あおり運転「一発免停」で事故防止 警察庁

社会
2017/12/16 17:58
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 死亡事故に発展する恐れがある「あおり運転」など悪質で危険な運転が社会問題化しているとして、警察庁は16日までに、車を使って暴行事件を起こすなどして将来的に事故を発生させる可能性があると判断した運転者に対し、交通違反による点数の累積がなくても最長180日間の免許停止ができる道交法の規定を適用して防止するよう、全国の警察に指示した。

6月、東名高速道路下り線の事故で移動される車両(神奈川県大井町、車のナンバーを画像加工しています)=共同

 あおり運転を巡っては、神奈川県の東名高速道路で6月、ワゴン車の夫婦が後続車にあおられて停止させられた後、大型トラックに追突され死亡する事故が発生。同様の危険運転が各地で相次いでいる実態も明らかになったことから、対策が急務となっている。

 道交法は、車を使って交通に危険を生じさせる罪を犯した運転者のほか、覚醒剤や麻薬の使用者らについて、車を運転することで著しく交通の危険を生じさせる恐れがある「危険性帯有者」として、免許停止の行政処分を科すことができると規定している。

 運転免許の行政処分は、過去3年間の違反行為の合計点数に応じて行われる点数制度が一般的だが、警察庁の担当者は「点数制度だけでは担い切れない。交通トラブルから暴力沙汰になれば、危険性帯有者の規定が活用できる」としている。

 警察庁は指示の中で「後方からの追い上げ」「急な割り込み」「蛇行運転」「幅寄せ」などが、相手ドライバーの不安を高めていると指摘。こうした危険な運転や交通トラブルから暴行や傷害、脅迫、器物損壊などに至った場合は点数制度によらず、危険性帯有者として処分を求めている。

 警察庁によると、昨年1年間の危険性帯有者の規定による処分件数は674件(前年比36件増)で、うち6件は交通トラブルが原因で危険運転をし、さらに暴行や脅迫などの事件に発展したケースだった。

 大阪府公安委員会は今年8月、小中学校の通学路を車で暴走し、その様子の動画をインターネット上に投稿した少年ら2人について、今後も交通の危険を生じさせる恐れが大きい危険性帯有者と判断し、180日間の免許停止にした。〔共同〕

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