数学界で長年、難問とされてきたabc予想を証明するために、京都大学の望月新一教授が考案したのが宇宙際タイヒミューラー理論です。奇抜な名称であるため、「SF用語か?」「そもそも宇宙際の読み方がわからん」と思った人も多いと思いますが、ちゃんとした数学的意味があります。それをこの記事では解説していきます。
宇宙際タイヒミューラー理論とは京都大学の望月新一教授が考案した数学の理論です。望月教授はこの理論を用いることで、数学界で長年難問とされてきたabc予想の証明に成功しました。
和名:宇宙際タイヒミューラー理論
読み:うちゅうさい タイヒミューラー りろん
英名:Inter-universal Teichmüller theory
略称:IUTeich
宇宙際の『宇宙』は数学用語の宇宙です。星々が輝いている物理学の宇宙を指しているわけではありません。特定の数学的領域全体を指す言葉と思っておけばOKです。Wikipediaの解説が参考になります。
数学、とりわけ集合論や数学基礎論における宇宙とは、特定の状況において考察される実体のすべてを元として含むような類のことである。
もし研究対象が実数として形式化されていれば、実数の集合である実数直線 R は考察下において宇宙になりうる。
引用元:ja.wikipedia.org(引用元へはこちらから)
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『際』という言葉には『境界』という意味があり、○○際と言った場合は、『様々な○○をまたがる、行き来する』といった意味になります。たとえば、学際的といえば様々な学問分野にまたがるという意味になりますし、国際的といえば様々な国と関連するという意味になります。
宇宙際の『際』も同様の用法と思われます。望月教授のホームページに掲載されている資料を見た感じだと、『宇宙を取り替える』という意味で用いているようです。
こちらが、宇宙際の様子を表現した図です。望月教授が作成した宇宙際タイヒミューラー理論のイメージ動画の中で使われているものです。出典元リンクから元動画が再生できます。
宇宙を必要に応じて取り替えることによって、問題を適切に扱うことができるようになるという効果があるようです。
宇宙際タイヒミューラー理論の『タイヒミューラー』は数学の理論のひとつであるタイヒミューラー空間論を指しています。ドイツの数学者オズヴァルト・タイヒミューラーが作り出した理論であるため、その名がついています。
望月教授が考案した理論は、タイヒミューラー空間論に『宇宙際』という発想を持ち込んで発展させたものです。宇宙際タイヒミューラー理論という命名は、そういった経緯を素直に反映させたものとなっています。
以上、宇宙際タイヒミューラー理論がSF用語などではなく、ちゃんとした数学的意味を持つ用語であることが分かっていただけたでしょうか?
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