事故が起きてからまだ1週間もたっていない。原因究明はおざなりで、再発防止策も実効性の疑わしい内容だ。

 それなのに米軍は、事故を起こしたCH53E大型ヘリの飛行を再開し、日本政府もこれを認める考えだという。

 13日午前、米軍普天間飛行場所属のCH53Eの窓が、普天間第二小学校の校庭に落下した。

 小2と小4の児童約60人が、体育の授業を受けていたまさにその場に、重さ約7・7キロ、約90センチ四方の脱出用の窓が、金属製の枠もろとも、きりもみ状態で落下したのである。保護者や住民が受けた衝撃は計り知れない。

 米軍は、手順を守らなかった搭乗員の人為的なミスで機体に問題はなかった、との調査結果を県に伝えた。事故後見合わせていた同型機の飛行を再開する方針だ。

 防衛省によると、搭乗員は飛行前点検の際、窓のレバーが安全ワイヤによって固定されていないことを見落とした。「(窓のレバーが)誤って、または不注意によって緊急脱出の位置に動かされたことによって、窓が航空機から離脱した」のだという。

 なぜ、これほど単純な操作ミスが発生するのか、そこがまったく明らかにされていない。米軍機の事故がこれでもかこれでもかと立て続けに起きているのはなぜなのか。

 機体に問題がないからといって、飛行を再開してもいいということにはならない。

 一方的な再開方針の伝達は県民感情を無視した基地負担の押し付けである。

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 再発防止策として普天間第二小を含むすべての学校の上空飛行を「最大限可能な限り避ける」としている。

 そういう方針は、建前上は、これまでも堅持していたのではないのか。それともこれまでは「できる限り学校、病院を含む人口密集地帯上空を避ける」と言いながら、「できる限り」を都合よく解釈して運用してきたというのか。

 騒音規制措置に盛り込まれた「できる限り」という表現を、再発防止策と称して「最大限可能な限り」という表現に変えたことに、逆に不信感を抱かざるを得ない。

 米軍は、米連邦航空法に基づく飛行場の安全対策として、滑走路両端の延長上にクリアゾーン(事故可能性区域)を設け、土地利用を大幅に制限している。

 ところが、普天間飛行場では、クリアゾーンに普天間第二小をはじめ学校や保育園、病院、公民館などの公共施設が存在する。それが問題だ。

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 普天間飛行場は、住民の安全への考慮を欠いた欠陥飛行場である。普天間飛行場の辺野古移設は「高機能の新基地を確保するために危険性除去を遅らせる」もので、負担軽減とは言えない。

 一日も早い危険性の除去を実現するためには、安倍晋三首相が仲井真弘多前知事に約束した「5年以内の運用停止」を図る以外にない。期限は2019年2月。

 そこに向かって、不退転の決意で大きなうねりをつくり出し、目に見える形で県民の強い意思を示す必要がある。命と尊厳を守るために。