シンプルで奥深いシューティング「RXN -雷神-」独占プレイレポート。テンポよく遊べ,Nintendo Switchとの相性も抜群
カヤックは,スマートフォンアプリ「キン肉マン マッスルショット」「ぼくらの甲子園!ポケット」(iOS / Android)の制作や,「傷物語VR」「BLAME! VR」などVRコンテンツの開発,日本最大級のゲームコミュニティ「Lobi」の運営など,様々な方面で活躍するメーカーで,2016年にガルチを子会社化した。
一方のガルチは,「雷電」シリーズに関わったスタッフが設立したソフトハウスで,「スペースインベーダー エクストリーム」(PSP版)や,グレフと共同開発した「まもるクンは呪われてしまった!」などのシューティングゲームの開発で知られている。そんなガルチの創立10周年を記念したプロジェクトが,今回の縦スクロールシューティング「RXN -雷神-」だ。
ニンテンドーeショップ「RXN -雷神-」販売ページ
「RXN -雷神-」公式サイト
感想をまとめると,以下の通りになる。
- システムはシンプルで「敵を撃ち・弾を避ける」というシューティングの楽しさに忠実
- 一区切りが短く,テンポよく遊べるため,持ち運びできるNintendo Switchとの相性が良い
- 接射すると武器がパワーアップし,敵弾を食らわないと耐久力が回復するので,リスク&リターンのはっきりした独特の戦術を組むことが可能
- 機体をレベルアップさせるRPG的な要素もあり,やり込みもできる
16:9の画面をフルに使い,激戦が繰り広げられる
人類を超越した少女「ユナ」が世界を正しい方向へ導いて数百年後。企業組織「丙組」の傘下にある世界統一政府(U.G.W.)のメンバーである「橘花ライト(CV.村田太志)」「鳴門ルナ(CV.尾崎由香)」「橘ジン(CV.杉田智和)」の3人は,戦闘機とロボットに変形する最新兵器「RXNシリーズ」を操り,並行世界から溢れ出した謎の敵「ウルカ」と戦う。
「RXN -雷神-」は,ジャンルで分類するなら“横画面型縦スクロールシューティング”だ。前方はもちろん,側面からも敵がどんどん出てくるため,画面内をフルに動き回って攻撃や回避を行うことになる。
自機となるRXNシリーズはスタンダードなRXN-101,機動力に優れたRXN-202,テクニカルなRXN-303の3タイプが存在。それぞれに3種類の武器と,ボム的な役割を持つ「覚醒」を搭載している。こうして文字にしてしまうとちょっとややこしいのだが,Nintendo Switchの[Y][B][A]ボタンに3つの武器,そして[X]に覚醒が割り振られている。基本的に,どの機体も広範囲型,火力型,誘導型といった武器を装備しているうえ,同時押しもないので,遊べばすぐに慣れることができるだろう。
RN-202の鳴門ルナ(CV.尾崎由香)は戦闘向けに調律されており,恐怖感が欠如している。 |
RXN-303の橘花ジン(CV.杉田智和)はライトの兄で,天才パイロットである弟に劣等感を抱いている |
ちなみに,RXNシリーズはプレイ中に使っている武器に応じて変形する。メカデザインは「メダロット」シリーズや「機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER」「A.O.Ζ Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎの見た夢-」で知られる藤岡建機氏が担当。実際に変形できるように作られており,リザルト画面では自由に変形させたり,見る角度を変えられるので,メカ好きの人はチェックしてみよう。
ステージ中には声優陣のボイスによってストーリーが展開するため,ゲームの進行を妨げることなく物語に没入できる。ウルカの正体や3人の運命など,気になるところも多いだけに,発売が楽しみだ。
シンプルなルールで,区切りよく遊べる。現代的テンポのシューティング
本作は「3つの武器を使い分け,襲いかかってくる敵を撃墜する」という極めてシンプルなゲーム性だ。特徴的なのはステージセレクト方式を採用していること。
これまでの多くのシューティングゲームは1面から最終面までを連続してプレイする必要があり,1プレイに1時間ほどかかることも珍しくなかったが,「RXN -雷神-」は,遊びたいステージだけを選んで遊べるのだ。ステージをクリアすると次がアンロックされ,オートセーブが入って一区切りとなる。
1ステージは数分で終了するうえに,通常ステージとボスステージに分かれている。このステージ構成も,シューティングの“雑魚と戦う道中があり,中ボスを倒し,ステージの最後に待ち受けるボスのところへたどり着く”というセオリーを排したもの。実際にプレイしてみると,テンポ良く集中して遊べ,いい意味で今どきのスマートフォンゲームに近い印象だ。
最初の起動にこそロード時間はかかるが,復帰の早いスリープモードを活用すれば「空いた時間に1ステージだけ遊び,気分転換を済ませたらまたスリープさせて仕事や勉強に戻る」という付き合い方もできそうだ。このあたりのプレイフィールは,「リリーと魔神の物語」や「真空管ドールズ」(iOS / Android)といったスマートフォンアプリを手がけた経験が良い方向に反映されていると感じられた。
1つのステージは短時間で終わるが,ステージの数自体は多く,ステージの数自体は多く,確認できた限りで32ステージ存在しているうえ,後述する機体のレベルアップ要素もあるため,ボリューム自体は結構ありそうだ。
避けて撃つ爽快感が,手軽に味わえる
雑魚ステージでは16:9のワイド画面を活かし,敵が画面の左右からも襲いかかってくるのがポイント。敵の出現パターンを覚えるのはもちろん,RXNシリーズは様々なレンジに攻撃できる武器を装備しているため,上手く使い分けていくのが攻略の鍵となりそうだ。
ボスステージでは,道中なしでボスと真っ向から勝負する。ボスは様々な攻撃パターンを持っており,そのそれぞれに対処法が存在している。さっきまで避けきれなかった攻撃も,パターンを学んでノーダメージで切り抜けられるようになった時の爽快感は格別だ。
本作でポイントとなるのが,画面下にある「SHIELD」と「WEAPON」のゲージだ。SHIELDは自機の耐久力を表しており,敵弾を食らうと減少。全てなくなると撃墜,つまりゲームオーバーになる。いわゆるライフ制だが,序盤ステージの雑魚やボスだと攻撃力も低く,さしてダメージを与えてこないため,シューティングが初めての人でも上達しながら遊べるはずだ。
[X]を押すと「覚醒」が発動する。SHIELDゲージを1/3消費するのと引き換えに,敵にダメージを与えつつ画面上の敵弾を全て消してくれる。ボスに使った場合は「その攻撃パターンが終わるまで敵弾を消し続けてくれる」という強力な効果を発揮。シューティングにありがちな「激しい攻撃にボムを使っても,効果時間が短いため一時しのぎにしかならず,ボムが切れた途端に死んでしまう」という泥沼の状況に陥らないというわけだ。加えて,SHIELDゲージは一定時間攻撃を食らわなければ徐々に回復していく。例え追い詰められても敵弾をしっかり避け続けていれば,再び覚醒を使えるようになるし,そこから逆転を狙うことも夢ではない。また,定期的に覚醒を使い,敵弾を封じた状態で一気に撃ち込むようなやり方もアリだ。
WEAPONゲージは,連続して敵に攻撃を当て続けると増加。一度に発射される弾の数が増えたり,ビームが太くなったりとパワーアップする。雑魚なら連続撃破,ボスだと距離を詰めて接射すればいいが,しばらく攻撃を当てないとゲージが下がって武器も元の状態に戻る。とくにボス戦では,互いの位置関係に応じて武器を切り替えて撃ち込み続けるのも重要なようだ。アグレッシブに戦うほどパワーも上がるというわけだが,上手く避け続けると回復するSHIELDゲージとは逆の性質であるのが面白い。積極的に前に出てWEAPONゲージを溜め,火力を上げるか。後ろに下がってSHIELDゲージの回復を待つか。はたまた,前に出つつも攻撃を避け続けていい所取りを狙うか。さまざまな戦術を採ることができるのだ。
RXN-101
- [X]ボタン
機体の前方と後方へ剣状のショットを撃つ。レベルが上がると後方へ放たれる剣が増えるが,あくまで前方へ飛ぶ剣は1本だけ。逆に,弾避けなどでボスの上へ回り込んだ際に後方の剣を当ててWEAPONゲージを保つような使い方も可能。 - [B]ボタン
前方に向けてスパークを放つ。接射に向き,一気にWEAPONゲージを稼ぐのに持ってこい。 - [A]ボタン
扇状に弾を撃つ。レベルが上がると弾の発射方向が増え,より広い範囲をカバーできるようになる。避けに集中しながらボスにジワジワダメージを与えることも可能。
RXN-202
- [X]ボタン
前方に光弾を放つ。攻撃力が高く,ボス戦に使いたいが,カバーできる範囲が狭いため,危険も大きい。 - [B]ボタン
自機の左右に整列したミサイルが前方へと飛ぶ。攻撃範囲は広いが,ミサイルが飛ぶまでに時間がかかる。 - [A]ボタン
自機にオプションが追従する。レベルが上がるとオプションの数が増える。オプションは無敵なので,様々な活用が可能。
RXN-303
- [X]ボタン
前方へレーザーを放つ,一点集中型の武器。 - [B]ボタン
自機の周囲に誘導弾を発射する。誘導弾は自動で敵を追尾するが,攻撃力自体は低いため,耐久力のある雑魚が多く出るような場所では倒しきれないことも。 - [A]ボタン
自機の横にオプションが出現する。オプションは自機の移動と逆方向に向くため,うまく使えば側面や後方を攻撃可能。
本作にはRPGのようなレベルアップシステムがあり,これがやり込み要素の一つになっている。敵を倒すと結晶のようなアイテムが出現し,自動で回収されていく。この結晶が経験値になり,一定値に達すると機体のレベルがアップし,攻撃力が上がるのだ(制止画で見ると画面上に結晶と敵弾が入り乱れて見づらいようにも感じられるが,実際に遊ぶと結晶と敵弾は全く違う動きをするのですぐに慣れるだろう)。ただし,レベルを上げても防御力やSHIELDゲージの上限が上がるわけではないので,弾避けの楽しさはスポイルされない。「あと少しなのに勝てない」というときは,すでにクリア済みのステージを周回し,レベルアップして再挑戦,ということも可能だ。
スマートフォンゲームの開発経験が,テンポよく遊べるシューティングに結実する
本作は,シューティングの根源的な面白さを手軽に味わうことのできる作品であると感じた。そのうえで,敵に攻撃を当てることでWEAPONゲージが増加し,避け続けるとSHIELDゲージが回復するというシステムが,シューティングの根っこにある「当てる」と「避ける」という要素を強調している。
また,ボス面はいきなり対決からスタートするうえ,攻撃パターンの変化がハッキリしているので,たとえやられてもリベンジの意欲が湧いてくる。
余談だが,今回の先行プレイでは筆者に加え,ガルチの開発スタッフなど6名が同席しており,みんなで家に集まってファミコンやスーパーファミコンのシューティングを遊んでいたときのような感覚で,プレイヤー以外も盛り上がったのが印象的だった。筆者も仕事であることを忘れて熱中してしまった。
残念ながら,シューティングというジャンルは人気も右肩上がりというわけではない。そこに,スマートフォンゲームの開発を経験したガルチが,今の時代に合わせてテンポよく遊べる本作を作ったということには,一定の意義があると感じられた。前述の通りNintendo Switchとの相性も良く,スリープさせておけば,サッと遊んでサッと止められる。筆者のように「ちょっと気分転換に遊んで,すぐに止められる」というゲームを求めている人にもお勧めしたいタイトルだ。
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