「ビットコイン=夢の通貨」は日本人の幻想だ

犯罪や規制の抜け穴として使われている

4回連続講義の第1回。テーマは「そもそもビットコインとは何か?」です(撮影:尾形文繁)
2017年もあとわずかです。金融関係で最もホットな話題だったのが、ビットコイン。恥ずかしながら木本も少し持っています。でも、実態のない仮想通貨がどうしてこんなに値上がりするかなど、本質の部分はハテナだらけです。『アフター・ビットコイン』の著者で、ビットコインバブルに警鐘を鳴らす、中島真志先生に詳しく聞きます。講義の模様は、4回に分けて4日連続でお届けします。

サトシ・ナカモトって何者?

この連載の過去記事はこちら

木本:実はいま、仮想通貨のことを猛勉強しているんです。そこで、『アフター・ビットコイン』が話題の中島先生に、ガッツリとお話を伺おうと思っております。

中島:私はもともと日本銀行におりまして、10年ほど前に日銀を離れ、国際機関を経て、現在は大学で教えています。資金決済や証券決済を研究していたのですが、ビットコインやブロックチェーンが、私の研究エリアに入ってきたので、フォローせざるをえなくなったというのが実態です。今回は、4つのテーマに分けて説明します。

木本:日銀でバリバリやっていて、つまりは銀行の中心にいらした方が、ビットコインを無視できない時代になっているということですね。

写真は11月9日、ラトビア・リガで撮影したビットコインのロゴ(写真:ロイター/Ints Kalnins)

中島:そもそも「ビットコインとは何なのか」から話を始めましょう。2008年にサトシ・ナカモトという人が論文を書きまして、それを基にできたのがビットコインです。

木本:日本風の名前ですが、日本人なんでしょうか?

中島:たぶん日本人ではないですね。英語で論文を書いていますが、どこの国の人かもわからない謎の人物です。本人が相当に巨額のビットコインを持っていて、一度も売ったことがないということはわかっています。

木本:ビットコインの大本がその論文から生まれたわけですね。

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  • NO NAME53c79fd96c36
    「ビットコイン=夢の通貨だと思う日本人」がいると思っていることが幻想だ
    up75
    down21
    2017/12/18 08:25
  • NO NAMEff6d8891fe7a
    クレジット会社にとっては隕石と同じ。
    この対談相手はクレジット会社(VISAとか)の息が掛かっているのかもしれない。ブロックチェーン使って、見知らぬ相手と安全に取引できれば、クレジット会社は不要になるから。その内、銀行もいらなくなる。
    投資運用会社は必要だけど。
    up28
    down6
    2017/12/18 09:17
  • NO NAME60d245afec40
    ビットコインを語るときは、
    ・ブロックチェーン技術の問題
    ・管理者不在の「外貨」であるという問題(=電子マネーとは根本的に異なる)
    ・価値基準がないという問題
    それらが、別個に存在し、絡み合っている、という認識を持たないと、何の議論をしているかわからなくなります。

    少なくとも「データ上でしか存在しないお金=貨幣としての形が無い」という点は、もはや何の問題にもならないでしょう。ハッキング等の従来の電子記録上の脅威はブロックチェーン技術が解決してくれます。これをもって「夢のようだ」と言うならばそこはその通りだと思います。ですが、他の点では…ビットコインについてはかなり怪しいですね。仮想通貨はビットコインだけではありません。「機能・性能」があり、「本当に便利そうな」仮想通貨も他に沢山あります。ですがそれらがパイを確保できるかどうか、ビットコインがパイを失うかどうかは政治も絡む点で興味深いです。
    up19
    down0
    2017/12/18 09:46
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