乃木坂46をCMキャラクターに起用し、テレビでも見かけることが増えたマウスコンピューター。90年代前半の“春日部パソコン”時代から同社を知っている読者にとっては、「マウスも大きくなったんだなぁ」と感慨深いものがあるかもしれない。特に国内大手PCメーカーが勢いを失った昨今ではなおさらだ。
ここでは、テレビCMを見て初めてマウスの名前を知った、あるいは昔から知っているけれど今はどんな会社なのか知らない、という人に向けて、マウスコンピューターの情報をまとめてみた。
マウスコンピューターの名前の通り、同社はPCメーカーだ。先にも触れたが、元々は創業者の高島勇二氏が1993年に春日部で立ち上げたPC事業が前身で、その後1998年にマウスコンピュータージャパンを設立、同年「秋葉原ショールーム」をオープンしている。
このころは、1995年に登場したWindows 95でインターネットが一般に普及し始め、秋葉原ではパソコンをより安価に入手するためにパーツを自分で組み立てるPC自作が流行した時期。こうした流れを背景に、パソコンの知識がなくてもパーツをカスタマイズして自分にあったマシンを手軽に入手できるBTOメーカーとして成長し、2006年にPC事業部門がMCJグループから分社化、小松永門社長率いる現在の「マウスコンピューター」がスタートした。
マウスコンピューターの本社ビルは、2016年に現在の東京日本橋タワー26階(東京都中央区日本橋2-7-1)に移転。日本橋高島屋からほど近い場所にある高層ビルの中にある(ちなみに、現MCJグループの傘下には、マウスコンピューターを筆頭にiiyama、ユニットコム、テックウインド、アユート、コムコーポレーション、ソルナック、aprecioなど秋葉原になじみ深い企業が並んでいる)。
前述の通り、マウスコンピューターの強みは、用途に合わせてパーツを細かくカスタマイズできるBTO(Build To Order)に対応している点だ。自分が必要とする部分は高性能に、不必要な部分は省くことで、コストパフォーマンスの高い自分だけの1台が手に入る。
とはいえ、ユーザーの様々な用途や幅広い好みをカバーするために、ある程度のブランド分けがされている。具体的には、日常的なパソコン利用を想定した「mouse」ブランド、PCゲームに最適化した「G-Tune」、写真や映像編集に適したクリエイター向けの「DAIV」、そして法人向けの「Mouse Pro」だ。
なかでもG-Tuneは、eスポーツ支援の一環として数々のゲーム大会に協賛し、秋葉原の中央通り沿いに直営店も構えているので(12月には大阪・日本橋にもオープンした)、読者の中にも目にしたことがある人は多いかもしれない。各ブランドのイメージは乃木坂46が出演するムービーが面白くまとめているのでこちらを見てほしい。
乃木坂46を起用したCMを見ると、国内生産や24時間365日電話サポート、96時間以内の修理といった、マウスコンピューターの「品質・信頼性」を前面に打ち出した内容になっている。まだまだマウスの名前を知らない一般層に向けた“新しい会社”(といっても20年以上の歴史を持つが)らしいプロモーションだ。
同社の生産拠点は長野県飯山市にあり、この飯山事業所はかつてディスプレイメーカーとして知られる飯山電機の工場だったもの。2008年にiiyamaはマウスコンピューターに吸収合併され、ディスプレイブランドとして存続している(ちなみに、同じくMCJグループの傘下のユニットコムもPCのブランドにiiyama PCを使用しているがこれとは別)。なお、国内市場に限定して展開しているマウスコンピューターだが、iiyamaディスプレイはヨーロッパでのシェアが高く、海外市場を重視して展開している。
また、この飯山工場では、2010年から毎年、小学生の夏休みに合わせて「親子パソコン組み立て教室」を行っているのもユニークだ。パソコンの仕組みやモノ作りの楽しさを子どもたちに伝える恒例のイベントで、北は北海道から南は沖縄まで、これまで様々な親子が参加してきた。当初は小規模なイベントだったが、現在では地元の新聞やテレビ局をはじめ、数多くのメディアが取材に来る規模に成長している。
マウスコンピューターの特徴としてフットワークの軽さも挙げられる。最近注目されているeスポーツだが、ゲーミングPCブランドのG-Tuneは以前からPCゲーム文化そのものを後押しする活動を行っており、2016年(2016年1月から2016年12月)はゲーム大会などのイベントに協賛した数が100件を超えた。
また、Oculus Rift DK1が登場してすぐにVRの可能性に着目し、現在ほどVRが話題になる前から直営店に体験ブースを設けるなどVRへの投資も積極的に行ってきた。PC以外でもWindowsスマートフォンやスティック型PC、スマートホーム導入キットなど、話題性のある製品を他社に先駆けて市場に投入したのは記憶に新しい。
2017年は同社の社員と一般参加の人たちでハロウィン後のアキバを掃除するなど、会社が成長した今でも持ち前のフットワークの軽さでユニークな企画を実施している。2018年もユーザーを楽しませる面白い製品の登場を期待したい。
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