2福島をずっと見ているTV vol.71「徹底討論!“福島を伝えること”」[字] 2017.12.14
是非おうちでも極上コーヒーを楽しんで下さい。
福島県出身の4人組・猪苗代湖ズが10月に行ったワンマンライブ。
そこで箭内さんが歌詞を書いた新曲が披露されました。
箭内さんがこの6年半で出会った福島の人たちの気持ちの変化を描いたこの歌。
2番の歌詞には福島の地元新聞で取り上げられた記事がそのまま登場します。
そこで今回はトークスペシャル。
集まってもらったのはネットメディアの記者や漫画家などそれぞれの分野で福島の事を伝え続けている4人。
少しずつ変化している「福島の今」を正しく知ってもらうにはどうしていけばいいのか?徹底的に話し合います!よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
改めてご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
石戸さん僕お会いするの初めて。
初めてです。
石戸諭という三文字は何度見た事か。
石戸さんは震災当時大手新聞社の社会部記者でした。
その後成長著しいネットメディアに移籍します。
福島に暮らす人たちの心の揺れを丁寧にすくい上げる記事や著作を継続的に発表し続けています。
やっぱりこの原発事故とか東日本の震災のあとというのを僕がすごく感じたのはニュースって一体何だろうなというふうに思ったんですよね。
やっぱり今までは危ない事が起きた危険な事が起きたっていうのを伝えるっていうのが一つニュースの役割だと警鐘を鳴らしていくんだというやり方ですよね。
ところがやっぱり不安に思っている事ほどいろんな現場の人たちの努力もあって収束していってる。
これが今の6年というかもう7年目に向かう福島の一つの現実だと思うんですけどその現実を伝える時のやり方というのがちょっとこう旧態依然としてるというか古いフォーマットのまま来ちゃったなというふうには率直に思いますね。
そこを旧態依然じゃないフォーマットを今つくろうとしてるのが石戸さんの一つの。
まあそうですね。
皆さん手元に「いちえふ」があると思うんですけどもこの漫画の作者の竜田一人さんです。
竜田一人でございます。
覆面漫画家として活動する竜田さんの作品がこちら。
事故を起こした東京電力福島第一原発で作業員として働きながらそこでの出来事を漫画に描いてきました。
素顔を明かさないのはまだこれからも原発で働こうと思っているからなんだそうです。
声を変えずにテレビに出るのは珍しいんじゃないですか。
そうですね。
あと大体ここから下でしょ映すの。
大体顔出さず声も変えてみたいにずっとやってたんですけどもういいかなと。
いつまでもねそれやってんのも。
そしてこれまでにも番組で取材させてもらっている福島県二本松市の元・小学校教諭佐藤敬子さん。
・「地震にも負けない」福島の子どもたちと歌を通して震災と向き合う合唱団を主宰しています。
・「亡くなった方々の分も毎日を大切に生きていこう」元ミスピーチの上石美咲さん今福島大学3年生。
はい。
ミスピーチがこの間までですか?そうですね今年の5月までやってました。
福島の農産物を県外の人たちにアピールするミスピーチを2年間務めた上石さん。
現在は大学で地域づくりを勉強するかたわら地元ラジオのパーソナリティーとしても活躍中です。
さまざまな取り組みをしている県内の企業や人物を取材し福島に暮らす若者の一人として自分の言葉で福島の今を伝えようとしています。
じゃあ早速いいのかな始めて。
福島の食の今の状態というのがちゃんと伝わってるのかなというのをちょっと皆さんに…。
話し合っていきたいなと思うんですけど。
まず最初に話し合ったのは福島県の農産物に関する事。
現在も福島で収穫されたお米は全て放射線量の検査が行われていますその数は毎年およそ1,000万袋。
国が定めた放射性物質の基準値100ベクレルを超えるものは2015年以降1つも見つかっていません。
毎年60億円近くかかるこの検査をいつまで続けていくべきなのでしょうか?僕はやっぱりここの一番の問題って何かなってずっと考えてたんですけど結局伝わってないというような事が問題だっていう事にひと言で言えば尽きちゃうんですよね。
特に消費地である東京都内とかあるいはその他の都市圏の人たちほど知らない。
じゃあまあ知らないという事以上に伝えてきたのかっていう一つ問題がまたありますよね。
メディアで伝えてきたのかというとやっぱり出なかった…出たという事はニュースになるんですけど出なかったという事はニュースにならないというふうな考え方がどうしても強いんじゃないかなというふうに思ってます。
やっぱり今やめたいっていう声も強いと思うんですよ。
つまり縮小してもいいんじゃないかと。
これは多分科学的に言えば正しいです。
お金がかかるかからないという話でいっても正しいと思うんです。
検査を縮小したいという考え方そのものは。
ただしじゃあどう伝わるかというところをやっぱり一つ考えなきゃいけなくてつまりやめたらどういうふうに受け取られちゃうか。
これお金なくてやめたんだなとかそういう話になっちゃうんですよねどうしてもね。
俺はちょっとひねくれてんのかもしんないですけど石戸さんの言う事はまあ正しいですよね。
本当に正論なんですけどでも伝わってないんだからやめても分かんないじゃね?と。
(石戸)やめたらニュースになるの。
あ〜そういう見方も。
やめるっていうのがニュースになっちゃうの。
やめるって事だけがニュースになる。
そうそうそうそう。
そのおそれはあるそのおそれはあるんだけど…どうせ知られてねえんだからという考えもあっていいんじゃないかなと思うんですよね。
あっていいですよねそれはもちろん。
要するにまあ風評が風評がって言うけど本当にその風評はあるの?というところからいろんな風評に関してもう一回検証する時期に来てるんじゃないかなと思うんですよ。
「風評ってあるの?」という事はない…?ないとは言いませんよ。
明らかに米の価格とかで風評の影響を受けてる部分はある。
だけど福島の農産物は全然首都圏でやっぱりまだまだ売れてないみたいなイメージで全部が語られていますけど例えばきゅうり夏になるとほぼ福島産なんですよ関東で消費されてるもの。
福島産を避けてる人がまだこんだけいるという数字がバーッてたまに出てきますけど知らないうちに東京の人とか福島のきゅうり食べてるんですよね。
食べてる。
ねえ。
実際調べてみるとそういういろんな事が分かってきたりしてまだこんなに風評があるんだだから大変なんだという事ばかりを言っているとその風評をかえって固定化させる事にならないかという疑問がずっとあって。
上石さんどうですか?ミスピーチとしていろんなところでね農産物販売してきましたけど。
お客様とね直接。
空気感ってどうでした?本当に9割5分って言っていいくらいのほとんどの方々は福島のものを「安全だね」という部分を見てるけどどっちかというとリピーターの方とかって「おいしいから食べる」という人が多いような気が実際していましたね。
なので検査は私はある程度何年間ゼロという数字が出たからやめましたよっていうふうに切ってしまっていいというふうに思います。
じゃないといつまでも福島がそれこそ「安全だ」「検査してる」という事ばっかり取り上げると聞きすぎても嫌になってくると思うんですよね。
受け取る側としては福島産だけ検査してるから福島産はやっぱりまだ危険なんじゃないのって受け取ってしまう消費者もいたりして。
で言い方として一番まずいのが福島産は検査している全部検査しているから福島産が一番安全なんだという言い方をするとじゃあ他は危険なのかという話になってしまう。
そのつもりはなくてもね受け取る方がそう受け取ってしまうようなそういう現象もあるので逆にそういう言い方あまり検査を前面に出すそれで安全だ安全だという言い方はもうそろそろ卒業してもいいかなという気がします。
他の産地と同じようなスタンス。
(竜田)そうですね。
要するに全国どこも安全なんです。
それを福島産だけ安全だって言い過ぎるがためにかえってイメージ悪くない?というのは気になってますね。
だからあれですよね全国の他の産地と同じように扱っていきましょうというようなフェーズに来てるという事をどれだけ言えるかという事だと思うんですよ。
ちょっとでもつらい経験もしたんですよねミスピーチの時。
そうですね。
2015年夏上石さんが関東地方のデパートで桃の実演販売をしていた時福島産と聞いて目の前で桃を吐き出されたといいます。
その時の事がニュースになると賛否両論さまざまな意見がネット上を飛び交いました。
正直風評がある事は分かってましたけど震災から何年もたってという状況でまさかそういう事を自分が経験するとは思わなくてそれは衝撃受けましたね。
でもそういう方って本当に一部なんですよ。
それこそミスピーチキャンペーンクルー今10人いるんですけどみんなで話しててもそういう事が起きるのって一年に1回あるかないかとかそういうレベルなんですよ。
でもやっぱりニュースとかってそういうものばかり取り上げるじゃないですか。
他の安全だとかおいしいという報道をしてもどうしてもみんなが目を向けるのはそういうものだっていうふうには分かってるんですけど。
農家の方から言われたんですけど「あなたがそうやって言ってる事自体風評につながってるんだよ」みたいな事も言われたりしてああ難しいなって。
(竜田)まあでも難しいですよね。
私も好きでこの話をしてるわけじゃないし毎回取材を受けるたびに「こういう事があったけどほとんどの人は…」と言ってるのにまあ取り上げられるのは…。
「吐き出された」みたいな。
(上石)そう。
ニュースの記事が何個かあってもそこしか見てくれない。
しかもその見出しですよね。
最後まで読まないから「安全だ」という事を伝えようとしても「危険だ」という事を受け取るという事が起きちゃうんですよね。
あとは「ひどい消費者だ」みたいな感じですよね。
「こんなにおいしい桃をやってるのに」みたいな。
そこたたく声ばっかりになっちゃうので逆にそれを外から見るとあいつらまだそんな恨み言ばっかり言っててみたいなそれでイメージ悪くなっちゃう事もあるので難しいですよねその辺伝え方だから。
私は吐き出される事っていうのはすごくショッキングだけどでも私は報道してしかるべき内容だと思っていて不安は不安ですよやっぱり。
だって自分が死んだあと自分の子どもとか娘たちが生んだ子どもで何か言われたらばどうしようもない感じがあるから。
例えば今までの水俣であったりとかそういう今まであったそういう風評というんでしょうかね絶対何パーセントの人たちはそれに対して納得はできないわけでできない人たちが生きてきた過程の中で納得できないよ人って信用できない部分はあるよ。
どこかで何かしてるかもしれないよという感情の中で判断するわけだからそれを最低ゼロにするという方が難しい。
やっぱりそういう人間の感情ってどうしても複雑な部分ってあるし納得いくまでの過程って人それぞれあるんですよね。
今までのニュースでは取り上げにくかったようなところというのもきちんとその納得の過程とか感情の揺れ動きみたいなところまで拾っていくという事というのは本当はすごく重要だったんじゃないかなというふうに思います。
4人のゲストからも話題に上がったメディアの伝え方。
今年9月福島の人たちにインタビューした時にもメディアの報道に対して疑問を唱える声が多数ありました。
ゲストの竜田さんが漫画「いちえふ」を描いたのも報道で伝えられている事と実際に目にした原発作業員の日常にギャップがある事がきっかけだったといいます。
「この世の地獄みたいに言われるこの『1F』で毎日こうしてのんびりメシ食って昼寝なんかしているこれもまたメディアではあまり報じられない『福島の現実』だ」。
それこそ福島第一原発で働くなんていうのは本当に死にに行くぐらいの心配のされ方を当時関東ではされてましたから。
行ってみて働いたら普通のおっさんが爆笑しながら働いてるわけでまあそのイメージの違いというのは本当に当時感じましたね。
「作業されてる方をヒーローだと思わないでほしい」って書いてあるんだけどそう書いてあってもやっぱ僕ら感謝はすごくやっぱりしたいなと思います。
感謝して頂けるのは本当にありがとうございますという。
感謝はOK?ヒーローは?何かね英雄視するのはちょっと違うと思うんですよね。
中にはろくでもないおっさんもいっぱいいるわけでちょっと何かヒーローじゃねえだろこいつはみたいな…。
いやでも本当にすごい人もいますよ中にはね。
職人。
職人技術者エンジニアすごい人がいっぱいいるんですけどもまあ総じてそういう人も含めて普通の労働者なので。
中はちょっと僕も取材に行ったりとかしますけど中は比較的ねもう平穏な作業場って感じですよね。
一番真ん中の部分はね中心部分は。
一番大変なところはなかなかまだ行けなかったりするけれどその周りに関しては本当に今は防護服要らないで普通の作業服で作業できるエリアも増えてきてるので。
その事だって伝わってないですよね。
いまだに中に入るには白いタイベックを着て全面マスクで最初からそれで行かなきゃいけないみたいに思われているところもねまだあるので。
でもやっぱりこの風評風化という言葉が使い方さまざまだとは思うけどメディアの果たすべき役割だったりメディアがその足を引っ張っているという事だったりってあるんじゃないかなと思って。
やっぱりアンケートで「こんなに不安に思っている人がいる」。
別にでもそれは不安は不安ですよねそれは当然な話で。
でもそこだけ取り上げて一応反証は出したもののでもやっぱりまだ何が起こるか分かんないみたいなそういうまだよく分かってないみたいなところで番組を収めちゃうというそこはやっぱりちょっと作り方として結局何か怖いんだというイメージがやっぱり残ったまんまで終わっちゃうので。
いろんな番組僕も感じますけど「まだ分からない」とか「難しい問題である」とかそれで終わっちゃ番組じゃないだろって。
結局何も言ってないんですよねそれは。
石戸さんどうですか。
全国紙でも働いていた経験もあるし地元メディアと全国メディアの報道のしかたの違いみたいなのここ違うなっていうのあります?やっぱ福島のメディアの人とかとよく話したりとかして思うのは全員が全員そうだと言う気はないんですが記者の中にもやっぱり細かく追ってる人たちっていうのはちゃんといて彼らはやっぱりすごく考えて報道したらこういう報道したら傷つくんじゃないかとか逆にこういう伝え方で不用意な発言とか不用意な伝え方をしてしまうと傷つく人がいるんじゃないかみたいなところまでちゃんと考えながら伝えようっていうふうにしてますよね。
もちろん時として無理して伝えなきゃいけない事というのもあるんだけど何かやっぱりこの報道をする事で困る人とか傷つく人っているよねというような想像力みたいなものというのもかなり気遣ってるような気はしますけどね。
実は県外に行って授業する時って割とあっていろいろ説明したりするんですけど県外の子どもたちに提示してすごくえ〜って思われるのは何かっていうと天気予報のあとの「今日の放射線量です」あれって結構衝撃的なんですよ。
続いて各地の放射線量です。
はじめに双葉郡以外の測定値をお伝えします。
国が午後5時までに測定した一時間あたりの値。
単位はマイクロシーベルトです。
各自治体ごとの最小値と最大値です。
モニタリングポストの機器の不具合などでデータが反映されていない場合もあります。
県外の人から見るとまだこんな事やってんだってもういいんじゃねえかなと。
実際に数値を気にしてる人は県内でもいないでしょ。
あれを毎日見てあっここ高くなった低くなったって毎日比較して見てる人なんて。
でもそれを何となく心のよりどころにしている人たちがいたりする。
自分のふるさとだったりとかあこのぐらいの数値なんだなって思ってふるさとをふるさととして思ってる人もいれば危ないって思ってる年代の人もいて。
その数値が例えばそこに1年間住んだとしてどのぐらいの被ばく量になってそれが人体に対して本当に影響があるのかどうかというところを。
きれいな音楽じゃ流せないデータになりますよそれでも。
それはもっとすごいところがいっぱいあるわけですよ。
私が働いてたとこなんて。
その外でしょ。
除染してないといっても大半のところは住んでも大丈夫なの実は。
でも住むためには条件が必要な場所でしょああいうとこって。
要するにインフラが整備されてないとかそういう事ですよね。
それと放射線量が高いという事が今ごっちゃになってあそこはもう帰れないんだというイメージができちゃってるのでそれはちょっとどうかなと。
でも子どもたちがバーッと遊びに出ちゃった時に住んでるそこの部分は1m先の数値とこっちと全然違うところでたくさん経験してきたじゃないですか。
その時にここには住めるけどここには危ないよという場所に果たして生活するっていうのはそこに子どもが生まれたり子どもが入るわけでその子どもたちがいろんなものを触ったりいろんなところで遊んだりした時も含めての多分生活なんだと思うんですけどそこはどうなんでしょうね。
そこまでやっても大丈夫なところって実はいっぱいあるんですよ。
(佐藤)でも…。
これをね細かく言い合いをし始めると切りがなくなってしまうんですけども。
どこで折り合いをつけていくかみたいなのってやっぱ人それぞれでたくさん価値観があるじゃない。
だからその科学的なところだけではやっぱり納得…そこだけじゃね。
放射線の事ひとつとっても住む地域や立場の違いで意見がすれ違う事はよくあります。
そんな複雑な心の問題を子どもたちと一緒に考えている佐藤敬子先生の合唱団を合原アナウンサーが訪ねました。
地元・二本松の小中学生を中心に総勢約40人。
毎週土曜日に練習しています。
(拍手)そういえば昨日地震あったよね。
この合唱団では歌だけでなく自分たちが震災後に経験した事をもとに劇を作る事にも挑戦しています。
セリフは子どもたちが考えました。
あの日からもう6年がたつんだね。
主人公は東京から福島に転校してきた男の子。
クラスメートと打ち解けようとしません。
タケルくんおはよう。
意味ないんだから言うのやめなよ。
いいから落ち着いてってば。
うるせえんだよ!話しかけんじゃねえよ。
ごめんねタケルくん。
みんないらついてるだけだからさ。
うるせえ!千尋ちゃんが気遣ってくれてるのに何なの。
日向ちゃんも落ち着いてってば。
俺はこんなとこ来たくなかったんだ!
(子どもたち)はあ?やがて男の子が秘めていた心の内を語り始めます。
俺はあの日福島から逃げたんだ。
避難した先でもそんな事ばかり考えていてなじめなかった。
6年がたって福島に戻る事が決まった時俺は福島のみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
だからみんなに素直になれなかったんだ。
ねえタケルくん。
タケルくんは逃げたんだよ。
逃げたの。
でもそれって何が悪いの!?しかたなかった事なんじゃないの!?メンバーの中には津波の被害も大きかった南相馬市小高区から避難してきている姉妹がいます。
あのねタケルくん。
二人の震災当時の体験も芝居のセリフに取り入れられています。
私と美羽ちゃん二人でね春休みに美羽ちゃんの住んでたところに行ってきたの。
美羽ちゃんの家は全部流されてて土台もなくなってた。
美羽ちゃんがね地震に遭った場所も行ってきたの。
当時川の波がすっごく上がって左の山が崩れてきてその土の上を自転車を担いでおばあちゃん家まで行ったんだって。
今年3月何人かの合唱団メンバーが一緒に二人のふるさとを訪ねました。
防潮堤が建設される事が決まりさら地になった家の跡や近所の思い出の場所を巡りました。
その時に撮ってきた写真を見ながら合唱団のみんなで話し合いが行われました。
劇を作るためにはただセリフを練習するだけではなく実際に被害に遭った人たちの気持ちを考える事が大切だと佐藤敬子先生は考えています。
私がこの写真を見てこの写真は何だろう何の写真だろうって思って裏を見てみたら「天音ちゃんの家」って書いてあって私が見た写真では家がなかったので何でなんだろうなって思ってて津波で流されてなくなって劇の中でも言ってるように何も…なくなったんだなって思いました。
私は写真を見て木が倒れていたり家がなくなったりしていて日和ちゃんが昔避難訓練の時とか泣いてたりしていてそれを見て私は本当に怖かったんだなと思いました。
写真をちょっとだけ見てみると本当に周りにも何もなくてただの田んぼみたいな感じになってて本当に悲しかったなと思ったんですけどもしあれが私の家だったら本当に私は悲しいと思います。
(佐藤)日和ちゃんここまで聞いて素直にどんな感想を持つかな。
みんながこういうふうに思ってるの。
自分の家だったらとか自分家の近くだったらとかって考えてくれた人がいっぱいいたんですけどそうすると他人を見てるじゃなくて自分と置き換えて考えてくれるからうれしかったです。
(佐藤)今あなたはこういう写真を見てどんなふうに感想を持ちますか?何かただ単に懐かしいなって。
(佐藤)懐かしい?見ると寂しいっていう気持ちもあるんですけど前はここに何々があったなみたいな。
みんなかわいそうだなとかという気持ちがあるみたいだけどそれに対して6年7か月たって日和ちゃんはどんなふうに思う?かわいそうだなって言われるのは嫌じゃないんですけど何かちょっと違うなって。
(佐藤)どういうふうに違うの?悲しいのは悲しいんですけど今は前を向いてるというかだから過去の自分をかわいそうと言われるのはいいけど今かわいそうって言われるのはやっぱり納得がいかない。
(佐藤)うんうんなるほど。
私は妹みたいに泣かないんですけど写真を見ると頭痛とかするので。
(佐藤)その頭痛ってどうしてだと思う?今する?今結構鈍く痛いですね。
(佐藤)鈍く痛い?すいませんでした。
大丈夫です。
(佐藤)薄目開けてて下さい。
その頭痛ってどんな感じの頭痛だと思う?多分私があんまり泣かないかわりに体が悲鳴上げてるから頭痛があるのかな。
(佐藤)こういうのを資料として使うという事についてどうですか?
(天音)こういう写真を見ていろんな人に何かを考えてもらうというのはとても大事な事だと思うので。
どんどんたくさんの人に見てほしいと思います。
この日話題に上がった「かわいそう」という言葉について改めてみんなで考えてみる事になりました。
これはやっぱりちょっとねきちっと調べてみました。
「かわいそう」って何なのか。
天音ちゃんと調べました。
天音ちゃんどうぞ国語辞書を調べた結果を。
「かわいそう」を調べた結果「哀れ」とか「気の毒」とか出てきたんですけど。
(佐藤)同情哀れみ。
「哀れみ」とか出てきて「哀れ」を調べると「かわいそう」って出てきました。
(笑い声)同義語なんだね。
「かわいそう」っていう言葉は何かもう「自分関係ないから私じゃなくてよかった」みたいなかわいそう。
今のすごいきつかった!絶対みんな思った事あるよね。
私じゃなくてよかったかわいそうというイメージとか他人事ですごく私あまり好きじゃなくて。
かわいそうというよりは「えっ大丈夫?」とかそういう言葉の方が聞いてる人にもぐさっとは刺さらないし震災に遭ってからは熊本の地震とか見たりニュースとか見たりして「かわいそう」とは思わなくて「大丈夫かな」とかは思ったりします。
すると子どもたちのやり取りを聞いていた保護者の一人からこんな感想がありました。
みんなが例えば県外に行ったとしますね。
そこで福島県からの子どもですっていう事で「ああかわいそうだね」って言われたとしましょう。
みんなはかわいそうじゃないって思うんじゃないかなと。
その気持ちと同じなんじゃないかなとふと思いました。
「そんな事ないよいろんな人に出会ってるよ」とか「確かにつらい事はあったけどそれがあった事で得られたものもあるよ」とか言い返したい事が胸の中に上がってくるからかわいそうじゃないよって気持ちになるのかな。
そういう場面にもこれから出くわす事があると思いますけどその時に怒りじゃなくて相手に教えてあげられる言葉とか知識とか経験とかそういう言葉が出てきたらそれがかわいそうじゃないって事なんじゃないかなと思いました。
どうでしょうか。
最後に南相馬から避難してきている二人にどうしてこの合唱団に参加しているのか聞きました。
この合唱団だと分からない事を分かろうとしてくれたりそこを私が分からないなと思ったところを一生懸命求めてくれる集団なので。
何か「かわいそう」についてみんなで議論になってたけどそれはどういうふうな気持ちで聞いてた?すっきりするというかもやもやがなくなる。
結構もやもやってあった?もやもやっていうかみんなの考えが知りたいなっていう時にできるからそういう何か共有できる。
すごい何かうわ〜って。
何か頭痛が起きるとかああいうところとか「かわいそう」という言葉に対してこんなに感情がこもってるんだというそれ聞いてどう思う?とかそういう事をきちんと言葉にしていこうっていうのが何か率直にすごい考えさせられるいいVTRだなと思いました。
あのシーン特に。
劇は実際配役としても二本松の子が小高の子の役をやったり小高の子が二本松の役をやったりとかっていうふうに配役もちょっと変えてるのかなと思ったんですけどそれねらいっていうのはどういうところなんですか?人の事を考えるスタンスで劇を作ってるんですよ。
例えば転校してきた子がこういう状況であった時あなたたちはこの時どう思いますか?そうすると頭にきますよね。
挨拶もしないでダン!となるわけだから。
その挨拶もしないで来る事に対してしかも福島を嫌だって言って福島に来るのが嫌だって最初言うわけですよね。
それが周りの子どもたちは何で嫌だと思うかといったらそれがさっきから出てる風評被害であったり福島に対する差別であったりするわけですよね。
そういう事を繰り返していくと相手をどういうふうに理解しようとしてる人間なのか自分が子どもたちが。
それから周りの子があああの子はああいう時で怒るんだとかそれを通して人をどう理解していくかとかそういう事に尽きると思うんですよ。
ああやって子どもたちがいろんな別の土地の子どもの立場になってまた考えてみる機会があるっていうのはすごいいいですよね。
逆に自分たちが将来外に出ていったらどう見られるかみたいな事も含めて。
また放射線の話に戻って申し訳ないですけども子どもたちに今こう放射線に対する教育を一からやり直そうみたいな動きありますよね県内で特に。
それも非常に大事な事でそれに対する知識があれば将来また何か差別みたいな事を受けた時に反論したりもできるし身を守る事にもつながるしそれは福島の子どもだけに限らず全国の子どもにやんなきゃ駄目です。
全国の子どもにやる事によって将来的な差別とかを根絶できるはずですから。
神戸の子どもたちとの交流とか新潟の子どもたちの交流とかが実はあってその時に持っていったのは土だったんです福島のね。
でいろいろ話を福島の現状とか神戸の現状だったり新潟の現状だったりそれ話したあとでじゃあこの土を持ってきましたというふうに出した時にやっぱり子どもたちっていうのはウッてなるんですね。
私実はその時土はその学校の土を持ってったんです。
そこの県外のところの校庭の土を。
これってすっごく意地悪に見えるんだけどでもそれは福島だって聞いただけで結局あなたたちの心はこういうふうに動くんですよと。
実際表面でいくら言ってもあなたたちは気持ちが今ウッてなったでしょって。
その気持ちっていうのが風評被害にもつながるしあとは理解にもつながるそこから先につながる。
そこを分かってほしいから。
今回の劇もそうだしいろんなやり方なんかは必ず賛否両論確実にある事でけれど心をすごく動かしてくれれば私はそれでいいと思っているので。
最後に私はやっぱり子どもの力ってものすごいと思ってるんですよ。
すごく子どもたちの力って信じていてそれを私がやれる立ち位置にいるのであればこれからもやっていきたいなと思っています。
やっぱり未来に向けて何を伝えていくとかあと子どもたちの成長というのも未来だと思うんですけどその未来に向けて語っていくとか未来に向けて何かをやっていくという事っていうのがそれはすごく重要だなって最近思うようになってるんです。
そこはいろんな立場関係ないですよね。
放射線にどういう考え方を持ってるとか農産物に対してどういう考え方を持ってるとか関係なくてそれは福島に住んでないからとか福島の県内とか県外とかという境界線越えて一つみんなでつくっていけるものというのは未来の事だというふうに思うんですよ。
何か今日の一日この場を通してみてやっぱり自分が思ってる事を正直に話して自分と意見が違っても一回受け入れてみるというのって本当にすごい大事だなというふうに思ってそういう場ってあるようでないのかなって福島は結構思ってて。
私も普通の学校の友達に相談するよりやっぱり同じような活動とかこういうふうに動いてる人に相談しちゃうしでまたそこで大体固まってっちゃうんですよね。
どんどん考えが本当に。
まあそうですね。
よかった。
だからそうじゃなくて本当にこういろんな人がいろんな思いを持ってるという事を理解するような場づくりとかをしていろんな意見がある事はすごいいい事だと思うのでこうやって話していける場がもっとできたらなというふうに思いました。
本当にいろんな事話しましたけど。
そうですね。
きっと誤解も含めていろんな形でまた伝わっていく中でみんなでさっき石戸さん言ったみたいにね未来の事を考えながらこの番組を見てもらえたらいいなと思います。
一部だけ切り取るんじゃなくて。
そうですね。
今日はどうもありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
2017/12/14(木) 22:00〜22:45
NHKEテレ1大阪
福島をずっと見ているTV vol.71「徹底討論!“福島を伝えること”」[字]
震災から丸7年がたとうとしている“今の福島”。少しずつ変化してきた様子をどのように伝えていけばよいのか。これまで“福島”を発信し続けてきたゲストを招いて徹底討論
詳細情報
番組内容
討論に参加してくれたのは、大手新聞社勤務時代から福島を取材し続けている新興ネットメディア記者の石戸諭さん。東電福島第一原発で作業員として働いた実態を漫画「いちえふ」に著した竜田一人さん。子どもたちに合唱団活動を通じて福島を語り継いでいる佐藤敬子さん。地元ラジオ局のパーソナリティも勤める元ミス・ピーチの上石美咲さん。福島の農業や風評被害のこと、放射線のこと、メディアの伝え方等、議論は多岐に渡った。
出演者
【ゲスト】BuzzFeed Japan記者…石戸諭,漫画家…竜田一人,大学生…上石美咲,元小学校教諭…佐藤敬子,【司会】箭内道彦,合原明子,【語り】相沢舞
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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