--3年のうちにどのような変化が?
「最初はクラフトフェアや神社で開催されるマーケットに出店していました。今もですが、その当時も硝子ペンだけではなく、アクセサリーや帯留めなどを販売していて、徐々に評価していただけるようにはなっていったんです。とはいっても生活していけるレベルではなかったのですが・・・。
そんなこんなでアルバイトも掛け持ちしながら3年ほど経った頃、偶然万年筆を扱っている小売店の方がマーケットに来られていて、私の硝子ペンを取り扱っていただけることになりました。それが35歳のとき」
--それが転機になった。
「それまでは、ガラス細工の世界で認知されるように頑張っていたんです。でも、硝子ペンで勝負するなら筆記用具の世界でだ、と気づいてから思考がガラッと変わりました。それから、より書き心地をブラッシュアップさせる方向にシフト。僕自身も旅行中に手紙をよく書いていて、ペンに思い入れもありましたし、何より硝子ペン自体は日本人が考案したもの。日本では浸透していない技法を使って、新しい日本の硝子ペンを作ってみたいと思うようになりました」
--川西さんならではの硝子ペンには、どのような特徴があるのでしょうか?
「一番は、『インサイドアウト』という技法を取り入れたことだと思います。カナダで見た細工方法で、ガラス内部に立体的な模様やパターンを入れるガラス細工のこと。ガラス管の内側と外側に着色しながら模様をつけるやり方で、色の出し方やデザインに作り手の個性があらわれます」