12月6日にトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定すると宣言し、米大使館をテルアビブから移転するプロセスを開始すると発表した。これは多くの日本人が考える以上に、国際的にみると重大事項であり、12月8日には国連の安保理事会が緊急会合を開催している。
私自身は、たまたまイスラム世界に詳しい親友を持ち、対談で本を出していることもあり、イスラム世界についてはかなり関心を持っているし、それなりに勉強をしているつもりだ。
結論を先に言うと、日本が今後どのような外交を行うかどうかは、日本の将来に大きな影響を与える。
今回は、この問題だけでなく、サバイバルのために「日本が守らなければならないこと」を考えてみたい。現在、立憲民主党が多少の人気を得ているとは言え、リベラルな政策はあえて標榜しておらず、保守全盛の時代と言える。もっとも、言葉の定義上、保守とは守らなければならないものがあるから「保守」のはずだ。
安倍政権の対米追随に潜む不安
私の見るところ、日本の対米追随路線は、この20年、そして安倍政権になってから、かなり強固なものとなっている。1989年に冷戦が終わったことで、日本にとって軍事的な脅威はかなり弱まるはずだった(ソ連の脅威は、今の中国や北朝鮮の比ではなかったはずだ)。また一方で、イデオロギーの対立構造で外国を見るより、資本主義社会での競争相手として外国を見ないといけないのに、日本の政策はそれに逆行しているとさえ言える。
例えば、2003年のイラク攻撃の際には、国連安保理の承認なしにアメリカが攻撃をしたのに、日本はアメリカと一緒になって攻撃したイギリスや、イラクと対立を続けてきたイスラエルなどと同様に真っ先にこれを支持した。
これに対して、今回のイスラエルの件では、日本の対応は十分に慎重だ。河野太郎外相は12月7日、「中東和平を巡る状況が厳しさを増し、中東全体の情勢が悪化し得ることを懸念している」と記者団に表明し、日本大使館を移動するつもりはないと述べた。ただし、トランプを批判するようなスタンスは取っていない。菅義偉官房長官も「国連安全保障理事会の決議などに基づき、当事者間の交渉により解決されるべきだ」と従来の立場を繰り返した。ただし、西欧諸国のようにトランプの発言の非難もしていない。
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