お客様
: 石本敦夫氏 @atsuoishimoto
聞き手
: 佐藤治夫 @haru860
: 清原弘貴 @hirokiky
PyCon広島
佐藤)PyCon mini 広島では、キーノートスピーチでどのようなお話をされたんですか。
石本)オープンソースの話です。 得意なものを持っておくと良いですよ という話です。1つの分野を深く取り組んでいくと、深く掘れば掘るほど視野が狭くなるのではなくて、逆に視野が広がっていく。深く見ていくと色々出会える。 ソフトウエアは単独では必ず存在しないから、どこかとつながり、連携がある。なので1つの分野を掘っていけば必ずどこかにつながってるよ と。
佐藤)いい話ですね。1つに深く取り組むと視野が狭くなるのではと思いがちですよね。そう考えると、広く浅く取り組みたくなってしまう。
石本)深くやればやるほど良いこともある。例えばPythonやってて、データベースに興味が湧く人がいるかもしれない。ウェブサーバーに興味を持つ人もいれば、暗号系に興味を持つ人もいる。ある程度、深くやっていくとどこかつながっていくわけですね。
清原)確かに。1つの言語を10年かけて取り組もうというエッセイがありましたね。 参考: Teach Yourself Programming in Ten Years
石本)なので、なにかテーマ決めて、それを深掘りするといいよという話でした。
佐藤)そうするとほかのジャンルにも関連していく。
石本)そうそう。
佐藤)実装の裏にある思想は似てそうですもんね。
石本)ですね。例えばPythonじゃなくても、例えばMySQLだったらMySQLをやってけば、他の言語につながったりとか、あるいは別の、CPUの話とか、ストレージの話とかに行き着いたりするじゃないですか。そういうつながりがドンドンできて。
佐藤)あたりがつきやすくなりそうですよね。
石本)そうそう。
佐藤)これはエンジニア的にすごい良い話ですね。
清原)深みは大事ですね。
佐藤)器用に色々知ってそれを組み合わせるというのも、それはそれでいい。もうすこし足腰の強いエンジニアになるには、深く掘り下げるというのも面白いのかもしれない。
石本)組み合わせるにも、そもそも存在や分野を知っていないと気づけないですしね。各要素の関連も定番の組み合わせを知っていると強かったりする。わかっていれば定番の組み合わせなんだけど、表面しか見てないとその利点や良さを分からなかったり。
佐藤)技術の見る目も養われるということか。
佐藤)若者に聞いてほしいですね。大学とか学校で講演したほうがよいんじゃないですか。
石本)正直、あんまり説教がましい話は得意じゃないんだよね(笑)。すごい悩んだんだよ、この話を書いたのも。
佐藤)いや、でもすごいいい話じゃないですか。僕も若いとき聞いていたらもう少し深く1つに取り組んだかももしれないなと思いました。どうしても器用に生きようとしてしまうんですよね。
石本)今の自分が持ってる知識は、Pythonをやって覚えたところが多い。Pythonも例えばメーリングリストからキーワード引っ張ってきて、そこからたどり着いて学んだことが多いですから。だいたい私、一般常識は落語からで、プログラミングの話はだいたいPythonから学んでます。
佐藤)落語、世の中のネタがテーマだから。
石本)単語とか、なんかそういうのもだいたい。
今後の話
佐藤)今後の話で、石本さんがやっていきたい今後の活動って何かあります?
石本)いや、特には。
清原)特にない。こういうことやっていこうみたいなのは無いんですね。流れるままみたいな。
石本)当分はフリーランスでやっていこうかなと。
清原)石本さん的に、今までのキャリアで「こうなりたい」とかあったんですか。
石本)いや、そんなにないね。
佐藤)ない。興味持ったことやってきたみたいな。
石本)そうそう。あんまり余計なことはやりたくないなというのは昔からあって、そこは結構うまく逃げてきたなと思うんだけど(笑)。
佐藤)逃げるのは大事です(笑)。余計なことやってたら時間奪わますからね。
清原)石本さんは常に前線で働いてるじゃないですか。ガリガリプログラムを書いてるじゃないですか(以前一緒に仕事をしたことがあるので)。だいたい、年齢もあって流れ的にマネジャーになるとかあるかなぁと思いますが、自分の領域を強くもってやり続けてるのはすごいです。
→ 次回は、 プログラミングは独学で覚えられる「コスパの良い」技術 です。
目次
- 【目次】石本敦夫氏に聞く、Pythonの歴史とこれから
- 【その1】Python Japanをはじめたきっかけ
- 【その2】Pythonをはじめたきっかけ
- 【その3】Pythonがなぜデータ分野で強いのか?の真実
- 【その4】PEPとPython2、Python3の話
- 【その5】Python自体にコントリビューションするには?
- 【その6】強みを掘り下げていこう
- 【その7】プログラミングは独学で覚えられる「コスパの良い」技術
PyQオフィシャルブログでは『Pythonエンジニア列伝』を不定期掲載します。Pythonに関わっているさまざまな人にインタビューし、これからプログラミングを学習する方にエンジニアが普段考えていることや取り組んでいる活動などを紹介していきます。
(まとめ:大村亀子 @okusama27)