「静岡県ふれあいの翼」解散へ 障害者と家族の旅行支え37年
(2017/12/18 07:50)-
障害者と家族が楽しめる旅行を約37年間にわたり企画・運営してきたボランティア団体「静岡県ふれあいの翼協議会」が、今月で解散する。障害者からは根強いニーズがあるが、ボランティアスタッフの減少や高齢化で活動の継続が難しくなった。障害者や家族だけでは敬遠してしまう宿泊旅行で、これまでに延べ5千人の障害者の夢を後押ししてきた。
同団体は障害者の社会参加促進を目的に1981年に発足。肢体や聴覚、視覚、知的など、どのような障害であっても参加を受け入れてきたという。車椅子での移動や食事、風呂、トイレなど多様な介助が必要なため、団体のスタッフだけでなく、県内の福祉施設の職員にも参加してもらい活動を続けてきた。
当初は障害者と健常者の交流に主眼を置いていた旅行に、家族が参加できるようになったのは91年、障害のある息子を持つ60代の母親からの手紙がきっかけだった。「一度でいいから、家族と一緒にゆっくり美しい風景を見て感動を味わってみたい。家族で思い出し笑いができる旅行が夢です」
スタッフはそれぞれ仕事の合間に集まり、旅の準備を進める。旅行会社への手配や現地の下見を重ね、国内外で150回以上の旅行を実現した。2010年にはモンブラン、マッターホルン、ユングフラウのスイス三大名峰を訪れ、4千メートル級の雪山の壮大な景色に触れる旅を演出した。
一方、近年はスタッフの減少や高齢化が進み、「悩んだ末に団体の解散を決めた」(関係者)。最後となった11月の3泊4日の沖縄旅行には33人の障害者を含む67人が参加。両親と訪れた花井大輔さん(26)=静岡市駿河区=は、生まれつき四肢まひで車椅子を利用しているが、「安心して旅行できた。澄んだ海が印象的だった」と笑顔を見せる。
発足当初から活動に携わってきた理事長の松村知晃さん(68)らスタッフは、旅行後に沖縄で撮影した写真をまとめ、参加家族に送った。松村さんは「障害があって内にこもりがちな人も、外の世界へ出たという自信が付く。家族の思い出作りのためにも、本当はまだ続けたかった」と名残惜しさを口にした。
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