私は江戸の版本を読んで翻刻して、このブログに載せているわけですが、どうやって読んでいるか知りたくないですか?
ああ、知りたくないですか。。。
おしまい
いや、いや、知りたくなくても書きます(笑)
まあ、以前は版本をコピーやらプリントアウトして、それに赤ペンで記入しながらよんでいたのですが、ペンなので間違えたら消せないし(鉛筆だと消せるけど同じ色なので読みにくくなるので)、下の字が見えなくなったりして、色々、面倒でした。
数が溜まってくると邪魔ですしね!
なので、今は、版本を読むのもデジタル化です!
まず、版本の画像データを用意します。
それを画像編集ソフト(私の場合はphotosop)で開きます。
そして、記入用のレイヤーを作成して、ペンタブを使って書きながら読んでいくのです♪
こうすれば、間違えても消せるし直せるし、下の字を読みたいときは、記入用のレイヤーを非表示にすればいいだけですから♪
読みにくかったら版本のデータを非表示にしたり、表示を薄くすればいいだけですしね♪(字が下手なのはスルーしてくださ。。。)
みなさんも、くずし字解読チャレンジをされる時は、ぜひ、デジタルでの作業をオススメします♪
え?しないの?
ショボン。。。
え、それより見本に使ったこの作品が気になるって?
この作品は『大昔化物双紙』と同じ桜川慈悲成作・歌川豊国画の『変化物春遊(ばけものはるあそび)』(寛政五[1793]年刊)という、妖怪図鑑みたいな本です。
この本の毛女郎のページをピックアップしました♪
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 変化物春遊 : 2巻
6ページ目です。
せっかくだから読んでみますかね。
【翻刻】
なにやと◆かいゝける◆くつわやに◆
ばけものゝ◆ありとひやう◆はんつよく◆
われもみたり◆かれも◆そのよし◆
きゝたりと◆いへどもいかやう◆
なるすかたのもの◆やらんたれ◆
しりたるもの◆もなくたゞ◆
ばけもの◆やさい/\と◆ひやうばん◆
するにこれは◆毛女良といふて◆
くつわやには◆あることゝなん◆
ふるきひとの◆はなしにさらに◆
めもはなも◆なくそふしん◆
みなかみのごとく◆してよくくらき◆
ろうかなぞに◆いることあり◆
いたつてそのふう◆そくよしといふ
【現代語表記】
何屋とか言いける轡屋[くつわや]に、化け物のありと評判強く、「我も見たり」「彼もその由聞きたり」と言えども、如何様[いかよう]なる姿の者やらん誰知りたる者もなく、ただ「化け物や」再々と[?]評判するに、「これは毛女郎と言うて、轡屋にはある事」となん古き人の話に、更に「目も鼻もなく総身皆髪のごとくして、よく暗き廊下なぞにいることあり。いたってその風俗良し」と言う。
【ざっくり現代語訳】
ある遊女屋に化け物が出ると大きな噂になりました。
皆、「ワシも見た!」「アイツも見たと言っていた!」と口々に言うものの、実は誰もどんな姿か知らなくて、ただ「化け物が出る!」とだけ何度も言って噂するのでした。
そこでこのあたりの老人に聞いてみると、
「それは毛女郎と言って、遊女屋によく出る化け物じゃ。
目も鼻もなくて、全身が髪のようで、暗い廊下などによくいる。
でも、目鼻がない以外は、その姿はとても美しいのじゃよ。」
と言ったとか。
【解説】
まあ、つまり、暗い所で誰かを化け物と見間違えることがよくあったんでしょうね(笑)
ちなみに、壁の張り紙の文字は「火の用心」ですね。
ほかのページも面白いんですけど、また全部読むと大変なので、更新に困った時にでも少しずつ(笑)