど)概ね25分以内に現着できるように体制を整えなさいという警察からの指導があります。
これもやはり弊社での取り扱いがないので、人から聞いた話になってしまいますが、クッソ忙しいとのことです。忙しいなりには貰えるという話もありますが……。
なお、機械警備の求人は施設常駐や交通誘導に比べるとどうしても年齢制限などが厳しくなります。機械警備が出来るほどの設備投資が出来る会社はだいたい大きな会社ですから、そういった意味でも採用のハードルはあるでしょう。
ある大手企業だと営業職・総合職候補という体で隊員を採っていることもあるようです。
交通誘導・雑踏警備業務(2号)
二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
普段道を歩いていると、おじいちゃん警備員が工事現場のゲート等の前で立っているのをよく目にすると思いますが、これは交通誘導警備業務と言って、警備業法上の2号警備に当たります。
また、お祭りやコンサート等の雑踏警備業務も2号警備です。ネットでよく話題になるのは、東海警備保障The Red Coatsによる鶴岡八幡宮の雑踏警備でしょうか。真っ赤なコートで有名なアレです。
夏は暑く冬は寒い、外に出っぱなしの雑踏警備や交通誘導警備、見るからに大変そうですよね。実際大変です。ぼくも一時期交通をやっていましたが、流石にちょっと他では見ないような有様だったのもあって、その頃のことはちょっとしたトラウマになっています。
えらく大変な仕事ではあるんですが、えらく間口が広い仕事です。18歳の若者から70代のご老人*13まで、幅広い年齢層の人が働いています。
慢性的な人手不足の警備業界の中でも、2号業務は特に足りてません。各社は隊員の取り合いで、高齢者雇用助成金を見込んで70歳超えたご老人でも低賃金で使い倒すひどい会社もあれば、会社は小さくても利益をどんどん社員に還元しようと頑張る優良企業もあります。
交通専門の会社では即面接可・即入寮可というところも増えてきているようで、中には連絡用スマホや原付まで社員に貸し出している会社まであります。遠方であれば面接の遠征費まで負担しますなんて会社も。
また、『交通誘導警備業務検定2級』『雑踏警備業務検定2級』や、実務経験3年以上*14あれば受験できる『警備員指導教育責任者(2号)』等の国家資格を取得すれば、昇給(級)や独立も夢ではありません。*15
2号警備中心の小さい会社で国家資格を取得するととても大切にしてもらえます。*16
交通誘導も雑踏警備も国家資格者の配置基準*17が定められているので、資格を持っていると仕事の幅が広がりますし、経験や信頼を重ねていけば、大きなヤマで責任者を任されるということもあるでしょう。イベントの警備だと同業他社との繋がりもできるため、そこでヘッドハンティングされるということも往々にしてあるようです。
今配属されている現場にも、私が交通専門の会社からヘッドハンティングした、長いこと交通の第一線で働いていた隊員さんがいるんですが、機転が利いて胆力もあり、非常に重要な戦力の一人になっています。
現金・貴重品輸送警備業務(3号)
三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
街中のコンビニATMや銀行の現金を運んでいるのは、この3号警備に従事している警備員になります。
現金や有価証券はもちろん、個人情報が入った記録媒体や機密文書、果ては核燃料物質の輸送までやります。
貴重品の運搬に関しては、「貴重品運搬警備業務検定1・2級」、核燃料等の運搬に関しては「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定1・2級」という国家資格があり、業務の際は輸送車1台に必ず1名は警乗する必要がある等の要件があります。
機械警備業務と並んで大手警備会社の主力業務*18であり、運搬手段も現金輸送車によるものがほとんどですが、中には中型二輪を用いた3号警備業務を提供している会社もあるようです。
あぁ!?これも身の回りにやってる人いねえよ!!!
身辺警備業務(4号)
四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
いわゆるボディガード、2017年にNHKでドラマにもなった4号警備です。
顧客については、会社重役を含む国内外のVIP、声優・アイドル(事務所)、反社等から脅迫を受けた一般のご家族、ストーカー・DV被害者の方など。
身近(?)なところだと、アイドルや声優の握手会の剥がしなんかは立派な身辺警備業務。意外なところでは、精神疾患の患者の病院等への移送業務も4号警備として割と需要があるようです。
あとは、セコムのココセコムやALSOKのまもるっくに代表される、GPS付きの緊急通報携帯端末を用いた駆け付けサービスも、分類上はこの身辺警備に当たります。
でもな~これもな~身の回りにやってる人いないんだよな~
求人もほとんど見ないけど、都内で2号業務と4号業務を掛け持ちする求人を最近ちょくちょく見るようになりました。もしやと思ったらNHKのドラマを監修した会社*19だそうです。
結局どれやればいいのよ。
気になった業種から応募すればいいと思う(おわり)
とは言っても、今出ている求人のほとんどは交通誘導警備で、次点で施設常駐警備が多いです。初めて業界に足を踏み入れる方の大半は、まず最初はこのどちらかの業務に従事することになると思います。
これらの業務は契約社員雇用が多いですが、おおむね1~2年程度、早ければ半年で正社員に昇格するようです。
その他、イベント警備はその業務の性質上、常勤の交通や施設の片手間か、アルバイトが中心になります。身辺警備も専業の会社はありますが、専業の会社の求人はほとんど見ません。たいていは元自衛隊員や元警察官を紹介で引き抜いたり、総合的に警備を取り扱っている会社が1号2号から人を当てることがほとんどです。
警備員になれそうですか?
日本における警備業については、『警備業法』という法律で細かく規定されています。
(目的)第一条 この法律は、警備業について必要な規制を定め、もつて警備業務の実施の適正を図ることを目的とする。
警備業法は規制法です。
元はと言えば、昭和37年に日本警備保障(現セコム)が設立されて以来、たった10年で警備業がぐーんと成長した*20んですけど、その反面、当時は警備業には何の法規制もなかったため、反社や戦争帰りの愚連隊連中がバンバン警備業に参入して労働争議で人をしばき倒したりとか*21、警備員による窃盗や(一般人から届け出があった)拾得物を横領する等の*22事案が多発しまくったりしたんですね。
そのため、警備業法が昭和47年に制定されまして、昭和57年、平成14年、平成16年の大改正を経て現在に至っています。
黎明期に反社なんかが暴れまわったりしたという負の歴史から、制定とその後の幾度の改正を経て、この警備業法では「警備業者になれない人」*23ならびに警備員になれない人*24が定められ、項目が都度見直されてきました。
現在、警備員になれない人ってどんな人?というと、
(警備員の制限)第十四条 十八歳未満の者又は第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない。2 警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者三 最近五年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの(以下省略)
ざっくりまとめると、
- 後見人がいる人や破産してる人はダメ
- 前科あるやつはお勤め終わってから5年間はだめ。
- 警備業法に違反したりとか、警備員として働いている時に何かやらかしたやつも5年はだめ
- やべー団体に関わりがあったりしたらだめ(反社も含む)
- 反社構成員ダメ
- アル中とかシャブ中とかダメ
- 仕事が適正にできる程度には心身が健康な人がいいな*25
といった感じです。
詳細は後述しますが、上記の項目(欠格事由といいます。)に引っかかっていないかを確認するため、警備員になる際にはたくさんの書類を警備会社に提出する必要があります。
冒頭でいろいろ聞いたのはこの法令に基づいてのことなんですね。
ぼくは日雇い派遣に行った先で怪しいおっさんに同じような質問をされ、「藪から棒に失礼なおっさんやな」と思いながら「ハイ、ハイ」とか「まあ……」みたいな感じで相槌を打ってたら、なんかいつの間にかこの業界に入ることになってました。
皆さんも、日雇い派遣に行った先で怪しいおっさんに同じような質問をされたら気を付けてください。そのおっさん*26は今も1都3県あたりの日雇い派遣に潜り込んでいるはずです。
ちゃんと求人情報誌に大きめの広告を載せてる会社の方がいいと思います。今では警備専門求人サイトなんかもあるようです。気合い入れて探しましょう。
警備員になるために必要な書類
警備に興味をもって応募してくれた方も、切羽詰まって警備に飛び込んできた方も、腹を括っていきましょう。
即日採用決定されて不安を覚えた方もいらっしゃると思います。大丈夫かどうかはさておき、いつものことです。現在勤めている弊社もそうでした。
これから応募してみようかなという方はぜひ下記を参考になさってください。採用から現場に投入されるまでに、あなたには用意していただきたい書類がたくさんあります。
- 履歴書
- 住民票の写し
- 身元保証書
- 市町村が発行する身分証明書
- 登記されていないことの証明書
- 診断書
- 誓約書
あとは、年金手帳とか源泉徴収票とかマイナンバーカードとかそういうの。
聞いたことのない書類もありますが、上から順を追って説明していきます。
履歴書
まずは履歴書! 当然応募の時に書いてくると思います。
しかし先述した通り、警備業法では警備員になれない人についての条件があらかじめ定められている「欠格事由」と呼ばれるもの*27がありまして、その中に「禁固以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しないもの*28」という規定がある為、履歴書に大きな空白があると面接で必ず突っ込まれます。
「まさか、その空白期間のあいだに逮捕されてたりとかしてないよな……」といったことを会社はすっごーーーーーーーく気にします。家事手伝いでも求職中でもアルバイトでもなんでもいいので、警備会社に提出する履歴書には、空白期間中に何をしていたのかちゃんと記入しておきましょう。
「そんなこと、履歴書にいちいち書くまでもないでしょ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、空白期間がある履歴書を提出すると、警備会社の面接担当者によってはその場で履歴書への追記・訂正を求められる場合があります。*29
何故そこまでさせるのかというと、警備会社は定期的に(場合によっては臨時で)警察の立入検査を受けることを義務付けられているからです。生活安全課の刑事が警備員名簿の簿冊をパラパラめくり、気になった警備員をピックアップして選任指導教育責任者*30に問いただしたりするからなんですね。こわいですね~……。
(とは言っても、誰もが知っているトップクラスの警備会社ならともかく、中堅どころや中小零細なら、空白期間のあいだに逮捕されたりしていないっぽいことさえハッキリすれば、それ以上突っ込んでくることもあまりないと思います。)
でも、空白期間なんて職歴をちょちょいと誤魔化せばどうにかなる……って思っちゃう人もいるかもしれません。でも、それも難しいかもしれません。
というのも、この警備員の欠格事由についてですが、警備会社は警察から「一般私人にできる範囲で構わないから、警備員の経歴の裏を取る努力をしなさい(そして、裏を取ったということを書面にして警備員名簿に挟んでおきなさい)」という指導を受けている関係*31で、警備会社はあなたから承諾を得た上で、あなたが以前働いていた会社に電話をかけて実際に在籍していた期間を確認します。(これを「前職照会」といいます)*32
履歴書の記述と、前職照会で判明した在籍期間が著しく乖離していれば、当然警備会社は「コイツ大丈夫か?」という目であなたを見ます。欠格事由に抵触している警備員を雇ったことが警察にバレると会社の存続に関わってくるからです。
(直ちにバレないかもしれないとは言え、立入検査で警備員名簿をパラパラめくる生活安全課の刑事の目を誤魔化せるかどうかはわかりませんし、また警備の国家資格取得を会社から命ぜられた時が非常に面倒です。こっちは資格者証等の交付申請の際に警察によるガチの身上調査が入ります。)
ちなみに、警察にお世話になったことがあったとしても、拘留や科料程度なら(つまり、起訴されたり、有罪判決を受けていなければ)いちおうセーフです。機械警備や巡回警備・貴重品輸送をやっている会社なら運転経歴証明書等の提出を求められることもあろうかと思われますので、当然スピード違反云々を繰り返してるとあまりよくないだろうな程度のアレはあります。
なお、仮釈放後でも残余期間が残っている人は、その残余期間が経過した後5年は警備員になれません。
また、執行猶予も欠格事由に該当しますが、ただこの場合は執行猶予の期間が終了したら次の日から警備員になることは(法的には)出来ます*33。そう、執行猶予が終わればその直後から欠格事由に該当しないことにはなっていて、警察内部の通達文書にもいちおうこの旨記載はあるんですが、何故かこのあたりは選任指導教育責任者を長年やっているベテランの人でも*34非常に曖昧なので、これを当て込んでどうこうというのはあんまりお勧めできません。*35
住民票の写し
原則として本籍入りです。マイナンバー入りの住民票は会社が受け取ってくれないので、マイナンバーは別途カードをコピーして提出するといいでしょう。
会社で備えておく警備員名簿という簿冊に、あなたの履歴書と一緒に挟み込まれ、記録されるものです。
身元保証書
故意又は重大な過失や事故を起こした際に尻を拭いてくれる奴の名前を書け的なことが書いてある紙です。えらく怖いこと書いてますけど、会社曰く「緊急連絡先として書いてもらうだけだから」とのこと。まともな警備業者なら警備賠償責任保険に加入しているはず*36なので、事故を起こしたとしても、警備業務を忠実に遂行している限りそんな心配することはないんじゃないかな……。
弊社でも、現場が吹っ飛ぶレベルの事案起こして光の速さで首が飛んだおっさんを何人か見ましたが、損害賠償を請求するという話は聞いたことはないですね……。
ただ、労働法規おもしろ解釈選手権界隈もありますので、各自気を付けてやっていきましょう。
市町村が発行する身分証明書
運転免許証とか健康保険証ではありません! 役所の戸籍課などで発行してもらえる一枚のぺら紙です。
以上を証明する書類になります。破産歴があっても、復権していれば3番目の項目は「通知を受けていない」に戻るようです。
禁治産者って言葉古くない?って話なんですけど、詳しくはこちらを参照してください。
なお、これも警備員名簿に綴じられます。
登記されていないことの証明書
東京法務局ほか地方法務局で発行してもらえます。不動産ではなく、成年後見登記のことです。
後見登記等ファイルに記録されてないことを証明するもので、成年後見人・被保佐人等に該当しないことの裏付けになります。身分証明書と併せて、第3条第1号の裏付けとなる書類ですね。
郵送でも所定の用紙を印刷して収入印紙300円分*37を張り付けて送ればオッケー。地方でも宛名は東京法務局になる点は注意。かなり特殊な書類なのもあって、会社によっては入社時に一括して請求してくれるところもあるようです。
これも警備員名簿に(以下略)
診断書
以上2点に該当しないことを証明する診断書です。
採用が決定し次第、会社と提携している病院を指定されて書いてもらうのが一般的でしょう。ぺら紙一枚だけ渡されたパターンについてですが、保険効かないので、近くにあるいくつかの内科にでも電話して値段聞いて比較するのがよいと思います。おおむね三千円程度です。
これも警備員名簿(略)
誓約書
先述の警備業法第14条に違反していないことを誓約する文章になります。
当然、欠格事由に該当していることを黙ってサインすると相当まずいです。虚偽の申告をすれば当然会社は容赦なく首を切ります。上記に挙げた書類の中でも特に重要な紙です。
これも名簿に(略)
なおこれらの書類は、先述した「警備業務検定」や「指導教育責任者」等の資格者証を警察に交付申請する際にも必要な書類*38になります。しっかり押さえておきましょう。
警備業界へようこそ
書類集めと面接、お疲れさまでした。採用おめでとうございます!
これから警備業関連法令で定められた新任教育が始まります。基本教練の時はしっかりとストレッチして筋肉を傷めないように。講義の時は居眠りしないように頑張ってください。
安月給だし、世間では色々言われがちな職業ではありますが、先述した通りの書類を揃えて警備会社に採用されるということは、少なくともあなたは法的には真っ当な人間なのです。胸張っていきましょう。
夢や目標への腰掛けにするもよし、警備という仕事を極めていくのもよし。全国54万人の仲間が後ろについています。うまいことやっていきましょう。
警備業界で生きていくにあたって
身もふたもない言い方になってしまいますが、警備は惰性のまま、ずっと平のままでも一人で生きていく分には十分な仕事です。致命的なミスをしない限りは、あるいは会社自体に問題がなければ、解雇になることもそうないでしょう。
だからこそ、年限を定めた上で、警備業で食っていく上での目標を定めて、日々邁進することが大切です。年齢は関係ありません。
どんな会社でも言えることですが、ひとつひとつの業務を着実に、誠実にこなすことはもちろん大切ですが、それだけでは昇級が難しいこともあります。勿論それでも隊員の資格取得に熱心な会社であればチャンスをくれることもありますが、同時に、積極的にスキルアップに励むことも大切です。
施設警備でよく言われる自衛消防業務講習や上級救命講習などの必須資格はもちろん、警備員の国家資格である「警備業務検定」や「指導教育責任者」などの資格を貪欲に取得していく姿勢も必要なのです*39。
警察が監督官庁である警備業は、規制に雁字搦めにされた産業であるが故に、警備業法を始めとした各種関係法令にある程度通じていなければなりません。これは私の肌感覚ですが、正直、警備業務に関する資格を持っていない人とは会話が成立しないことも往々にしてあります。そういった人間がうっかり上になると本当に悲惨です*40。
また、同業他社への転職を考えていても、業務経験はそれなりにあったとしても、資格を持っていなければ「配置する現場がない」と言われておしまい……ということもあります*41。
と、さんざん怖いことも言いましたが、日々の業務に励みながら上司に「資格取りたいです!!!!」と熱意を持って訴えれば、そう遠くないうちに取得するチャンスは巡ってくるでしょう。
講習に行くと、会社の人間が各都道府県の警備業協会にパイプを作り、やっとの思いで会社に枠が割り当てられて初めて受講が許される資格であっても、「会社から言われて仕方なく受講している」という方がいらっしゃるぐらいですから、資格取得への意欲を見せることを悪いように取る会社はない……はず!です。
資格取得に関しては、いずれ別エントリでお話します。
*1:警備業法第14条ならびに第3条第1号
*2:法第14条ならびに第3条第2号
*3:法第14条ならびに第3条第7号
*4:法第14条ならびに第3条第4号および第5号
*5:法第14条ならびに第3条第6号
*6:警察庁生活安全局生活安全企画課『平成28年における警備業の概況』に拠る
*7:警備業法第2条第1~4号
*8:監視カメラや自動火災報知設備の監視・異常発生時の初期対応など
*9:交代に来るはずの同僚が病気で来れなくなったりだとか、そもそも人員が足りてないとなると、24時間勤務明けに日勤分残業したりすることもままあります。中には48時間拘束され続けたケースも……
*10:丸一日のお休み
*11:あくまでも体感ですが……
*12:どうしてもBtoBに限られる常駐警備とは違い、BtoCからも契約が取れるのもメリット
*13:私が見た中では下は20歳、最年長の人は74歳
*14:警備業務検定2級取得後実務経験1年か、警備業務検定1級取得後でも可
*15:と、若者をそそのかしてこき使うヤバい会社もあります
*16:仕事の量がえげつないことになるという説もあります
*17:警備業法第18条および警備員の検定等に関する規則(国家公安委員会規則)
*18:最大手のALSOKでは全体の売り上げの約3割がこの業務
*19:主人公たちが片手間に施設警備や雑踏警備に従事しているシーンがある
*20:昭和47年11月時点で警備会社数750社、警備員数4万1,000人
*21:その他にも、水俣病で揺れていたチッソに雇われ、水俣病患者の支援者をどつきまわした業者も……
*22:当時は制服に関する制限がなく、また馴染みのない職業だったため、一般人には警察官との区別が困難だった
*23:警備業法第3条
*24:警備業法第14条
*25:教本では『軽度のうつ病』などはセーフといった表現が頻出する
*26:とにかく胡散臭い
*27:警備業法第14条および第3条1~7号
*28:警備業法第3条2号
*29:事実のみ記載する。改竄はアウト
*30:警備員の教育・指導・監督が業務の「指導教育責任者資格」という国家資格を持っている人。
特に「選任~」は会社の代表として警察に届け出ている指導教育責任者を指す
*31:・警備業法第14条第2項
・法第45条
・警備業法施行規則第66条第2項
・警察庁生活安全局長通達『警備業法の一部を改正する法律等の施行に伴う
「警備業法等の解釈運用基準について」の一部改正について』
*32:通達だと「前の警備業務に係る職場」と書いてありますが、前職が何であっても照会はたぶんされます、私もされました
*33:刑法27条に「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、
刑の言渡しは、効力を失う。」とある
*34:あるいは警備業協会から講師を委嘱されている方でさえも
*35:そもそも採用するかどうかは結局会社の匙加減というのもあります
*36:警備業者名でよく聞く「○○警備保障」という語には、もともと警備と保障(補償)を取り扱っているという意味合いがあります
*37:郵便局で買える。コンビニでも売ってはいるが、額面が200円しかない
*38:申請の都度新しく作成する必要がある
*39:取得すれば毎月手当ても出ます
*40:悲惨でした。
*41:ありました