【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは21日、偽ニュース対策として2016年末に導入した真偽不明の記事への「警告表示」を取りやめると発表した。効果に乏しいためで、今後は同じテーマでも視点が違う「関連記事」を添えてユーザーに注意を促す。SNS(交流サイト)上の偽ニュースは社会問題化しているが、摘発への妙案は出ていない。
フェイスブックは契約している第三者機関のうちふたつが偽ニュースの疑いがあるとした記事について赤い旗の警告表示を出し、ユーザーに注意を呼びかけている。ただ、同社によると警告がむしろ記事に重みを与え「(記事のシェアを減らすといった)当初の狙いとは逆の効果を及ぼしている」という。
一方で、第三機関が認めた事実に基づく関連記事を偽ニュースとあわせて表示したところ、ユーザーによるシェアが減ったもよう。このためフェイスブックは今後は警告でなく関連記事を偽ニュースへの対策と位置付け、ユーザーにニュースの価値を判断してもらうとしている。
フェイスブックは新聞やテレビといったニュースメディアではなく「情報を流すプラットフォーム」との立場を取っている。ニュースの価値判断を第三者やユーザーに委ね、さらに記事を掲載してから内容を分析して摘発する仕組みとなっているのはそのためだ。
フェイスブックのユーザーは「閲覧のしやすさ」に重きを置いている場合が多く、記事を複合的に読ませる煩雑な措置が偽ニュース対策につながるかは不透明だ。18年は米中間選挙が実施されるが、SNSと偽ニュースの問題は引き続き論争の的となりそうだ。