かつて子役タレントだった私を苦しめる、イメージビデオの仕事の記憶

体験談 あぶく

うつ状態で自殺未遂を繰り返したことで大学を休学してASDの診断を受け、現在は療養・復学へのトレーニングをしています。あぶくと申します。

私は物心ついた頃には既に子役タレントでした。何年か子役を経験して事務所を抜けて、それ以降は芸能の世界とは一切縁がありません。この投稿では、子役だった頃の印象的なお仕事について書きます。

 

これを読んでくださっている方は、子役というとどんなイメージをお持ちでしょうか。ドラマやランドセルのCM等で活躍する、有名子役のイメージが強いでしょうか。

私はそういった有名子役ほど忙しい生活はしていませんでした。身バレが怖いので詳細は言えませんが、雑誌・舞台・テレビ番組・発表会のMC等と仕事は幅広かったです。学校に行けない日が続くこともありました。当時は気が付かなかったのですが、労働基準法に違反した仕事もいくつかありました。深夜2時に撮影をした事もありました。

その中でも、今でもはっきり覚えている仕事があります。小学生の時です。マネージャーをしている親から仕事の話がきました。

「楽しい仕事が来ているよ。年の近い女の子達で集まって、楽しく遊んでいる所をDVDに撮るよ」

そういったお仕事が来るのは初めての事でした。また、お仕事を断ってしまうと次のお仕事が回ってこなくなってしまうので、断るという選択肢もありませんでした。

当日の撮影は楽しかったです。私と同い年くらいの女の子がビルの一室に集められました。そして途中で色んな衣装に着替えながら、おしゃべりをしたり、普段なかなかしないような変わった遊びを何種類かしたりする所を撮影されました。

一緒に出演した女の子と連絡先を交換して仲良くなりましたし、監督は私たちに匂い付きのかわいい文房具を沢山くれました。子役のお仕事では基本的に「お仕事をさせていただく」という姿勢で、挨拶や敬語などをきちんとするのが当たり前です。ですがこの日のDVD撮影は例外で、大人たちに沢山可愛がってもらえました。

ここまで読んだ方で勘がいい方はもしかしたら、既に嫌な予感を覚えているかもしれませんね。

 

子役を引退した後、中学生の頃のことです。私は何気なく、自分が出演したDVDタイトルを検索窓に打ち込みました。

結果として、私が出演したのは「イメージビデオ」というものだったことが分かりました。

私たちはコスプレのような恰好や薄着で、際どいポーズをするような遊びをして、捉え方によってはいやらしく聞こえる言葉を言っていました。「イメージビデオ」というのはアダルトな作品ではなく、あくまで合法なビデオということになっています。ですので、児童ポルノには該当せず、今でも合法として流通しています。

私が出演した作品に感想をつけているブログ記事も見つかりました。「ここが良かった。興奮した。」そんな感じのことが書いてありました。

中学生という多感な時期に、自分が知らないうちにそういうDVDに出演していたこと、自分に興奮を覚えた人がいることを知って、私は怖くなりました。どうして撮影で気が付かなかったんだろう、誰も教えてくれなかったんだろう。説明を受けて納得して出演するなら構わないのですが、こういうリスクがあることを知らなかった自分に後悔しました。

 

当時、自分の本名を検索すると過去の芸歴が出ました(今はいろいろあってDVDの出演は分からないようになっています)。いじめを受けていてただでさえ友達が少ないのに、もし友達になれた相手がDVDのことを知ったらと思うと、学校で友達と話すのが怖くてたまらなかったです。

親とDVDの話はしていません。それと、親は子役の時の収入を私に一円も渡していません。いくら稼げたのかも教えてくれません。

人と交流する度に、脳裏に自分が出演したDVDのことが浮かびます。もし、何かの拍子でこのことがバレたりしたらどうしようと不安に思います。現在私には恋人がいますが、恋人にも話していません。恋人とはいつか結婚したいと思っていますが、もし恋人のご家族が私のことを興信所に調べさせて、このDVDに出演していたことが伝わり別れることになったら…私はきっとこのお仕事の事を生涯後悔し続けるでしょう。

それでも敢えてこのように投稿したのは、誰かの反応が見たかったからです。自分の経験が一体どのように映るのかが分かれば、この経験をどういう形で昇華させたらいいのかが分かるかもしれない。後悔に怯えなくて済むかもしれない。

今は好きな事に熱中するなどして、このことはあまり思い出さないように日々生き延びています。

お読みいただき、ありがとうございました。よい一日を。

 


【執筆者】
あぶく さん

【プロフィール】
ASD診断済の大学生です。現在は休学しています。ゲームが好きです。
Twitter:@6u66lel6ule


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3件のコメント

りんご 返信

苦しかったでしょうね。いや、今も辛く苦しいのだと思います。
あまりのことで言葉がありませんが、何か書き込まないといけないと思って、書き込みました。

ちーず 返信

反応が見たいとのことなので書きます。
とてもつらい経験をされているのですね。おつらいでしょうね。
もし私があなたの知人、友人で、あなたの出演するDVDのことを知ったとして、思うのは「事務所など周囲の大人は守ってくれなかったのだろうか」「(時々びっくりするくらい世間知らずな大人もいるので)親もわかっていなかったのだろうか」ということです。
あぶくさん自身の責任は考えないと思います。
ただ、同じようには思わない人もいるでしょうし、逆にとても軽くとらえる人もいるだろうなとは思います。
誰かに話せてよりそってもらえるといいのですが、それもこわいですよね。性暴力の被害者支援の専門家を頼るなどできると良いのですが。
あぶくさんが穏やかに過ごせること、心から祈っています。

ひろ 返信

ブログ拝見させて貰いました。
大変辛い思いをされましたね。あぶくさんの今までの気持ちを思うとブログを読んでいて胸がキュッとなりました。
セクハラに関わらず子供が出るイメージビデオも映像化する事も販売する事も規制してほしいです。
少しでもあぶくさんの傷が癒える日がきますように。

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