今回のインタビューは、大学生の時からカリスマブロガーと呼ばれ、現在はブロガー・作家として活躍するはあちゅうさん。電通時代のセクハラ被害を告発したことがニュースとなり、まさに渦中にあった18日に、予定通り、取材に応じてくれました。
ポイントは・・・・
- 決心した瞬間に仕事は舞い込む
- 新しい結婚の形にトライ
- わくわくする気持ちを大切に
完璧な発信は面白くない。だからちょっと黒い部分もさらけ出す
ブロガー・作家として、書籍とWEB媒体に執筆する仕事をしています。もともと、小さい頃から自分の人生を全部本にしてみたい、という気持ちがあったんですけど、今は本じゃなくてもSNSとかいろんな形でシェアできるので、とにかく自分の興味を持ったことや体験したことをすべてコンテンツにしています。
心がけているのは、SNSごとの特徴、世界観にあわせた発信をすることと、あとはさらけ出すことですかね。自分のちょっと黒い部分だったりとか、隠しておきたいような部分も。
もちろんそういうものに対してはアンチがついたり批判があったりもするんですけど、ウソのない正直な発信をしていると、好きになってくれる人はより深く好きになってくれるので。あんまり欠点のない人の、完璧な発信って面白くないと思っているんです。
活発な自分のコスプレを演じた大学時代
実は私、高校生までは引っ込み思案で、クラスで自己主張ができない子だったんです。休み時間のたびに図書館に行くような子で、やりたいことが全然できなくて。自分の意見を発信している人に対して、うらやましいな、という思いがいつもありました。
でも、大学生になった時に、このままの自分で一生生きていくのか私?ってふと目が覚めたというか、今自分を変えられなかったら、一生自分を変えられないな、という危機感みたいのを抱いたんです。
そこで、今まで挑戦してこなかったことにチャレンジしよう、活発な自分のコスプレを演じよう、と思ったんです。チアリーティングとか、ハツラツとした理想の女の子がやっていることを表面的に真似ることから自分を変えてみよう、と。そうすることで、自分を理想の子に近づけようとしていましたね。
夢が叶っているのに、楽しくない
電通への内定が決まってから、高校生の時から意識していた世界一周に行きました。実際に行ってみて夢は達成できたし、瞬間瞬間ですごく楽しかったりはしたんですけど、夢って叶ってるときって、叶っているっていう実感がないんだなって思いました。何年も前から憧れ続けた夢の世界一周中なのに、ずっと楽しいわけでは全然なくて、むしろ日本にいるときよりも苦しいこととか、悲しいこともたくさん経験して。
同じことを、電通に入社してからも感じましたね。2年目に希望が叶って夢だったクリエイティブ局にいけてコピーライターとしての活動を始め、コピーを創ったりCMを作ったり、THE・広告会社みたいなことができたんですけど、その時も夢が叶っているのに全部が楽しくて悩みがないわけではなくて。夢の先には、新たな夢だったり、目標があるんだなということを感じましたね。
電通からトレンダーズへの転職で感じたやり甲斐
というのも、コピーを書いている時って、どうしても企業の代弁者になってしまうんですよね。でも、企業の思いではなくて私の思いを個人として発信したいな、という思いがより強くなってきて。当時の電通は個人活動をそれなりに制限されていた部分もあったので、もっともっと自由に書きたいって。
コピーや広告ではなくてもっとコンテンツを作ってみたいと思っていたころに、私の本や発信を見てくれていたトレンダーズの創業者、経沢香保子さんが「はあちゅう、うちの会社で働かない?」と声をかけてくれてたんです。
それでトレンダーズに入って新しいメディアの編集長になったんですが、編集長は思っていた以上に超大変でした(笑) 多忙で、24時間365日、気が休まらなかったですね。でも、ベンチャー企業だと大企業よりもかなり仕事のスピードが早くて、数字で結果が返ってくるのでそれが気持ち良かった。昨日できなかったことが今日できるとか、解決できないと思っていた問題が達成できることにも、すごくやり甲斐を感じましたね。
友だちのアドバイスが、独立を後押ししてくれた
トレンダーズにいた時も、週末作家という肩書きを名乗っていろんな媒体さんで連載を持たせて頂いたりしてたんですが、次第に、フリーだったら受けられるのに… 会社員じゃなかったら受けたいな…という仕事がいろいろ出てきたんです。
その時にオンラインサロンというサービスに出会い、定期的な収入が得られるということが分かったので、フリーランスに挑戦することにしました。2年10ヶ月ほど働いたトレンダーズを辞めて、3年ほど前に独立しました。
もちろん少しは不安もあったんですけど、それよりもワクワクという気持ちが大きくって。それに、友達でフリーランスの働き方をしている人たちが「覚悟を決めた瞬間に仕事ってまいこむものだよ」とか「私ができるんだから大丈夫だよ」と言ってくれたり、取材のギャラや講演料についても具体的なアドバイスをくれたので、現実的に計算していったら不安はなくなりましたね。
本の世界でもインパクトを!
私は自分の創ったコンテンツがより多くの人に広がってほしいなと思っているので、今後は本が映像化されるようになりたいと思っています。今は多くの人が動画のコンテンツをよく見ているし、動画だと言語を超えて別の人種の人にも別の国の人にも届くので、まずは映像化かなと。
そして、本の読者と紙の読者を双方向につなげるためにも、本の世界でも実績を出したいですね。出版業界的に知名度を上げられるくらいインパクト、たとえば10万部とか賞をもらえたりとか、書店員さんが「ああ、はあちゅうね」と思ってもらえるレベルになりたいな、と思います。
初めて湧いてきた、子どもがほしいという気持ち
最近、周りの仲良しの友達で子どもを産んだ子が多かったんです。それを見ているうちに、私も母親になりたいなっていう気持ちが初めて生まれて。パートナーの意志もあるものなので、いつとかは具体的には考えてはないんですけど、子どもはほしいなと思っています。
結婚自体もしたいんですけど、結婚制度自体にしっくりこないところがあって。サイボウズの青野さんが訴えている夫婦別姓の問題もそうですし、女性が家に入るという感じとか。
そうではなくて、お互い自由を保ったまま、依存しないけど強い関係をつくれる、新しい結婚の形にトライしたいなと思っています。事実婚という形をとるかもしれませんし、結婚せずにずっと一緒にいるという選択をするかもしれません。
仕事も、業界も変えられる だから気軽に転職して大丈夫!
仕事をするときには、ワクワクする気持ちを大切にしてほしいですね。条件とかお給料、安定性とかを求めてしまうと、ガチガチに固まってしまって自分の理想の働き方が実現できなくなるんですよ。お給料のために働いちゃったりとか、条件が合わないのにその会社に依存するようになったり。だから、その場所にいると心がワクワクするとか、楽しいと思える気持ち、それを見失わないでほしいですね。
もう一つ大切なのは、仕事は変えられるから大丈夫、という気軽さを持つことです。私も電通に10年はいると思って入ったんですけど、現実は2年半で辞めたんですね。で、辞めてみてわかったのは、自分がいた業界って、小さな業界の中の、たった一つの会社でしかなかった、ということ。視野が本当に狭くなって、業界のルールを世の中の常識のように思ってしまっていたし。
誰でも他の会社にもいけるし、ほかの業界にもいける。会社は一生ものじゃないので、合わなかったらやめられるんだ、という気軽さで転職するといいんじゃないかなと。何年後の自分とか安定とかじゃなく、今の自分はどっちに行きたいのかを考えるといいと思います。
■プロフィール
はあちゅう
ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍ら、レストラン、手帳、イベントをプロデュースするなど、幅広く活動。
2009 年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。2011年12月に転職し、トレンダーズで美容サービス、動画サービスに関わる。2014年9月からフリーで活動中。
月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」、オンラインサロン「ちゅうもえサロン」「ちゅうつねサロン」などを運営。著者に「自分の強みをつくる」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)「恋愛炎上主義。」(ポプラ社)「半径5メートルの野望」(講談社)など。雑誌、オンラインメディアなどでの連載多数。催眠術師資格を保有する。
趣味はSNSの更新と食べ歩き。「いま楽しいのは、街が変わっていく姿を見せてくれる恵比寿、外国人が増えて日本も開けてきたなと教えてくれる銀座、日々変わっていく元気な街の一つ・表参道です」
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