ナショジオの記者2人襲撃される、米国への報復か

「大使館のエルサレム移転計画への報復」と犯人が供述、アフリカ・ガボン

2017.12.18
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2017年12月17日、工芸品市場に集まった警察官。16日、市内で2人のデンマーク人ジャーナリストが襲撃された。(Photograph by Steve Jordan, AFP/Getty)
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 12月16日、ナショナル ジオグラフィックの依頼を受けてアフリカ、ガボンで取材していた2人のデンマーク人ジャーナリストが刃物で刺された。うち1人は重体。現場は首都リーブルビルで、犯人は直ちに逮捕されたと、AP通信が伝えている。

 ガボンの国防大臣エチエンヌ・マッサール・カビンダ・マカガ氏の声明によると、犯人の男は警察に対し「米国のイスラム教徒に対する攻撃、および米国がエルサレムをイスラエルの首都として認定したことに対する報復」が目的と供述したという。(参考記事:「「キリストの墓」の年代を科学的に特定」

 ドナルド・トランプ米大統領は12月6日、米大使館をテルアビブからエルサレムに移転する計画を表明、これが激しい論争の的になっている。(参考記事:「トランプ政権で消える? NASA4つのミッション」

 犯人は、ガボン在住19年になる53歳のニジェール人、とガボン国防相は発表した。

 ナショナル ジオグラフィックは安全上の配慮から、被害者であるジャーナリストの名前の公表を差し控えている。

「ガボンで襲撃を受けた2人のデンマーク人が、ナショナル ジオグラフィックの関係者であることを確認し、大変悲しく思っております」と、ナショナル ジオグラフィックは声明を発表した。「現在、被害者およびデンマークの制作会社と直接連絡を取っております。何よりもまず2人が病状を回復し、デンマークへ無事帰国できるようにサポートするつもりです」

 アフリカ西部にあるガボンは、熱帯雨林と海岸に多様な生物が生息する地域として知られる。ナショナル ジオグラフィックは同国で長年にわたり取材活動を続けてきた。イスラム系少数派を含め、宗教的にも多様なガボンにおいて、これまで記者が暴力行為の標的になった事例はなかった。(参考記事:「ガボン、領海の4分の1を海洋保護区に」

文=National Geographic Staff/訳=潮裕子

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