今年の世界災害損失額は約34.7兆円 昨年から大幅増
再保険世界大手のスイス再保険(スイス・リー)はこのほど、2017年の災害の損失額が3060億ドル(約34兆7000億円)に達するとの推計を発表した。
昨年から63%の増加で、過去10年間の平均をはるかに上回っているという。
南北アメリカ大陸が最大の被害を受けた。カリブ海地域や米南部を襲った複数のハリケーンのほか、メキシコでの地震、米カリフォルニア州の山火事が影響した。
災害の被害額は増加したものの、死者数の大きな上昇は見られなかった。
スイス再保険によると、2017年は災害により1万1000人以上が死亡、あるいは行方不明になったが、2016年と同水準にとどまった。
保険の補償範囲
スイス再保険傘下の調査会社シグマによると、今年の損害補償額は昨年の2倍以上の1360億ドル(約15兆4400億円)に達し、過去3番目に大きな額だという。
また、ハリケーン「ハービー」と「イルマ」、「マリア」の被害による損害補償額は合わせて、約930億ドル(約10兆5600億円)だった。
しかしスイス再保険は、補償は完全ではないものの、保険業界はそのような高い損失にも十分対処できたことを示したと述べた。
同社の大災害担当トップのマルティン・ベルトグ氏は、「保険業界が補償範囲を拡大できれば、さらに多くの人や企業が災害の悪影響に対して、もっとしっかりと備えることができる」と話した。