MEEJA & Co.

機械に馴化していく私たちのセンスとモラル。

【説明】IPPA(知的財産振興協会) 海賊版撲滅スタッフのアルバイト

いまも続くAV出演強要被害:被害根絶を目指して
http://hrn.or.jp/activity/12780/

人権団体HRN主催の院内集会のために
業界内部の状況を伝える資料として用意した。

雇用契約書の秘密保持契約に違反している形になりますが、
情報の公益性の高さと報道の自由、報道の中立性のために
AV業界内部の説明を兼ねて体験を一般公開することにしました。

  • 勤務期間

    2016年7月11日から2017年4月4日

  • きっかけ

    1. 過去に地下アイドルの楽曲提供で著作権契約においてつまづいた経験

    2. もともと14歳から続く診断済み・手帳3級持ちのADHDだったので
     はじめ障害者採用で応募を続けていたものの
     あまりにも採否の反応が遅かったため、
     体力に自身なくとも楽に働ける、ぎりぎり自立可能な収入を得られる
     付加価値あるフルタイムのパートを一般就労で探していた。

    3. 実演家団体AVANのアダルトビデオの著作性をアピールする理念
     https://www.facebook.com/marikokawana/posts/1267361283345575

    4. ヤフーの2016年7月12日の記事
     「AV出演強要、業界団体と被害者支援団体が協議
      海賊版防止システムで被害者動画削除の連携など具体案も」
     https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20160712-00059768/

    ———————————————————————————-

    上を期待して入社したものの、被害動画は犯行現場の物証とされており
    著作権法で扱えない非弁行為になるのか削除・隠蔽は許されなかった。
    IPPAという組織自体、コンプライアンスを警察と共にする
    比較的厳しめの体質なのもあり、告訴を受けた被害者の動画と
    販売停止になった動画はすでに作品リストから外れていた。


  • 解雇

    「国際女性デー」(2017年3月8日)に合わせて9日
    人身取引被害者サポートセンター・ライトハウスに1万円寄付したら
    翌々日11日に彼らから新宿御苑にあるIPPAのオフィスに電話がかかり
    事務局長から「生産性に問題がある」ということで退職勧奨がきた。
    (この日はたまたま契約満了の1ヶ月前だった)

    すぐに転職先を探してほしいといわれる。
    運良く就労先が見つかったことを報告すると「おめでとう!」と言われ
    会社事由の退職勧奨であるにもかかわらず自主退職を願い出られた。

    そのころオフィスで「会社の資産状況の密告者がいる」と話題になり、
    外部からかかる電話を何度も受け取らなかったりと、
    私が疑われたのか疑われなかったのか知らないが

    なるべく退職は早いほうがいいようだった。

    退職の1週間前ともなると、それまで激しかった
    社員による雑談は急にしずまりかえった。
    さらに警察OBの交代があったという電話の話し声を耳にする。
    公明党PTの威圧効果が相当会社の空気を変えたようだ。

    *新宿労基署に問い合わせたところ退職プロセスに問題はないという。
    *ライトハウスによれば公明党PTのロビイングで多忙だった時期


  • 精神的に問題ある人を敬遠する体質があった

    もともと発達障害者なので年末調整にてADHDを開示。
    すぐに合理的配慮の話になり、補助の人を設けてもらった。
    勤務を続けるなか上司はADHDとは別の精神病を問題視したようである。


  • AV強要を笑い者にする社風

    社員による雑談が激しかった。その中で強要被害をネタにしていた。


  • デマではなく事実であるとされる部分

    SPA!の記事「AV女優の手のひら返しに戸惑い…」
    AV出演を“強要”したとされる男たちが、ついに重い口を開いた

    (https://nikkan-spa.jp/1295642)によれば

    >これが本当なら絶対に助けなければいけない。
    >そう考えて加盟各社に照会したんですが、
    >残念ながら我々の調査では一件も見つからなかった


    とあるが、これは電話の話し声から
    自分の耳に聞こえてきたことなので
    事務局長がAVメーカーに確認をとったのは事実である。
    IPPAの中ではAVメーカーが審査料を払う顧客であり
    メーカーのほうが強い立場なので、厳しい追及はなかったようだ。

    >だってそれで取り下げたら強要してるって認めるわけじゃないですか。

    雑談の中にあった。

    >被害を発生させたAVメーカーなり監督の実名をHRNは把握しているでしょうから、それを教えてほしいだけなんですが、ダメだと。

    この言葉もたしかに耳にしている。
    事務所間のSLAPP訴訟の激しい分野なので
    被害者の方が個人情報を流すのに強い抵抗感があったのではないか。
    IPPAは台湾や大阪の違法業者摘発等でかなり訴訟慣れしている。

    さらに、腹いせで下請けの会社が無修正の動画や海賊版の動画を
    流してしまうことなど知れ渡っていた。


  • さりげなく脅かしたり、他人の住所の周辺を詮索する上司

    退職する間際に保険証を返す際、
    IPPA事務局長に「これがないとポキッといくかも」等と体調を心配される。

    AVANの理事(元CSA理事の廣田泰三氏)
    に「わたしもきみの住所のあたりを知っている。
    近所に住んでいるからまた会おう」等と言われる。

    私はAVANのサポーターでもあるので彼らに私の住所を教えているが
    理事に私の住所の周辺の話をされる謂れはない。



  • 時給1100円〜50円ずつ昇給。コーヒー・紅茶おかわり無料。
    社保と交通費・失業保険・年末年始休暇・有給あり。
    実働8時間、休憩1時間のフルタイム労働。
    1日の作業量が終了したなら他の勉強に時間を使うのは自由。
    ボーナスはなし。遅刻・早退・欠勤は自由。


    のちに応募したライトハウスのインターンや
    HRNの夏季アルバイト(時給1100円)と比較しても
    常識的な報酬。服装は自由。居心地や人間関係はよかった。


  • 「出勤前のタイムカードに含まれない自主的なトイレ掃除」にて
    便器を素手とウェットティッシュで拭かせていた。


    *なお新宿労基署に問い合わせたところ自主的なら問題ないようである

    女性社員をお茶汲みに使っていたり、会議に参加させない等
    ジェンダー感覚に問題があるような空間だった。
    ちなみに物置きに女子トイレを使っていた。


  • それでも海賊版ポルノ削除の労働生産性は非常に高い。

    一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)の扱う
    リベンジポルノの削除依頼件数 31,222件/年 と比較して
    http://a.msn.com/01/ja-jp/BBC961G?ocid=se

    IPPAのネットにおける違法動画の削除依頼件数は 1,759,415件/3年
    (平成23年12月末~平成26年11月末平均)
    ネットにおけるストレージの削除依頼件数は 545,026件/3年
    (平成23年12月中旬~平成26年11月末平均)
    http://www.ippa.jp/report/internet/

    ー BitTorrentにアップロードされたポルノを削除する仕事もあり
    この分野ではIPPAの仕事はとても意欲的である。


  • 近代化されない版権データベース。
    頻繁に変わる権利名、レーベル名。


    メーカーとレーベル、版権者は分離し、
    年度によってコロコロ名前を変えて移籍している。
    これは訴訟リスクの回避のためである。削除するときは
    クライアントさんから来たメッセージとDMMの販売ページを頼りに

    作品リストと版権リストを「新たに」会社の中で作る。
    DMMのレンタルでないDVD販売ページが対象の作品であるとされている

    (販売停止されたもの、トラブルで告訴があったものは含まないが
     販売停止されたあとでもIPPAのカバーに貼られたラベルの画像と共に
     違法動画がネットに漏洩しつづける)

    ネットに漂流する海賊版の削除メール作成「補助」だけではなく
    Excel CSV と Microsoft SQL Server による版権リストの管理も
    同時にアルバイトにやらせていた。

    別の配信業者や下請けからすれば、
    誤削除は多額の損害賠償を請求できる理由になる。

    (FC2の削除されない件は著作権侵害の訴訟問題がらみとされる)

    また実際に2次使用料の拠出でIPPAの経営は逼迫していた。
    下請けの会社のおじさんは大手メーカーに騙されたことを嘆いていた。
    自分の雇用しておけるほどの余裕がない会社側の言い分はあった。


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  • 最後に

    なお権利者が分散されて更新頻度が高ければ
    ひとつの会社が摘発されたときのリスクは分散できるので
    AV出演強要のアリバイ工作に手を染めていた可能性は十分にある。
    自分もまた、AV出演強要の加害者の一人である。



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