ルーター感染で大規模攻撃危険性
新型のコンピューターウイルスが、4年前に明らかになった「ルーター」と呼ばれる機器の欠陥を突いて急速に感染を広げ、大規模なサイバー攻撃の危険が高まっていることが専門機関などの調査で分かりました。
プログラムの修正を怠ったままの機器が狙われたと見られ、専門家が警戒を呼びかけています。
大規模な感染が起きていたと見られるのは、コンピューター関連機器メーカーのロジテックが平成21年から25年にかけて販売していた「ルーター」と呼ばれるインターネット接続装置、あわせて11機種です。
情報通信研究機構などによりますと、これらのルーターを狙った感染が先月から国内で急増し、18日の時点で、推定でおよそ1万5000台とインターネット関連機器としては前例のない規模に達しているということです。
これらのルーターは4年前にセキュリティー上の欠陥が明らかになり、メーカーが修正プログラムを配布していましたが、利用者が対応を怠ったまま使っているものが狙われたと見られています。
このウイルスは、アメリカで世界最大規模のサイバー攻撃を引き起こした「Mirai」と呼ばれるウイルスの改造型とみられ、感染した機器が悪用されると国内で大規模なサイバー攻撃が起きる危険があるということです。
ロジテックは欠陥の情報を公表し、専用の電話窓口を設けるなどして修正プログラムを適用するよう呼びかけています。
情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究室の井上大介室長は「国内のIoT機器の感染台数としてはMiraiの時より格段に多く過去最大規模になっている。機器のアップデートをすれば防げる攻撃は多いのでしっかりとアップデートすることを心がけて欲しい」と話しています。
ロジテックによりますと、大規模感染のおそれがある欠陥が見つかっているのは、「ハイパワールータ」や「スリムルータ」などの製品名で販売されていたあわせて11の機種で、平成21年8月から平成25年11月までのおよそ4年間販売され、のべ92万台が出荷されたということです。
ロジテックでは平成26年10月までに欠陥を修正するプログラムを配布していますが、プログラムの適用は自動では行われず、利用者が手動で行う必要があるということです。
これらのルーターはすでに販売が終了していて、現在、どれくらいの台数が欠陥を修正せずに使われているかなど詳しい状況は分かっていません。
テレビや冷蔵庫など身の回りのさまざまなものをインターネットにつなげる「IoT」が広がる一方で、セキュリティ対応の難しさが浮き彫りになっています。