(cache)書店と塾の二刀流で効率よくビジネスを展開 城南コベッツ新中野駅前教室オーナー 江藤 隆史さんインタビュー

書店と塾の二刀流で効率よくビジネスを展開 城南コベッツ新中野駅前教室オーナー 江藤 隆史さんインタビュー

公開日:2017年02月28日
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城南コベッツは、城南予備校のノウハウを活かした個別指導塾。オーナーの8割以上が教育業界未経験者だ。教室長経験者のスーパーバイザーによるきめ細かいアドバイスと、充実した研修制度、そして保証金0円、加盟金150万円という低資金での開業ができるということもあり、個別指導塾の中でも高い人気を誇る。

その城南コベッツ新中野駅前教室、新井薬師駅前教室の2教室を経営しているのが、江藤 隆史さん。オーナー歴6年の江藤さんに、フランチャイズ加盟前から現在までのお話を伺った。

元書店のスペースを個別指導塾として利用

江藤さんは、現在62歳。6年前までは書店を経営していた。しかし、書店の先行きに不安を感じ別の仕事を模索。近隣の学校への教科書販売などを行っていたこともあり、保育所や個別指導塾といった、「子ども」と「教育」に携わるビジネスを考えていたという。

幸いにも、書店の店舗を所有していたこと、東京メトロ丸ノ内線新中野駅から徒歩1分という好立地であること、1階にある路面店であることという好条件が整っていたこともあり、書店店舗を閉鎖し個別指導塾をスタートした。フランチャイズへの加盟は2010年の11月だ。

家族の反対もなかったということ。書店は一部大手を除き規模縮小傾向にあり、この先書店を続けていくことは現実的ではなかったという。

現在、書店は学校や病院などへの販売のみ行っており、書店と個別指導塾の二足のわらじを履いている状態だ。

書店経営の経験からスムーズに個別指導塾へのシフトチェンジを完了

個別指導塾は、近年フランチャイズの中でも人気のある業種。人気の本部も多数あるなか、江藤さんはなぜ城南コベッツを選んだのだろうか。

インタビュー

「いくつか比較検討をしましたが、教育に対する姿勢や、生徒に対する指導方針、説明会などで接したスタッフを見て、しっかりした本部だなという印象を持ったのが一番大きかったですね」

そのなかでも、生徒主体の教育方針であることが一番の決め手だったそうだ。

個別指導塾をやろうと決めてから開校までは1年ほど。書店をクローズして1ヵ月後には新中野駅前教室をオープンした。

フランチャイズに関しての知識は、江藤さん自身が経営者だったこともあり多少の知識はあったとのこと。そのため、まったくのゼロの状態から開業するよりは、すんなりできた印象だったという。

自分が経営者であったために、「新しい事業を増やす」という感覚が強かったことも、スムーズに開業できた理由なのだろう。

地域性を考慮し小学生を中心とした展開に

6年前は個別指導塾が注目され始めた時期ということもり、生徒の確保にはそれほど困らなかったという。

「路面店ということもあり、オープン当初からかなり問い合わせがありました。城南コベッツは中高生中心という教室が多かったんですが、うちへの問い合わせはほとんどが小学生でした。あまり前例がなかったと思うんですが、本部もしっかりサポートしてくれたのもよかったですね」

地域の特性上、中野区は小学生が一番多く、中高生が少ない傾向にある。当時、個別指導塾は中学生がメインというところが多かったが、小学生を広く受け入れたために、順調にスタートを切れたのだ。

最近は少子化が進んだことや、中高生のいる家族は住宅費が安いほかの地域への転出が多いことから、同じ中野区でも生徒数確保に苦戦している個別指導塾が多いようだ。しかし江藤さんの教室は立地条件のよさから、安定した生徒数があるという。

個別指導塾と書店の相乗効果で安定した売上を実現

小売業の書店と違い、個別指導塾はサービス業に近い。業種の違いについてはどう感じているのだろう。

「個別指導塾は、シーズンにより生徒数の増減が左右されます。今は6月、7月に生徒数がピークになって、3月、4月が一番少なくなります。それを踏まえて、経営を考えるようにしています」

しかし、ここで書店との兼業が活きている。教科書販売のピークは3月から4月がピーク。塾の売上が一番低い時期に、書店の売上が一番高い時期となっているため、年間通して安定した売上が見込める状態にあるという。

「そこは、個別指導塾を始めてから気づきましたね。そういう意味では、書店を辞めずに続けていてよかったなと思います」

書店時代に比べ肉体的に楽

書店経営時代と現在を比べると、肉体的にかなり楽になったそうだ。ポイントは営業時間。

書店時代は、午前10時から午後11時まで年中無休で営業していた。一応休みはあるものの、あまり休んだ気がしない状態だったという。一方、個別指導塾の場合は、午後3時から最初の授業が始まり、終わりは午後9時30分。日曜日は定休日となっている。

また、収益の面でも書店とは大きく違う。

「書店は粗利2割ですけど、個別指導塾は9割近くあります。売上の額は少なくても収益は大きいです。」

小売業というものは、どうしても在庫が発生してしまう。特に書店は、在庫の金額が大きい。それに比べれば、在庫を抱える必要がない上、授業料が前払いの個別指導塾は、経営面では多少、楽に感じることだろう。

生徒の集客は「口コミ」メイン。人件費にムダがないのも個別指導塾のいいところ

生徒の集客は、以前は新聞チラシやビラの配布などがメインだったが、最近ではWebを使うことが多いという。しかし、それよりも効果があるのが「口コミ」なんだそう。

「通っている子どもの成績が上がれば、その友達も来てくれるようになります。特に個別指導塾の場合は地域密着型が多いので、口コミは大変重要ですね」

個別指導塾の経営では、生徒の確保ももちろんだが、講師の確保も重要だ。新中野駅前教室には現在10人ほどの講師がいる。大半が大学生だが、なかには主婦もいるそう。

「この辺りは大学生が多く住んでいるので、講師の確保は問題ありません。ただし、大学生だけでは午後3時からの授業などに間に合わないこともあるので、元小学校教諭や塾講師経験のある主婦の方なども講師にいます」

また、講師は1コマ単位で報酬を払うため、いくら講師数を増やしても人件費がかさむということはない。その辺も、書店時代のアルバイト雇用と比較すると大きく違うということだ。

「小売業を始めとした他業種では、アルバイトは時給制がほとんど。売上に関係なく人件費がかかります。しかし塾の場合は授業の数しか人件費がかからない。ムダがありません」

一人ひとりに合わせたコミュニケーションで子どもが変わる

個別指導塾を始めて、やりがいを感じるのはどんなときだろうか。そんな質問をすると、江藤さんはうれしそうに話しだした。

インタビュー2

「子どもが喜んで来てくれることですね。塾に来てもまったく勉強をしない、他の生徒にも迷惑をかける子どもがいたので、怒ったんです。そうしたら、毎日来るようになって(笑)」

なぜ、怒られたのに毎日来るようになったのだろうか。

「その子のためを思って怒れば、ちゃんと伝わるんだと思います。ただ勉強を教えればいいというものではなくて、その子どもにあったコミュニケーションをきちんとしなければいけないなと思いました。」

個別指導塾は子どもと大人が密に関わる業種。それゆえ、勉強だけではない、しつけや教育的な側面も求められたり、与えたりしなければいけないのだろう。予備校や大人数の学習塾とはまた違う仕事という印象だ。

フランチャイズを活用して自分にあった働き方を実践

ずっと行ってきた書店経営をしながら個別指導塾のフランチャイズ経営を選択した江藤さん。これからフランチャイズで独立起業をしようと思っている人へ、アドバイスを求めたところこんな答えが返ってきた。

「新しい事業を始めるのならフランチャイズは検討する価値はあると思います。業種に対する知識があまりなくても、本部がきちんと研修もしてくれるし、スーパーバイザーもアドバイスしてくれます。特に教育関係などに興味があるのなら、個別指導塾はやりやすいのではないでしょうか」

塾業界は、初期費用がそれほどかからず、事前に業界について少し勉強しておけば抵抗なく入れるのでは、と江藤さんは語る。

また、ご自身の娘さんの受験や塾選びなどの経験があったのも役に立ったそうだ。そういう人生経験が活かせるのも、個別指導塾ならではだろう。

江藤さんのお話を聞いていると、フランチャイズの仕組みをうまく活用し、それまで携わってきたビジネスと並行して働いている印象を受けた。

特に、学習塾は若い人よりもある程度年配の人のほうが、父兄の受けがいいということもあり、早期退職後のビジネスやセカンドビジネスに向いているのではと感じた。

少子化が続く日本だが、その分子ども一人にかける教育費が増えている。生徒の確保は難しい面もあるだろう。しかし城南コベッツは、城南予備校が母体となった個別指導塾。なかでも、大学受験の指導を得意としているため、高校生からの人気も高いのが特長だ。そのため、生徒一人あたりの単価も高くなり、高い売上を狙うことができる。

個別指導塾の経営を考えている方は、江藤さんの働き方を参考にしてみてはどうだろうか。